ロック史に異形の魅力を刻みつつ、泡沫に終わった幻のユニット「イアン・ギラン+BLACK SABBATH」。その現場を伝える新名盤が2タイトル同時リリース決定です!本作は2連作の第一弾。「1983年9月18日オッフェンバッハ公演」のクリア・オーディエンス録音です。かつては秘境だった“BORN AGAIN Tour”も現在ではリサーチが進み、当店の3大サウンドボード『READING ROCK '83』『DEFINITIVE PARIS 1983』『CAPTURED LIVE 1983』を筆頭に、かなり解明されてきました。そんな中で本作のポジションはいかなるものなのか。当店コレクションを整理しつつ、当時の活動概要を振り返ってみましょう。1983年《8月7日『BORN AGAIN』発売》・8月18日ー28日:欧州#1(7公演)←※READING ROCK '83・9月13日ー10月3日:欧州#2(15公演)←★ココ★・10月17日ー11月30日:北米#1(32公演)←※CAPTURED LIVE 1983 1984年・1月25日ー3月4日:北米#2(25公演)《4月27日:DEEP PURPLE再結成》これがイアン・ギラン時代の全体像。各地から名録音が残されていますが、その中でも今週の2連作は両方とも「欧州#2」の記録です。ここは公演数の割りに名録音を多く輩出してもいる。さらに日程をフォーカスしてみましょう。欧州#2の詳細・9月13日:バルセロナ公演*9月14日『GILLAN IS A ROCK 'N' ROLL DOCTOR(マドリード)』・9月15日ー15日(3公演)*9月18日:オッフェンバッハ公演 ←★本作★・9月19日ー25日(5公演)*9月27日『GERMANY 1983(ノインキルヒェン)』*9月28日『GERMANY 1983(ベーブリンゲン)』*9月30日『DEFINITIVE PARIS 1983(SBD)』・10月1日:ブリュッセル公演*10月2日『ZWOLLE 1983』・10月3日:ナイメーヘン公演 本作のオッフェンバッハ公演は6公演目。ドイツと言えば大作『GERMANY 1983: THE LAST 2 DAYS(Shades 1803)』も記憶に新しいところですが、本作はその約10日前でもありました。このショウは古くから録音が知られ、いにしえのブートレッグ『FEIGN DEATH SABBATH』が有名でした。本作も同じ伝統録音ではありつつ、近年になって発掘された若ジェネ・マスター。「Holy84」なる人物が所有していた2ndジェネDATからデジタル化されているのです。ただし、この「Holy84」氏は表記にクセがあり、デジタル・クローンも世代カウントしてしまう(通常ダビング劣化の発生しないクローンはカウントしません)。そのため、実際には2ndジェネよりも若い「1stジェネ」か「大元マスター」と思われるのです。実際、そのサウンドは非常に瑞々しい。生々しい熱狂も吸い込んだオーディエンスらしいタイプではあるのですが、空気感が透き通っていてディテールまで鮮明。ド密着ではないものの、リフの機微や歌詞の一語までくっきり伝わる。ダビングによる歪みやゴワゴワ感のないレーザー光線のような鮮やかさなのです。しかも、本作は完全版でもある。この録音は「Disturbing The Priest/Iron Man」間にテープ・チェンジのカットがあるのですが、本作では別録音で補填。約88分のフルショウをシームレスに完全収録しているのです。それでは、そのフルセットもここで整理しておきましょう。悪魔の落とし子(5曲)・Hot Line/Born Again(★★)/Disturbing The Priest/Zero The Hero(★)/Digital Bitch クラシックス(8曲)・オジー時代:Children Of The Grave/War Pigs/Supernaut/Rock 'n' Roll Doctor/Iron Man/Black Sabbath/Paranoid・DEEP PURPLE:Smoke On The Water ※注:「★」印はサウンドボード・アルバム『DEFINITIVE PARIS 1983』で聴けなかった曲。特に「★★」印はサウンドボードが存在しない曲。……と、このようになっています。ポイントなのは、やはり「Born Again」。サウンドボードの存在しないレア曲でもありますが、時期によって変わっていくセットの要でもある。この「欧州#2」は「Born Again」が落ちて「Heaven And Hell」へ入れ替わる転換期として知られており、本作ではまだ「Born Again」を演奏している。この後『GERMANY 1983』では両方演奏し、同時リリースの『ZWOLLE 1983(Shades 2006)』で「Heaven And Hell」だけになる。本作自体が優れたライヴアルバムでもありますが、周辺作とも合わせることでギラン時代の変遷も味わえるのです。また、この日は熱い声援が飛び、手拍子が広がる会場ムードも非常に良い。全編で非常にウケているのですが、ハイライトの「Paranoid」ではギランのスクリームと観客の「Oh Year!」とカブっていてノリノリです。伝統の名録音が若ジェネ・マスターで格段にアップグレードした新名盤です。ギラン時代BLACK SABBATHは奇跡のコレボレーションを実現しながら、アルバム1枚と1回のツアーだけで消えてしまった幻。だからこそ、その短い歩みの中の進化が気になるのです。本作は、その要でもある「欧州#2」コレクションを一層充実させてくれる銘品。「1983年9月18日オッフェンバッハ公演」の絶品オーディエンス録音。近年発掘された若ジェネ(1stジェネか大元)マスターで、空気感が透き通っていてディテールまで鮮明。ダビングによる歪みやゴワゴワ感のないレーザー光線のような鮮やかさで、リフの機微や歌詞の一語までくっきり伝わる。テープ・チェンジで欠けていた「Disturbing The Priest/Iron Man」の曲間も別録音で補完された完全版で、SBDが存在しないレア曲「Born Again」も美味しいフルショウを楽しめます。Stadthalle, Offenbach, Germany 18th September 1983 TRULY AMAZING SOUND (UPGRADE) Disc 1 (42:25) 1. Supertzar 2. Children Of The Grave 3. Hot Line 4. War Pigs 5. Born Again 6. Supernaut 7. Drums Solo 8. Rock 'n' Roll Doctor 9. Disturbing The Priest Disc 2 (43:37) 1. Iron Man 2. The Dark/Zero The Hero3. Guitar Solo 4. Digital Bitch 5. Black Sabbath 6. Smoke On The Water 7. Paranoid/Heaven And Hell(reprise) Ian Gillan - Vocals Tony Iommi - Guitar Geezer Butler - Bass Bev Bevan - Drums Geoff Nicholls - Keyboards