文字通り精力的なライブ活動に明け暮れた1969年のZEP。そんな中でもさらなる成功に向かうべく新たなモードが初めて披露された10月序盤のヨーロッパでのライブ出演。実質的には10月中旬から始まる69年最後のアメリカツアーの前のウォームアップ的な要素が強く、この時期は同年のライブ活動の中にあっても特異な時期だと呼べるのでは。今でこそ10月10日のオリンピア劇場でのラジオ放送という決定的なサウンドボード音源が発掘され、なおかつ公式でもリリースされている訳ですが、それ以前と言えばほとんど謎に包まれた時期と言ってもおかしくなかった。むしろマニアからすれば一年を通してライブ音源に恵まれている69年の中にあって全貌のつかみにくい時期…という状況が長年に渡って続いていたのも今となっては懐かしい思い出。そうした状況の中にあって唯一の記録として貴重な存在であったのが12日のロンドンはライセウム・ボールルームでのステージを捉えたオーディエンス録音。「Led Zep」というアーティスト名クレジットも懐かしい飛行船ジャケLPが長年に渡って唯一のアイテムとされ、CD時代を迎えてからも当初はそこからのコピー盤のリリースが横行してしまうほどでした。 流石にその後はテープを元にしたアイテムが登場しますが、それも当初はジェネ不明なテープでCDアイテムとしてはキビしいアイテムが続き、LP時代の定番扱いが嘘のような状況へと陥ってしまいます。その状況にようやく終止符を打ってくれたのが「GRAF ZEPPELIN」からのリリースだった『LIVE AT THE LYCEUM IN LONDON』ではないでしょうか。ところが最近になってKrw_coが「2nd gen」のバージョンを公開。既にGRAF盤で非常に聞きやすいレベルの域にまで到達していた音源ではありますが、今回はより明るくクリアーな音質。もっともカット個所が生じる個所、特にフィナーレ「How Many More Times」が尻切れトンボになってしまうところなどは従来と変わらないのですが、今回は明るくクリアーな音質が際立つ印象。これまでのリリースと比べてもスピーカー映えするクリアーさが際立っており、初心者などは間違いなく今回のバージョンの方が聞きやすく感じるはず。またこの日のライブは演奏が静かになる展開が多く、結果としてそれもまた聞きやすさに大きな貢献を果たす結果となっています。それ故にLP時代からリリースされてきたオーディエンス録音なのですが、今回のバージョンをスピーカーから大きな音で鳴らすとより実感してもらえることでしょう。もちろん遅すぎたピッチもきっちりアジャスト。この独特な聞きやすさの更なる要因としては、この日の観客の大人しさ(ライブ冒頭でボンゾの名前がコールされると「NO」と発する観客には苦笑させられますが)も一役買っている。おまけに「Heartbreaker」や「What Is And What Should Never Be」といったリリース直前の新曲が含まれていることも関係しているでしょう。それでいてプラントを始めとしたバンドの熱量は非常に高く、結果として「演奏が激しくて観客が大人しい」という1971年まで続く「UK現象」が既に捉えられています。実際「Heartbreaker」などはイントロからして初々しい雰囲気に溢れている一方で演奏は既に激しいものがある。パリのラジオ放送からも演奏が進化しており、バンドが渡米を前にして仕上げにかかっていることは明らか。フィナーレ「How Many More Times」の途中でジミーが見せるグランジ風な展開がまた面白く、一週間後に控えた69年最後のアメリカツアーを前に慎重に模索しつつも力強い演奏を聞かせるZEPの様子をリアルに捉えてくれた優良オーディエンスの価値は未だ衰えず。そしてLPの時代は二枚のディスクにまたがって収録されていた音源も今やCD一枚にサクッと収まってこれまた聞きやすい。リマスター・メモ大きく遅いピッチを修正して音圧を上げたのみです。複数あったプチノイズ、一瞬の方チャンネル音落ち原因の音の揺らぎを緩和しました。Lyceum Ballroom, London, England 12th October 1969 PERFECT SOUND UPGRADE!!! (59:31) 1. Tony Statton-Smith Intro 2. Good Times Bad Times Intro / Communication Breakdown 3. I Can't Quit You Baby 4. Heartbreaker ★冒頭で左チャンネルの音圧が低いのを調整。 5. You Shook Me 6. What Is And What Should Never Be 7.. Dazed And Confused with Mars: The Bringer Of War 8. How Many More Times with Colours, Beck's Bolero, Over Under Sideways Down, Down By The River, The Hunter, Eyesight To The Blind, Shake For Me, Boogie Chillun'