大洋を渡り、佳境に入ってきた最新ツアー“LUCK AND STRANGE Tour”。その最新レポートとなるライヴアルバムが2種同時リリース決定です。ライヴアルバム2種が同時リリースとなりますが、本作は前者の2本目。「2024年10月29日ロサンゼルス公演(ハリウッド・ボウル)」の絶品オーディエンス録音です。ツアーの全体像は同時リリースとなる『LOS ANGELES 2024』解説に譲り、ここでは日程に照らしながら当店のライヴアルバム・コレクションをチェックしてみましょう。《9月6日『LUCK AND STRANGE』発売》・9月20日+21日:ブライトン(ドレスリハ)・9月27日ー29日:ローマ(3公演)《第II期ット(Sings導入)》・10月1日ー3日:ローマ(3公演)*10月9日『ROYAL ALBERT HALL 2024 1ST NIGHT』*10月10日『ROYAL ALBERT HALL 2024 2ND NIGHT』*10月11日『ROYAL ALBERT HALL 2024 3RD NIGHT』*10月12日『ROYAL ALBERT HALL 2024 4TH NIGHT』《第III期セット(A Single Spark導入)》*10月14日『ROYAL ALBERT HALL 2024 5TH NIGHT』*10月15日『ROYAL ALBERT HALL 2024 6TH NIGHT』*10月25日『LOS ANGELES 2024』《第IV期セット(A Great Day For Freedom省略)》*10月29日:ハリウッド・ボウル公演 ←★本作★・10月30日+31日:ハリウッド・ボウル(2公演)・11月4日ー10日:ニューヨーク(5公演)この他に映像作もありますが、ライヴアルバムは上記の8作品です。各都市とも同一会場での連続公演が基本スタイルですが、ロサンゼルスだけは「インテュイット・ドーム1回+ハリウッド・ボウル3回」となっており、本作は「ハリウッド・ボウルの初日かつLA2公演目」でもあるわけです。そんな現場を真空パックした本作はオンで力強い芯が頼もしく、それでいてリアルな臨場感も美味しい銘品。現場となった“ハリウッド・ボウル”は約1万7000席の客席が扇形に広がる野外音楽堂で、本作からはその環境が肌感覚で伝わってくる。野外だけに音を反射する天井も壁もないわけで、PAから吐き出された出音を直接拾ったサウンドは極太そのもの。音色的にはオーディエンスらしさたっぷりにも関わらず、そのダイレクト感はサウンドボード似も負けません。その一方で、野外ならではの不安定感もリアル。現場では風が吹いていたのか、ヘッドフォンで耳を澄ますと演奏音に(わずかな)揺らぎが感じられ、曲間では(微かな)風音も拾っている。そして何より、コンサートを全力で楽しむ野外の客席ムード。まるで秋祭りのような開放感は、ホール・コンサートとはひと味違った趣があるのです(この日は野外を意識してか大量のスモークが炊かれたそうで、思わず咳き込む声が聞こえるのも超リアルです)。そんなリアル系の極太サウンドで描かれるのは、新たな段階に入った“LUCK AND STRANGE Tour”のフルショウ。本稿の執筆段階ではニューヨークのセットは伝わっておらず、この日のセットが最新形でもある。ここで、その内容を整理しておきましょう。第一部(12曲+α)・邂逅:Black Cat/Luck And Strange/Single Spark(★)/Vita Brevis/Between Two Points・対:Marooned/High Hopes・狂気:Breathe (In The Air)/Time/Breathe (Reprise)・その他:5 A.M./Fat Old Sun/Wish You Were Here 第二部(10曲)・邂逅:The Piper's Call/Dark And Velvet Nights/Sings(★)/Scattered・飛翔:In Any Tongue/A Boat Lies Waiting・その他:Sorrow/The Great Gig In The Sky/Coming Back To Life/Comfortably Numb ※注:「★」印はツアー途中から追加された曲。……と、このようになっています。ローマ4公演目から「Sings」、ロンドン5公演目から「A Single Spark」が追加され、『LUCK AND STRANGE』の新曲がすべて網羅されました。その点は変わらないのですが、この日から『THE DIVISION BELL』の「A Great Day For Freedom」がドロップ。その結果、より一層『LUCK AND STRANGE』に重心が傾いたセットになっているのです。リアルな現場感ゆえにツアー最高傑作の候補にはなり得ないタイプの録音ですが、そのリアリティもまたオーディエンス録音の醍醐味でもある。サウンドボード代わり、オフィシャル作品代わりを求める方にはお薦めしませんが、日本では望めない“LUCK AND STRANGE Tour”の現場体験にはもってこいの1本なのです。「2024年10月29日ロサンゼルス公演(ハリウッド・ボウル)」の絶品オーディエンス録音。反響ゼロの野外会場だけにオンで力強い芯が頼もしく、それでいてリアルな臨場感も美味しい銘品。日本では望めない“LUCK AND STRANGE Tour”の現場を味わうにはもってこいの1本です。Hollywood Bowl, Los Angeles, California, USA 29th October 2024 PERFECT SOUND Disc 1(78:14) 1. Guy Pratt Intro 2. 5 A.M. 3. Black Cat 4. Luck and Strange 5. Speak to Me / Breathe 6. Time 7. Fat Old Sun 8. Marooned 9. A Single Spark 10. Wish You Were Here 11. Band Introduction 12. Vita Brevis 13. Between Two Points 14. High Hopes 15. Sorrow Disc 2(66:31) 1. The Piper's Call 2. In Any Tongue 3. The Great Gig in the Sky 4. A Boat Lies Waiting 5. Coming Back to Life 6. Dark and Velvet Nights 7. Sings 8. Scattered 9. Comfortably Numb