ジョー・リン・ターナー初見参となった1981年の来日公演。その秘宝サウンドボードがブラッシュ・アップ。細密マスタリングで生まれ変わったパワフル・サウンドCDが登場です。そんな本作に刻まれているのは「1981年8月28日:日本武道館」公演。そのステレオ・サウンドボード録音です。“DIFFICULT TO CURE Tour”と言えば、『DEFINITIVE BOSTON 1981』等のサウンドボード名盤が大定番。良い機会でもありますので、まずはワールドツアーの全体像を俯瞰してサウンドボード・コレクションの位置関係を確認してみましょう。《2月9日『DIFFICULT TO CURE』発売》・2月20日ー5月13日:北米(52公演)←※DEFINITIVE BOSTON・6月3日ー7月5日:欧州(24公演)・7月8日ー7月27日:英国(16公演)←※OUTRAGE・8月18日ー28日:日本(8公演)←★ココ★・9月5日:ホノルル公演《9月:ドン・エイリー離脱→10月:デイブ・ローゼンタル加入》これが1981年のRAINBOW。その長尺サウンドボードと言えば、北米編の『DEFINITIVE BOSTON 1981』、ヨーロッパ篇の『OUTRAGE: LONDON 1981(Darker Than Blue 090)』、そして日本武道館サウンドボード(本作)が三本柱なのです。また、上記のように来日公演はワールド・ツアーの最終盤であり、本作の日本武道館公演はその最終日。一説によるとホノルル公演は雨天で中断となっており、本作こそが最後のフルショウでもありました。さて、そんな日本公演サウンドボードは2005年に『SURRENDER DOCUMENT』として初登場。本稿に目を留められた方なら、それまで存在も知られていなかったサウンドボードがいきなり登場した衝撃をご記憶なのではないでしょうか。本作は、その後に発掘されたアップグレード・テープ『DEFINITIVE SURRENDER DOCUMENTS』をベースとして、「GRAF ZEPPELIN」の細密マスタリングで磨き直された最高峰更新盤なのです。そのサウンドは、まさに「別モノ級」のアップグレード。「GRAF ZEPPELIN」マスタリングはあらゆる手法を駆使して当時の出音を再現していくわけですが、今回は大きく3つのポイントでアップグレードが実感できると思います。まず第一に「帯域分析」。既発を体験された方ならピンと来ると思いますが、この武道館サウンドボードは明らかな卓直結系。家庭用オーディオでの再生を考慮していない現場ミックスでして、低音が極端に薄くドラムもポコポコと軽い音でした。今回は単に低音を強化するだけでなくレンジも広く取り、「録音のバランス」から「バンドが奏でるバランス」に調整。バスドラにもハラを蹴り上げるド迫力が宿り、アンサンブル自体のダイナミズムも格段に向上しているのです。第二に「位相調整」。位相が少しでもズレるとステレオ感に狂いが生じるわけですが、特にマイク録音ではないサウンドボードの場合は定位がセンターにビシッと揃っているもの。ところが今回の大元テープを精密にチェックしてみると、わずかに左に寄っていました。普通に聴く分にはさして違和感もないわけですが、「GRAF ZEPPELIN」は1/1000秒のズレも許さない制度で補正しており、本来のサウンドを正確に再現しているのです。第三は「録音漏れの補填」。これも既発を体験された方ならご存知と思いますが、このサウンドボードは完全録音ではない。「Can't Happen Here」の演奏後にテープチェンジの欠けがあり、さらに終盤「Long Live Rock 'n' Roll」も約2分で録音が終了してしまうのです。これまでの既発群は発掘マスターの真実そのままにブツ切れでしたが、今回は音楽作品としての完成度を重視。欠けパートをフル・オーディエンス録音『TOTAL SURRENDER』で補填されています。アンコールは未収録なので最長記録の更新とはなっていません(フルの体験感は『TOTAL SURRENDER』でお楽しみください)が、曲の途中でバッサリ切られるガッカリ感は大幅に改善。ライヴアルバムとして、すんなりと聴き終えられる1枚に仕上がっているのです。『STRAIGHT BETWEEN THE EYES』や『BENT OUT OF SHAPE』時代と違い、公式ライヴ作が残されなかった“DIFFICULT TO CURE Tour”。その三大サウンドボードの一角が究極形にアップグレードした1枚です。未だに完全収録ではないために頂点作は『DEFINITIVE BOSTON 1981』となるでしょうが、演奏そのものは大人気の日本の方が上を行く。しかも、本作は肝心要のリッチーにフォーカスが当てられたギター・アルバムでもあるのです。そんな秘宝の武道館サウンドボードの可能性を極限まで引きだした1枚。(リマスター・メモ)位相修正 前回盤で左に偏っていたのが改善されています EQ補正。レンジ広めのサウンドに戻し低域を補強。 ドライブ感が幾分増しました 2箇所をAud音源(TOTAL SURRENDER)で補填し、CD収録中はLLRRまでながら、疑似ノンストップ収録「1981年8月28日:日本武道館」公演のステレオ・サウンドボード録音。『SURRENDER DOCUMENT』で衝撃を呼んだ発掘サウンドボードで、アップグレード・テープを「GRAF ZEPPELIN」が磨き込んだ最高峰更新盤です。軽かった重低音もド迫力に生まれ変わり、録音漏れのあった「Can't Happen Here」「Long Live Rock 'n' Roll」も同日オーディエンスで補完。秘宝サウンドボードの可能性を極限まで引きだした新名盤です。Budokan, Tokyo, Japan 28th August 1981 STEREO SBD(from Original Masters)*UPGRADE!!!! (79:52) 01. Land Of Hope And Glory 02. Over The Rainbow 03. Spotlight Kid 04. Love's No Friend 05. I Surrender 06. Lazy Intro 07. Man On The Silver Mountain 08. Catch The Rainbow 09. Can't Happen Here ★3:56-4:21(演奏直後) Audで補填 10. Keyboard Solo 11. Lost In Hollywood 12. Guitar Solo 13. Difficult To Cure 14. Jam/Drum Solo 15. Long Live Rock 'n' Roll ★1:53以降 Audで補填 Ritchie Blackmore - Guitar Joe Lynn Turner - Vocals Roger Glover - Bass Don Airey - Keyboards Bob Rondinelli - Drums STEREO SOUNDBOARD RECORDING