ボブ・ディラン1990年代のライブをオリジナルDATマスターリリースするシリーズは1996年の『THE MAINE EVENT: DEFINITIVE DAT MASTER; PORTLAND 1996』三部作に1998年の『NEWCASTLE 1998』と『HAMBURG 1998』がリリースされ、それらがすべて大好評となっていますが、海外のマニアが今回提供してくれたのは1995年のライブ音源。この年もDATレコーダーの普及を反映してリアタイで多くのアイテムがリリースされたものですが、それも今となっては見る影もなくなってしまったという。こうした状況に一石を投じるべく超クリアーなDATマスターでリリースされるのは5月26日のバークレー。タイトルに『DEFINITIVE MASTER』が冠せられていることからも察しがつくかと思われますが、この日は過去にThinmanレーベルから『FIRE STILL SMOKIN’』というアイテムでリリースされた実績のある日。ところが今回はそれに使われたのとは別のオーディエンス録音が使われており、まるで音質が別次元。『FIRE STILL SMOKIN’』も良好なオーディエンス録音ではありましたが、今回のDATマスターはサウンドボードに迫る勢いのオンな音像が圧巻。DATを送ってくれた海外のディラン研究家をして「是非”DEFINITIVE”の名を冠してもらいたい」とお達しが来たほど。一点の曇りもないクリアネスもまた実に素晴らしい。これぞ極上オーディエンスのお手本と呼びたくなる音質はリアタイでリリースされた95年アイテムすべてが太刀打ちできないハイクオリティ。それに何と言ってもディランがオープニングからエンジン全開でして「Crash On The Levee (Down In The Flood)」でハーモニカを吹きまくる場面だけでもこの日のディランが絶好調であることを確信してもらえるはず。その一方でしっとりと歌い上げる「Born In Time」など緩急自在なパフォーマンスぶりは正に95年ならでは。またこの年の特徴としてはアコースティック・ナンバーになるとディランが非常にソフトで繊細な歌い方で聞かせてくれるのも大きな特徴。この傾向は前年の『MTV UNPLUGGED』でも垣間見られましたが、95年はそんな表現力に富んだ歌い方の頂点と呼べる時期でした。それを証明するように「Mr. Tambourine Man」から「It’s All Over Now, Baby Blue」までのライブ中盤におけるアコースティック・コーナー、さらにフィナーレ「One Too Many Mornings」ではディランのソフトな歌い方が炸裂。何しろ音質が抜群ですので、こうした繊細な表現もあますとこなく捉えてくれている。おまけに95年といえば世界中のマニアをアッと言わせた「Obviously Five Believers」のライブ・デビュー。稀代の名盤『BLONDE ON BLONDE』のサイドCに収められた名曲はなかなかライブで披露される機会がなかったのですが、95年に入って突如レパートリーに加えられたことで世界中のマニアが狂喜。しかも当時のギタリストであったJJ・ジャクソンによるギタープレイが素晴らしく、見事にステージ映えするレパートリーとして翌年まで演奏され続けられたのでした。この最高にカッコイイ演奏も完璧な音質で楽しめます。もう二度と演奏されることがないであろう名盤の名曲の素晴らしい演奏に改めて打ちのめされることかと。そしてバークレーでは前日もライブが行われたのですが、そこでは「Pledging My Time」に「Seeing The Real You At Last」というレア・ナンバーが披露されています。そこでボーナストラックにこれら二曲を追加収録。こちらも素晴らしい音質のオーディエンス録音であることは言うまでもありませんが、「Pledging My Time」はこれまた『BLONDE ON BLONDE』収録に名曲にしてライブ演奏の希少なレパートリー。こうして充実の内容と完璧な音質でお届けする95年ディランの新世代名盤がここに爆誕!サウンドボードにしか聴こえない怒涛の超高音質。音だけでもぶっ飛ばされること間違いなし Berkeley Community Theatre, Berkeley, CA, USA 26th May 1995 ULTIMATE SOUND(from Original Masters) Disc:1 (63:47) 1. Intro 2. Crash on the Levee (Down in the Flood) 3. Senor (Tales of Yankee Power) 4. All Along the Watchtower 5. Born in Time 6. Silvio 7. Tombstone Blues 8. Mr. Tambourine Man 9. Gates of Eden 10. It’s All Over Now Baby Blue Disc:2 (52:38) 1. Jokerman 2. I’ll Remember You 3. Band Introductions 4. Obviously Five Believers 5. Knockin’ on Heaven’s Door 6. One Too Many Mornings Bonus Tracks : Berkeley Community Theatre, Berkeley, CA, USA 25th May 1995 7. Pledging My Time 8. Seeing The Real You At Last Bob Dylan - vocal & guitar) Bucky Baxter - pedal steel guitar & electric slide guitar John Jackson - guitar Tony Garnier - bass Winston Watson - drums & percussion