Capitol移籍第一弾が起死回生の大ヒットを記録し、一気に時代の寵児へと返り咲いた1985年のHEART。復活時代を象徴する極上サウンドボードの最高峰盤が登場です。そんな本作が記録されたのは「1985年8月31日ローリー公演」。そのステレオ・サウンドボード録音です。『HEART』時代と言えば一大全盛の幕開けとなっただけでなく、久々の再来日が実現した事でも思い出深いところ。まずは、キャリア最大級となったツアー全景を振り返ってショウのポジションを確かめてみましょう。1985年《6月21日『HEART』発売》・7月4日+6日:北米#1(2公演)・8月9日ー9月21日:北米#2(28公演)←★ココ★・10月15日ー12月31日:北米#3(41公演)1986年・2月7日ー3月11日:北米#4(19公演)・4月9日ー5月18日:北米#5(28公演)・6月15日:イングルウッド公演・6月25日ー30日:日本(5公演) これが1985年/1986年の“HERAT Tour”。次の“BAD ANIMALS Tour”と並ぶ最大ツアーだったわけですが、日本以外はすべて北米でした。本作のローリー公演は、その中でも序盤となる「北米#2」の14公演目。ちょうどツアー生活にも慣れて全力運転に入った一番オイシイ時期でもありました。そんなショウはABCラジオ・ネットワークの名物番組“Supergroups Live”で放送された事でも知られ、数々の既発やハーフオフィシャルを生み出して来た定番中の大定番。恐らく、本稿に目を留められた方なら何かしらの既発で体験された事があるのではないでしょうか。本作も同じFMサウンドボードではあるのですが、最近になって発掘された最新マスターなのです。その正体は「R.J.P.」コレクション。この人物はシカゴ在住の記録家で、オーディエンス録音のテーパーとしてだけでなく数々のTV/FM放送を精密に残した事でも知られる(例えば、トム・ペティの名作『BOSTON 1978 FM』もR.J.P.コレクションです)。本作は、その大元リール・マスターを名門「Krw_co」が発掘。したのです。そのクオリティは、まさに過去最高。古くから「オフィシャル級」と呼ばれてきた放送ですが、既発によってはゴワゴワ感で歪んでいたり、ダビング痕が拭えなかったり、それらを誤魔化すために派手にイコライジングした結果パッツンパッツンになっていたり……。それぞれ何かしら欠点を感じるものでした。しかし、本作にはそうした欠点が見当たらない。大元リールだけにダビング痕がないのは当然としても、わずかなノイズも見当たらず、それこそ昨日放送されたかのようにフレッシュなのです。しかも、本作はネット原音を独自マスタリングで磨き込んだ最高峰更新盤。半音の約50%ほど高かったピッチをビシッとアジャストし、やや右寄りだったステレオ感も補正。別物に仕上げるのではなく、原音の魅力を最大限に引きだし、音楽作品としての完成度を追求。まさに「オフィシャル代わり」となる決定盤に仕上げたのです。そんな極めつけサウンドで画かれるのは、歴史的な復活劇のド真ん中にいたHEARTのフルショウ。当時ならではのレパートリーも披露されていますので、チェックしてみましょう。ハート(8曲)・If Looks Could Kill/The Wolf/Never/These Dreams/Nobody Home(★★)/What He Don't Know(★★)/Shell Shock/What About Love クラシックス(9曲)・70年代:Magic Man/Crazy On You/Barracuda/Straight On/Dog & Butterfly・80年代:Bebe le Strange/Even It Up/How Can I Refuse?/Allies(★)※注:「★」印はその後演奏していない曲。特に「★★」はこのツアーだけの限定曲。……と、このようになっています。70年代クラシックスも交えつつ、軸となるのは最大ヒット作『HEART』の名曲群。アルバム全10曲中8曲を大盤振る舞い。現代感覚だとレア曲「Nobody Home」「What He Don't Know」を演奏していながら全米10位ヒットの「Nothin' at All」が外しているのが意外な気もしますが、実はこの曲がシングル・カットされるのは翌1986年になってから。ライヴ初演も「北米#5」でして、この辺もリアルタイム感だったりします。そして、そんなセットを綴るパフォーマンスがキレッキレ。新曲は餅論のこと、クラシックスもシャープなビートで80年代的にアップデートされ、シンガーとして脂の乗ったアン・ウィルソンの歌声は張りも伸びも余裕たっぷり。大成功の風を全身で受けているからこその自信に満ち溢れ、まだまだツアー疲れもないアンサンブルは、目に見えない音にも関わらず、眩しい輝きを感じるほどです。ステージ・テンションでアップグレードした『HEART』であり、全盛のバンド・ポテンシャルが溢れ出すライヴアルバムです。もはや公式/非公式の別さえ関係なく、HEARTの最高傑作と言っても通ってしまう大名盤。「1985年8月31日ローリー公演」のステレオ・サウンドボード録音。話題の「R.J.P.」コレクションから発掘されたマスター・リールから起こされた銘品で、そのサウンドは既発群を一蹴する完全オフィシャル級。ネット原音では半音の50%ほど高かったピッチや右寄りだったステレオ感も補正した最高峰盤です。レア曲「Nobody Home」「What He Don't Know」など、最大ヒット作『HEART』の名曲群が8曲も大盤振る舞いされるフルショウを楽しめるオフィシャル代わりの大名盤です。Dorton Arena, Raleigh, NC, USA 31st August 1985 STEREO SBD(UPGRADE) Disc:1 (43:56) 1. Intro 2. Band Interviews 3. If Looks Could Kill 4. The Wolf 5. Barracuda 6. Straight On 7. Never 8. These Dreams 9. Dog And Butterfly 10. Nobody Home Disc:2 (46:22) 1. What He Don't Know 2. Shell Shock 3. Bebe Le Strange 4. Even It Up 5. How Can I Refuse 6. What About Love 7. Magic Man 8. Allies 9. Band Introductions 10. Crazy On You 11. Supergroups Live Ann Wilson - Vocals Nancy Wilson - Guitar, Vocals Howard Leese - Guitar, Keyboards, Vocals Mark Andes - Bass Denny Carmassi - Drums STEREO SOUNDBOARD RECORDING