ZEP1970年のハワイ公演といえば1990年代半ばに発掘され、懐かしの金ジャケ『THE BOX OF TRICKS』を皮切りに多くのアイテムがリリースされてきました。いい時期の初登場音源だったというだけでなく、結果的に70年秋という絶頂期でありながら一枚に収まってサクッとコンパクトに聞ける音源ということからも多くのアイテムを輩出してきたものでした。それに何と言っても音質が良い。モノラル・オーディエンスでありながら平面的に陥らない音像や録音全体のバランスの良さもあいまって、これまた多くのアイテムを生み出す要因かと。まだ音源が出回った当時はカセット・コピーで音源が広まる時代でしたので、リリースされた時点で大なり小なりのジェネ落ちや不要なカットも見受けられました。ところが21世紀を迎えると音質も音源の状態も向上し、更なるアイテムが出され続けたことからもこの音源の魅力が伺えます。しかし過去のアイテムではピッチの狂いが攻め切れていなかった、あるいは「Moby Dick」で生じていたカットが見過ごされる、おまけにカットをつまんで隠蔽するといった詰めの甘さが見られたのも事実でしょう。先の理由からアイテム数が多かった一方「これぞ!」という決定版が生まれなかったのが70年ハワイのジレンマではないでしょうか。そこで今回は今までどこかしら詰めの甘かったハワイ音源を徹底的に見直してのリリースが実現。まず今回の限定CDリリースに際して採用されたのは1st Genとしてマニア間に出回っているバージョン。これだけで過去のアイテムを上回るリリースは確約されたようなもの。そこにモノ化を始めとしたオーバーホール技術が徹底的に盛り込まれた結果、ピッチも音質も整えられた解りやすくベストな状態へと進化。先にも触れたように、このオーディエンス録音はモノラルながらヘッドフォンで聞いても平面さを感じない状態が今回のアジャストによってさらに際立つ仕上がりとなっているのですそして過去のアイテムでは何らかのカットが見られた「Moby Dick」。その点1st Genはカット最小という状態が流石であった一方、過去のアイテムとは違うカットが10分を超えたところに生じていた。そこを今回は『HOLIDAY IN WAIKIKI』からパッチすることで、遂にノーカット全長版収録を実現。この日は都合二回の公演が行われており、本録音はファースト・ショーを収録(セカンド・ショーは未だに発掘されていません)しているのですが、次のショーを控えていること、そして機材トラブルなどからショートセットで行われたと言われています。それでも演奏自体にまったく温存感がないのが70年のZEPらしいところ。それどころか「Heartbreaker」などは同じ70年でも上半期のライブバージョンのようなジミーのもったいぶったイントロから始まるのがレアですし、続く「Since I've Been Loving You」でもプラントのスクリーミングが炸裂。次の回が控えていてもなお、これだけテンションの高い演奏を余裕しゃくしゃくで聞かせてくれるのが70年のZEPらしいところ。それに何と言っても「ブルーベリー・ヒル」の次がこのハワイ公演です。あの時のテンションをうまく凝縮させたかのような「Whole Lotta Love」メドレーも絶品で、その時と同様に「Some Other Guy」が登場。70年秋ならではの熱量でありながら、それでいてCD一枚でサクッと聞ける稀有な存在なお手軽70年ZEP音源でもある。そこに加えて非常に聞きやすい音質。古くから定評のある70年ハワイ公演のベストバージョンが遂に完成!Honolulu International Center, Honolulu, Hawaii 6th September 1970 1st Show PERFECT SOUND UPGRADE (75:50) 1. Introduction 2. Immigrant Song 3. Dazed And Confused 4. Heartbreaker ★曲間カット 5. Since I've Been Loving You 6. What Is And What Should Never Be 7. Moby Dick ★10:10-10:17『HOLIDAY IN WAIKIKI』差替えノーカット復旧 8. Whole Lotta Love ★4:41カット ★曲間カット 9. Communication Breakdown