絶頂の1972年を代表してきた伝統の名録音がブラッシュアップ。「GRAF ZEPPELIN」による最高峰更新サウンド2CDが登場です。そんな本作に刻まれているのは「1972年2月20日:ウルヴァーハンプトン公演」。そのステレオ・オーディエンス録音です。1972年と言えば『MACHINE HEAD』『LIVE IN JAPAN』もひしめく奇跡の1年だったわけですが、その活動歴は波瀾万丈でもありました。良い機会でもありますので、その全体像を俯瞰しつつ、本作のポジションにも迫っていきましょう。・1月5日:ハンブルク公演・1月13日ー31日:北米#1(16公演)・2月5日ー3月12日:欧州#1(17公演)←★ココ★・3月17日ー31日:北米#2(11公演)《3月31日リッチーが肝炎で倒れる》・4月6日『QUEBEC 1972 feat. RANDY CALIFORNIA』×4月8日ー5月16日:北米/日本(中止/延期)×・5月25日ー6月6日:北米#3(9公演)・6月27日ー7月1日:欧州#2(3公演)・7月6日ー19日:北米#4(11公演)《7月『紫の肖像』制作開始》・8月15日ー17日:初来日(3公演)←※LIVE IN JAPAN・8月22日ー9月3日:北米#5(10公演)・9月13日ー10月16日:欧州#3(19公演)・11月6日ー12月16日:北米#6(25公演)これが1972年のDEEP PURPLE。一目で猛烈な多忙ぶりが分かりますが、その無理が祟ったのか3月にはリッチーが肝炎で昏倒。幻のランディ・カリフォルニア期まで現出してしまいました。本作のウルヴァーハンプトン公演は、その限界に達する前の「欧州#1」でした。この頃は公式『IN CONCERT』となったBBC放送や『MACHINE HEAD LIVE』となったデンマーク放送の収録もあった時期。さらに日程をフォーカスして位置関係を確認してみましょう。「欧州#1」の詳細・2月5日ー13日(7公演)*2月19日『DAGENHAM ROUNDHOUSE 1972』*2月20日:ウルヴァーハンプトン公演 ←★本作★・2月22日ー29日(3公演)*3月1日:コペンハーゲン公演 ←※公式映像・3月3日+4日(2公演)*3月9日;ロンドン公演 ←※公式IN CONCERT・3月12日:クロイドン公演 話題を呼びつつ、残念すぎたネットの新マスター さて、そんなショウで記録されたオーディエンス録音は、古くから1972年を代表してきた伝説級の名録音。『IN CONCERT』『MACHINE HEAD LIVE』でも分かる通り、当時のバンド・ポテンシャルは凄まじく、さらに歴史的な名曲も次々と誕生。後の『MADE IN JAPAN』の原形が生まれつつ、さらに「Fireball」まで飛び出すセットはまさに究極。選曲面でも演奏面でも絶頂のライヴを本生100%のオーディエンス・サウンドで体験できる……これが伝説ならないわけがないのです。そんな伝説録音が2024年の今、再び注目を集めています。実はネット上に新マスターが登場。「リマスター&Muleの完全版」と話題になっているのです。ところが!この新マスターはとんだ食わせもの。リマスター以前にジェネ自体が悪く、音のウネリやヨレが激しかった。ウリのはずの「Mule」に関しても、曲中のカットを他の箇所からツギハギしたのがモロバレ。まあ、それでも伝説級の名録音だけに初体験する層からは喜ばれているようですが、従来盤を体験しているコレクター筋からは「なんじゃこりゃ」となっているのです。真のベスト・マスターを磨き直した最高峰更新盤 そして、そんなトホホな状況に業を煮やし「コレが本当のベスト!」となるのが本作。これまでのベストは当店の前回盤『ELECTRIC GHOST』だったわけですが、本作はそのリマスター再発でもない。一度『ELECTRIC GHOST』の元マスターにまで遡り、改めて「GRAF ZEPPELIN」が仕上げ直した最高峰更新盤なのです。そのサウンドは、まさに過去最高。ネットのダメ・マスターと比較しても仕方ないので無視しますが、従来盤と比べてもグッとアップグウレードしている。もちろん、その要は「GRAF ZEPPELIN」マスタリングの精度。1/1000秒の狂いも許さないピッチ補正や帯域分析した上でのバランス調整、ワウフラッターの処理等々、いつも通りの入念ぶりなわけですが、今回は特に位相補正の効果が大きい。何しろ、この伝説録音は1972年にしては珍しいステレオ録音。これまでは位相ズレによってヘッドフォンで聴くと頭を右側に引っぱられるような感覚に襲われましたが、本作はビシッとセンターで安定しています。もう1つ挙げるなら、非常にナチュラルなヒス。強引にノイズ処理すると肝心の演奏音まで歪んでしまうわけですが、本作は影響が出ないギリギリの寸止めで処理。格段に少なくなっているだけでなく、残ったヒスもマスター・テープ自体のアナログ感があって極めて自然なのです。「Highway Star」「Lazy」「Space Truckin'」といった新曲が次々と盛り込まれ、その上で爆走「Fireball」がすべてを蹂躙する。特に「Fireball」は、この時期を最後に封印され、復活するのは1994年。本気のリッチーが奏でる「Fireball」を現場体験できるなど、まさに奇跡です。本作はそんな絶対のライヴアルバムであり、「公式IN CONCERTやMACHINE HEAD LIVEを体験したら、次はコレ」と言われた伝説録音の最高峰更新盤なのです。まさに文化遺産以外の何物でもない銘品。「1972年2月20日:ウルヴァーハンプトン公演」のステレオ・オーディエンス録音。1972年を代表してきた伝説の名録音で(ネットを騒がせているダメ・マスターとは異なる)真なるベスト・マスターを「GRAF ZEPPELIN」が磨き直した最高峰更新盤。本気のリッチーが「Fireball」を弾き倒す歴史的な絶頂期を本生100%体験できる文化遺産アルバムです。近年トレントサイトでも公開されましたが、それではなく同じ音源ながら枝葉違いのステレオAud音源をベースに最新リマスター!近年公開版音源ではライブ開始前のイントロ部などで音のウネリ・濁りが酷く、ヨレも目立つものでしたが、今回盤ではそのような問題もなく、ヒスはそれなりにありますが終始安定したサウンドが堪能頂けます。位相と帯域の修正で前回盤よりも見通しが良くなっております。特に前回盤では左側に偏った位相ズレと、曲間などで目立ったワウフラが解消したことでだいぶ印象も違って聞こえます。またヒスノイズはかなりありますが、適切な帯域調整により前回盤よりも癖のないヒスノイズといったところ。Mule 6分過ぎでの曲中カットは今回盤ではないという判断。ちなみに近年公開版では、該当箇所で演奏の近い箇所をコピペしたフェイク処理がなされているようです。Civic Hall, Wolverhampton, England 20th February 1972 PERFECT SOUND UPGRADE Disc 1 (50:50) 1. Introduction 2. Highway Star 3. Strange Kind Of Woman 4. Child In Time 5. Mule incl. Drum Solo ★6分台でのフェード処理はない Disc 2 (40:37) 1. Lazy 2. Space Truckin' 3. Fireball ★ 4. Lucille Ian Gillan - Vocals Ritchie Blackmore - Guitar Roger Glover - Bass Jon Lord - Keyboards Ian Paice - Drums