「アイルランドの悲劇」をモチーフにした超名作『HARBOUR OF TEARS』を送り出し、5年ぶりのツアーに乗り出した1997年のCAMEL。その生演奏を脳みそに流し込んでくれるサウンドボード・アルバムが登場です。そんな本作に記録されているのは「1997年4月5日クラクフ公演(ポーランド)」。そのステレオ・サウンドボード録音です。“HARBOUR OF TEARS Tour”と言えば、公式ライヴ作『COMING OF AGE』も残されているわけですが、もちろん本作は別公演。その辺の状況を把握するためにも、まずは当時の活動儀容から俯瞰してみましょう。1996年《1月15日『HARBOUR OF TEARS』発売》《夏;フォズ・パターソン/デイヴ・スチュワート加入》1997年・3月6日ー14日:北米(7公演)←※公式COMING OF AGE・3月16日ー22日:日本(5公演)・3月25日ー4月12日:欧州(17公演)←★ココ★・4月13日ー18日:英国(4公演)《夏;パターソン離脱→トン・スケルペンツェル交代》これが1996年/1997年のCAMEL。公式『COMING OF AGE』は来日直前の「北米」レッグで製作されましたが、本作のクラクフ公演は離日後の「欧州」レッグ。その11公演目にあたるコンサートでした。そんなショウは以前から極上サウンドボードが残された事でも知られ、本作はそのベスト・マスターからCD化されたもの。そのクオリティは、ずばり完全オフィシャル級。直前に正真正銘の公式作『COMING OF AGE』があるのでハンパなサウンドボードで「公式級」とは断言できないわけですが、本作は言える。それこそ『COMING OF AGE』の中にシレッと紛れ込ませても気づかないんじゃないかと思うほどの完璧ぶりなのです。そんなオフィシャル級サウンドボードで描かれるのは、壮大なる『HARBOUR OF TEARS』の物語世界。ただし『COMING OF AGE』とも似て非なるセレクトですので、ここで比較しながら整理してみましょう。クラシックス(2曲)・Lady Fantasy(★)/Never Let Go(★)港町コーヴの物語(10曲+α)・Irish Air/Irish Air (Reprise)/Harbour Of Tears/Cobh/Send Home The Slates/Under The Moon/Watching The Bobbins/Eyes Of Ireland/Running From Paradise/End Of The Day/Coming Of Age※注:「★」印は公式『COMING OF AGE』で聴けなかった曲。……と、このようになっています。本作はクラシックス2曲で幕を開け、その後『HARBOUR OF TEARS』再現パートへと進む構成。クラシックスは公式『COMING OF AGE』では演奏されなかった大代表曲「Lady Fantasy」「Never Let Go」が採用されました。『HARBOUR OF TEARS』再現はおおよそ『COMING OF AGE』に準じるものの、ハイライトの「Coming Of Age」で物語は終了。父に捧げられるエピローグ「The Hour Candle」は省略されています。それこそ『THE SNOW GOOSE』にも比肩する後期の最高傑作『HARBOUR OF TEARS』を生み出したCAMEL。「The Hour Candle」の未収録は惜しまれるものの、本作は「欧州版COMING OF AGE」と呼ぶに相応しい傑作サウンドボードです。あのアイリッシュ物語の世界に再び迷い込める銘品ライヴアルバム。「1997年4月5日クラクフ公演」のステレオ・サウンドボード録音。公式の名作『COMING OF AGE』にも負けないオフィシャル級サウンドボードで、公式では聴けなかった大代表曲「Lady Fantasy」「Never Let Go」も楽しめる。エピローグ「The Hour Candle」は省略されているものの、アイリッシュ物語『HARBOUR OF TEARS』の世界にじっくり浸りきれるサウンドボード・アルバムです。Hala Wista, Krakow, Poland 5th April 1997 STEREO SBD 1. Intro 2. Lady Fantasy 3. Never Let Go 4. Irish Air 5. Irish Air (Reprise) 6. Harbour Of Tears 7. Cobh 8. Send Home The Slates 9. Under The Moon 10. Watching The Bobbins 11. Eyes Of Ireland 12. Running From Paradise 13. End Of The Day 14. Coming Of Age STEREO SOUNDBOARD RECORDING Andrew Latimer - guitar, vocals, flute, Colin Bass - bass, vocals, keyboard Dave Stewart - drums, percussion Foss Patterson - keyboards