2023年12月3日、APRIL WINEの総帥マイルス・グッドウィン逝去。死因は明らかにされていませんが、昨年12月に健康問題からツアー生活からの引退を公表。最後のステージ(2023年3月2日)から9ヶ月を経ての訃報となりました。本作は、そんな彼を偲ぶように公開された極上サウンドボード・アルバム。APRIL WINEが世界制覇に乗り出した『HARDER ... FASTER』時代の生演奏を脳みそに注ぎ込んでくれる新名盤の登場です。そんな本作が記録されたのは「1980年1月17日デンバー公演」。そのステレオ・サウンドボード録音です。1980年のAPRIL WINEと言えば、何と言っても歴史に名高い「第一回MONSTERS OF ROCK」出演が伝説的。それも交えつつ、まずは当時の活動概要を俯瞰してみましょう。1979年・2月1日ー4月8日:北米#1a(17公演)・4月10日:ニューカッスル公演・4月16日ー5月28日:北米#1b(11公演)・7月2日:Canadian World Music Festival出演《10月『HARDER ... FASTER』発売》・10月27日ー12月31日:北米#2a(13公演)1980年・1月2日ー17日:北米#2b(5公演)←★ココ★・2月26日ー3月10日:欧州(10公演)・4月9日ー5月16日:北米#3(13公演)・6月21日ー29日:北米#4(3公演)・8月1日:バンクバー公演・8月16日:第一回MONSTERS OF ROCK出演 これが1979年/1980年のAPRIL WINE。彼らは1969年結成という老舗中の老舗なわけですが、その長い長いキャリアでも欧州ツアーが実現したのは1980年/1981年だけでした。本作のデンバー公演は、そんな欧州侵攻に臨む寸前。「北米#2」の最終日にあたるコンサートでした。そんなショウはワイオミング州のロック専門局“KAZY”からFM放送され、マニア間では“HARDER ... FASTER Tour”の象徴ともされてきました。本作は、そんなFM放送サウンドボードの最高峰マスター。当時の放送を記録した大元リール・マスターからダイレクトにデジタル化された銘品なのです。そのサウンドは、まさに苛烈にして超リアル。ひと口に「オフィシャル級」と言っても様々なタイプがありますが、本作の場合は「発掘オフィシャル級」とでも言えるもの。磨き込まれたレビュラー作品風ではなく、ムキ出しの生演奏が無加工・無遠慮に繰り出されるタイプ。1音1音が凄まじい音圧で吹き出し、凄まじいステレオ幅で左右に吹っ飛ぶパンも強烈。曲間になると大歓声も吹き上がりますが、演奏音自体はミックス卓直結系のような強靱サウンドボードです。そんな強力丸出しサウンドで描かれるのは、世界制覇の野心に燃える激アツのステージ。当時のハイライトと言えば第一回MONSTERS OF ROCKに尽きるわけですが、本作はフェス用のショート・セットでは聴けなかったレパートリーも盛りだくさん。早速、比較しながら整理してみましょう。HARDER... FASTER(5曲)・I Like To Rock/Ladies Man/Say Hello(★)/Before The Dawn/21st Century Schizoid Man その他(8曲)・FIRST GLANCE:Get Ready For Love/Rock N' Roll Is A Vicious Game(★)/Right Down To It(★)/Hot On The Wheels Of Love(★)/Roller・その他:Ooowatanite/Don't Push Me Around/You Could Have Been A Lady(★)※注:「★」印は第一回MONSTERS OF ROCKでは演奏しなかった曲。……と、このようになっています。当時のAPRIL WINEはツアー毎に大きくセットを入れ替えており、時期の近い『LIVE AT THE EL MOCAMBO』や『LIVE IN LONDON』ともかなり違う。代表曲「You Could Have Been A Lady」「Roller」も演奏されますが、軸となるのは『HARDER... FASTER』の新曲群。アルバムの全8曲中5曲も大盤振る舞いされ、当時話題になった「21世紀の精神異常者」も披露されています。そして、その演奏ぶりが素晴らしい。スタジオ・アルバムではやや味わい系でしたが、本作ではステージ・テンションでパワーが爆上げ。強靱サウンドボードに乗ってアグレッシヴでタフなアンサンブルがブチかまされ、バンド本来の魅力が全開。話題の「21世紀の精神異常者」にしても、本家KING CRIMSONを凌駕する狂気がムキ出しになっているのです。日本では今ひとつ過小評価……と言いますか、そもそも評価に至らないほどの知名度だったAPRIL WINE。しかし、その本領は苛烈なまでに眩しかったのです。本作は、そんな輝きを教えてくれる音の証拠品。総帥マイルス・グッドウィンに捧げられたサウンドボードの新名盤。「1980年1月17日デンバー公演」のステレオ・サウンドボード録音。総帥マイルス・グッドウィン追悼のために公開されたマスターで、当時のFMリール・マスターからデジタル化された銘品。ムキ出しの生演奏が無加工・無遠慮に繰り出されるリアル・サウンドボードで、1音1音が凄まじい音圧で吹き出し、凄まじいステレオ幅で左右に吹っ飛ぶパンも強烈。「21世紀の精神異常者」のド迫力カバーも美味しい“HARDER... FASTER Tour”の絶対盤です。Rainbow Music Hall, Denver, Colorado, USA 17th January 1980 STEREO SBD R.I.P. Myles Francis Goodwyn (23rd June 1948 3rd December 2023) 1. Intro 2. Ooowatanite 3. Get Ready for Love 4. I Like to Rock 5. Ladies Man 6. Say Hello 7. Rock and Roll is a Vicious Game 8. Right Down to It 9. Hot on the Wheels of Love 10. Before the Dawn 11. 21st Century Schizoid Man 12. Drum Solo 13. Roller 14. Don't Push Me Around 15. You Could Have Been A Lady Myles Goodwyn - vocals, guitars Brian Greenway - vocals, guitars Gary Moffet - guitars, background vocals Steve Lang - bass, background vocals Jerry Mercer - drums STEREO SOUNDBOARD RECORDING