「DARK SIDE OF THE MOON Tourの秘宝」と謳われた貴重録音がブラッシュアップ。ハイレゾ・データまで活用した「GRAF ZEPPELIN」による細密サウンドで登場です。そんな本作に刻まれているのは「1972年5月2日ニューヨーク・シティ公演」。そもそも記録の少ない全米ツアーを伝える超極上オーディエンス録音です。当店ではPINK FLOYD全史を扱っておりますが、中でも1972年は歴史的にも重要な時期。可能な限りの名録音でアーカイヴしてきました。その代表作コレクションを整理しつつ、本作のポジションも確認してみましょう。1972年・1月17日ー19日:リハーサル・1月20日ー2月20日:英国(16公演)←※THE BEST OF TOUR 72他・3月6日ー13日:日本(6公演)←※SAPPORO 1972他・3月29日+30日:マンチェスター(2公演)・4月14日ー5月4日:北米#1(17公演)←★ココ★・5月18日ー6月29日:欧州#1(5公演)←※BRIGHTON 28TH JUNE 1972・9月8日ー30日:北米#2(17公演)←※※HOLLYWOOD BOWL 1972他・10月21日ー12月10日:欧州#2(23公演)←※ZURICH 1972 MATRIX他 1973年・1月13日ー2月4日:パリ(4公演)《3月1日『狂気』発売》・3月4日ー24日:北米#3(16公演)←※DEFINITIVE BOSTON 1973他・5月18日+19日:ロンドン(2公演)←※EARLS COURT 1973 2ND NIGHT他・6月17日ー29日:北米#4(13公演)←※TAMPA 1973他・10月12日ー11月4日:欧州#3(4公演)←※RAINBOW 1973他 ※注:各レッグとも代表タイトルのみ。これが“DARK SIDE OF THE MOON Tour”の全体像。錚々たる名盤が並んでいますが、これでもごく一部の代表作だけ。掲載しきれない分も考えてみると意外と記録に偏りがありまして、ざっくり「1972年=欧州/1973年=米国」なイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな中で本作のニューヨーク公演は、例外的な穴場「北米#1」の16公演目。あの大名盤『DEFINITIVE CHICAGO 1972』の4日後(3公演後)にあたるコンサートでした。そんなショウの価値がグイッと上がったのが2015年のこと。それまでも音の今イチなモノラル録音が知られてきたのですが、その大元マスターが発掘。それがなんと(疑似ではない)リアル・ステレオの超極上サウンドだったのです。大ヒットしたのですが、本作はそのアップグレード盤なのです。今回も「GRAF ZEPPELIN」による細密マスタリングで仕上げられているのですが、最大のポイントはハイレゾ・データまで活用していること。ネット公開された大元トランスファーは幾つかのバージョンがありましたが、本作のベースになっているのは最も高品質だった「88.2khz/32bit」版なのです。もちろん、CD化に際して「44.1KHz/16bit」にはなるわけですが、高品質なデータでマスタリングした方がより精度が高いしあがりになる。例えば、デジカメでも最初から低解像度で撮影するのではなく、高解像度で撮影してから変換した方が美しく仕上がる。感覚的には、それと同じ感じです。実際、本作のサウンドは既発『よりディテールが細やか。オンな芯が迫るダイレクト感に差異はありませんが、その輪郭や音の感触がえらく細かい。これも感覚的に喩えますと、従来盤の芯がビニール紐とするなら本作は毛糸。表面がツルッと淡泊なのではなく、細かい繊維のけば立ちまで感じられる。つまり、1音1音が単なる楽器音としてだけでなく、振動している現場大気の存在感まで宿っているのです。そして、サウンドだけでなく編集も細密。これまた微細なノイズ処理が徹底されているのですが、それ以上にハッキリ分かるのは曲間でしょうか。実のところ、ネット公開されたトランスファー・データはトラック割りがやや雑でして、そのままですとプチッというギャップ・ノイズが発生していました(厳密に言いますと単なる空白ではなく、音が減衰している)。既発群ではクロスフェイドでギャップをなくしていたわけですが、それですとコンマ数秒ではありますが貴重な記録が失われてしまう(しかも「エコーズ/神秘」間の違和感は解消し切れていませんでした)。そこで、本作ではギャップ部分の減衰自体を復元。クロスフェイドすることなく、欠損ゼロでシームレス接続を実現しているのです。やたらと細かくマニアックな話ばかりになってしまいましたが、それもこれも「それくらい精度が高い」「究極を目指している」という事なのです。そもそも、カーネギー・ホール録音は存在自体がマニアックでもありました。“DARK SIDE OF THE MOON Tour”は二部構成で、特に第一部の「初期版の狂気」が注目の的。ところがカーネギーでは『狂気』パートが録音されておらず、第二部だけでした。それでも注目されるほど音が良く「もし完全録音だったらDEFINITIVE CHICAGO 1972も超えかねない」とさえ称されたのです。そんなマニアックな記録をマニアックに突き詰めた……それが本作なのです。「マニア」とは、一般人では気づけない美点・長所を見極め、本質を愛でる「目利き」の事。カネーギー録音は不完全であっても、紛れもなく眩しく輝いている。「1972年5月2日ニューヨーク・シティ公演」の超極上オーディエンス録音。リアル・ステレオのベスト・マスターを「GRAF ZEPPELIN」が仕上げた最高峰更新盤です。最高品質のハイレゾ「88.2khz/32bit」版から磨き直したサウンドは従来盤より格段に解像度が高く、大元データでさえ発生していたギャップ・ノイズも(クロスフェイドで欠損させることなく)シームレスに補修。第二部パートだけながら、北米ツアーでも最高峰と言われる名録音の可能性を最大限に引き出した至高盤です。リマスター・メモ 今回は既発と異なり、88.2khz-32bitのハイレゾ・データからの新規リマスタリングとなっています。全体の音の厚みと情報量が増したほか、帯域分布も6khzあたりから高域にかけてなめらか。 EQ処理も行っていますが、大きな改変処理は行わず、ハイレゾデータの質感を尊重したマスタリングです。Carnegie Hall, New York City, NY, USA 2nd May 1972 TRULY PERFECT SOUND(UPGRADE) (72:24) 1. One Of These Days 2. Careful With That Axe, Eugene 3. Echoes 4. A Saucerful Of Secrets