エルヴィス・コステロ8年ぶりの来日は毎回の公演が大きな話題を振りまくことになりました。何故なら今回はスティーブ・ナイーブと二人での来日という身軽なフォーメーション。そうなればどんな曲でも演奏出来てしまう…実際に今回の来日公演はそれぞれの日のセットリストがまるで違うという驚異的な結果に。その日しか聞かれないレパートリーのオンパレード、そもそもオープニングが毎回違うなど、長年活動を続けてきた二人でのステージのメリットが最大限に活かされる結果となり、連日あまりにも変化するセットリストにマニアは狂喜したのでした。そうなるとすべての公演を聞いてみたくなるのがマニアというもの。そんなツアーから今回は初日を独自入手のオーディエンス録音にてさっそくリリース。今回提供された音源は奥行きのある音像で素晴らしい聞き心地なのですが、ライブ序盤に関しては会場からの出音がちょっと弱い感が。それもそのはず、この日は二人のシンプルな弾き語りの何かで始まるかと思いきや、打ち込みをバックにした「When I Was Cruel No. 2」という意表をついたオープニング。思いのほか大音量な演奏をしょっぱなからかましたが故に抑え気味の出音となったのです。ところがすべての公演が無事に終了した今となってはこの特異なオープニングは初日だけのものであり、他の日はスマートな弾き語りからの幕開けとなったのでした。会場の音量も「Accidents Will Happen」辺りから上がって音像もさらに近くに。おまけにここで聞かれる「Accidents~」のアレンジは1978年ハリウッド・ハイのライブアルバムと同じアレンジで演奏しており、マニア感涙のバージョンとなったのです。このように、それぞれの曲でアレンジの方向性が異なっており、原曲に忠実なものもあれば「Beyond Belief」はアコースティックな編成だとそう来るか!と意外性に富んだアレンジで演奏されています。あるいは初期コステロの定番「(The Angels Wanna Wear My) Red Shoes」に関しても新鮮なアレンジが魅力でした。何しろシンプルな編成ですのでセットリストは変幻自在、キャリアのすべてに及ぶ幅広い選曲はまったく飽きさせることがない見事なもの。90年代のコステロが生み出したクラシックと呼べる「Still Too Soon To Know」も素晴らしい演奏。また日本でもっともメジャーなコステロ・ソングの一つである「She」は来日公演の直前にインポスターズを率いて行われたバンドセットのオーストラリア・ツアーではまったく演奏されておらず、ナイーブと二人というフォーメーションだからこそ演奏できた曲。そんなナイーブは「(What's So Funny 'Bout) Peace, Love And Understanding?」の二番でリードボーカルをとるなど、それまでないないパターンも話題を呼んだだけでなく、彼の歌声もまた非常に魅力的。そして「Alison」でしっとり締めくくるというファン泣かせなフィナーレ。始めから終わりまで、彼の名曲がぎっしり詰め込まれた最高のライブとなった今回の来日公演。その初日を独占入手音源にて最速でリリース。Sumida Triphony Hall, Tokyo, Japan 8th April 2024 PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc:1 (58:43) 1. Intro 2. When I Was Cruel No. 2 3. Watch Your Step 4. Jack of All Parades 5. Like Licorice on Your Tongue 6. Accidents Will Happen 7. Clubland 8. Ghost Town 9. Don't Let Me Be Misunderstood 10. Ascension Day 11. Beyond Belief 12. Hey Clockface / How Can You Face Me? 13. Shot With His Own Gun 14. Still Too Soon to Know Disc:2 (52:50) 1. (The Angels Wanna Wear My) Red Shoes 2. Hetty O'Hara Confidential 3. Almost Blue 4. Still 5. Watching the Detectives 6. I Still Have That Other Girl 7. She 8. Everybody's Cryin' Mercy 9. (What's So Funny 'Bout) Peace, Love and Understanding 10. Alison