再びレス・パティンスンが離脱しつつも、活動は安定化していった1999年のECHO & THE BUNNYMEN。その生演奏を脳みそに流し込んでくれるサウンドボード・アルバムが登場です。そんな本作に記録されているのは「1999年10月23日ラスベガス公演」。そのステレオ・サウンドボード録音です。1999年と言えば、再編第二弾である『WHAT ARE YOU GOING TO DO WITH YOUR LIFE?』時代。まずは、その活動概要を俯瞰し、ショウのポジションを確かめてみましょう。・4月1日:ロンドン公演《4月5日『ウィズ・ユア・ライフ』発売》・4月11日ー5月22日:欧州#1(23公演)・7月3日+2日:欧州#2(2公演)・8月7日ー28日:欧州#3(3公演・9月17日ー29日:南米(5公演)・10月1日ー27日:北米(19公演)←★ココ★ これが1999年のECHO & THE BUNNYMEN。おおよそ主戦場のヨーロッパを巡っていましたが、秋口には新大陸へも出征。本作のラスベガス公演は、そんな「北米」レッグの17公演目にあたるコンサートでした。そんなステージは、伝説的な極上級サウンドボードが残された事でも有名。FM放送などではなく、現場で直接ミックス卓から録音された流出物なのですが、その経緯がスゴい。録音した人物の立場は不明なものの、大胆にもライヴの数週間前にバンドのマネージャーに「録音させてくれ」とメールで連絡。しかも、どういう理由かマネジメント側はこの申し出を快諾し、さらにはメンバーに会うためのバックステージ・パスまで用意してくれた。特別待遇に感激したこの人物は急遽ラスベガスまで飛んで録音に臨んだそうです。そんな疑問だらけのサウンドボードは以前から流出してきたわけですが、本作はその大元DATからデジタル化された銘品なのです。実際、そのサウンドは極太にして超クリア。前述の経緯からも分かる通り、歓声などは遠く遠くに囁く直結系でして、コンサートの体験感はほぼゼロ。その一方で無加工・無修正の生演奏がムキ出しで吹き出す醍醐味が凄まじく、全身がバンドと完全一致するようなシンクロ感に没入できるのです。さらにポイントなのが美しさ。ミックス卓直結系は家庭用オーディオでの再生が考慮されておらず、ミックスはあくまで現場PAファースト。そのため、アンサンブルのバランスが歪であったり、途中で乱れる事も珍しくありません。ところが、本作にそれはない。冒頭からバンド全体がキレイに整っており、安定感もバツグン。マネジメントが録音に配慮したのかもしれませんが、流出物には欠けがちな「作品感」まで宿っているのです。そんなアーティスティックな極上サウンドボードで描かれるのは、レア曲もたっぷりな“WHAT ARE YOU GOING TO DO WITH YOUR LIFE? Tour”のフルショウ。パティンスン離脱後のライヴというと公式作『LIVE IN LIVERPOOL』も時期的に近いのですが、セットはかなり異なる。ここでは比較しながら整理しておきましょう。●80年代(12曲)・クロコダイルズ:Rescue/Crocodiles(★)/Do It Clean(★)/Villiers Terrace(★)・オーシャン・レイン:Seven Seas/The Killing Moon/Ocean Rain・その他:Over The Wall/The Back Of Love/The Cutter/Bring On The Dancing Horses(★)/Lips Like Sugar 再結成後(8曲)・エヴァーグリーン:Evergreen(★)/I Want To Be There (When You Come)(★)/Altamont(★)/Nothing Lasts Forever・ウィズ・ユア・ライフ:What Are You Going To Do With Your Life?(★)/Fools Like Us(★)・その他:The Fish Hook Girl(★★)/Loose ※注:「★」印は公式『LIVE IN LIVERPOOL』で聴けなかった曲。特に「★★」印はこのツアーだけの限定曲。……と、このようになっています。『WHAT ARE YOU GOING TO DO WITH YOUR LIFE?』からの新曲は2つだけにも関わらず、『LIVE IN LIVERPOOL』と被っているのは9曲だけ。「★」付きの方が多いくらいです。「Loose」は馴染みのない曲名かもしれませんが、THE STOOGESのカバー。また、この他にも「Do It Clean」にはTHE DOORSの「Roadhouse Blues」が盛り込まれ、「Ocean Rain」の前にはウェイン・ニュートンの「Summer Wind(60年代のドイツ語曲を英語化したもの)」がアカペラで歌われています。公式作『LIVE IN LIVERPOOL』にも負けない極上サウンドながら、まるで異なるセットと卓直結だからこそのシンクロ感もたっぷり味わえるライヴアルバムです。大元DATマスターから起こされた準オフィシャルの絶対作。「1999年10月23日ラスベガス公演」のステレオ・サウンドボード録音。マネジメント許可の下でミックス卓から直接録音された流出系で、大元DATマスターからデジタル化された銘品。無加工・無修正の生演奏がムキ出しで吹き出す醍醐味が凄まじく、全身がバンドと完全一致するようなシンクロ感に没入で る。公式『LIVE IN LIVERPOOL』でも聴けない名曲群が山盛りのフルショウを超極上クオリティで味わえる準オフィシャルの絶対作です。House of Blues, Las Vegas, NV, USA 23rd October 1999 STEERO SBD(from Original Masters) Disc:1 (44:05) 1. Introduction 2. Rescue 3. Crocodiles 4. Evergreen 5. Loose 6. The Fish-Hook Girl 7. Seven Seas 8. Bring On The Dancing Horses 9. Back Of Love 10. What Are You Going To Do With Your Life? 11. Fools Like Us 12. The Killing Moon Disc:2 (46:59) 1. I Want To Be There (When You Come) 2. Altamont 3. The Cutter 4. Lips Like Sugar 5. Nothing Lasts Forever 6. Do It Clean / Elvis impersonation / Roadhouse Blues 7. Villiers Terrace 8. Over The Wall 9. Summer Wind 10. Ocean Rain STEREO SOUNDBOARD RECORDING Ian McCulloch - vocals, guitar, piano Will Sergeant - lead guitar Guy Pratt - bass★ Jeremy Stacey - drums