ついに完遂された世紀のカップリング・ツアー“THE ROYAL AFFAIR TOUR”。そこに参加したプログレ界きってのファミリー・バンド3組を目撃できる絶景映像が登場です。 【メンバーも重なるファミリー3組の極上映像】 そんな本作が撮影されたのは「2019年7月20日アービング公演」。その絶景オーディエンス・ショットです。このツアーはYES、ASIA、ジョン・ロッジ、CARL PALMER’S ELP LEGACYの計4組で行われましたが、本作は、同一撮影者によるロッジ以外の3組を映像をセットした3枚組です(この撮影者はロッジにも挑戦していますが、フル撮影できなかったようです)。当店では“THE ROYAL AFFAIR TOUR”を開始早々からレポート。数々の名作ライヴアルバムでご紹介してきました。中には映像編も同梱したタイトルもあったのですが、ほとんどの場合は数曲ずつのダイジェスト。完全版だったのはYESだけでした。それに対し、本作は(ロッジがないとは言え)メンバーの重なるYES/ASIA/ELP LEGACYをフル体験できる初の映像作品なのです。さて、そんな本作に収められたアービング公演はどんなポジションなのか。これまでのコレクションも含め、まずは“THE ROYAL AFFAIR TOUR”の全景で整理しておきましょう。 ・6月12日『BETHLEHEM 2019』・6月14日-18日(4公演)・6月20日『WHITE PLAINS 2019』・6月21日-24日(3公演)・6月25日『LEWISTON 2019』・6月27日-7月18日(12公演)・7月20日アービング公演 ←★本作★・7月21日-28日(5公演) 以上、全28公演。“THE ROYAL AFFAIR TOUR”はつい先日完遂されましたが、本作はその終盤となる23公演目のコンサートでした。そんなショウを記録した本作は、まさに絶景のオーディエンス・ショット。何よりも素晴らしいのは、見晴らしの良さ。ステージからはやや距離のある左寄りのポジションなののですが、1階席の頭上を素通りしてステージを直視できる。現場の観客も腕を振り上げるようなタイプではなく、遮蔽物なしの広々とした視界なのです。そして、安定感もバツグン。冒頭シーンから分かるポジションからするとズームも活用してはいるのですが、それほど果敢でもない。無理に迫るわけではなく、アクティヴにズームするカメラワークではないためにブレやフレームアウトを起こさず、じっくりと見つめられるのです。こう書くと単調な映像と思われてしまうかも知れませんが、そうではない。元々3組ともメンバーが派手なアクションで見せるタイプのバンドではありませんし、何よりもステージ後方に設置されたスクリーンがしっかり見えるため、そこに映し出される数々のイメージ映像も目撃できる(在りし日のグレッグやキース、ウェットンの姿にはグッと来ます)。定位置から動かないメンバーをズームで追うより、返ってダイナミックなくらいなのです。それほどの映像美に相応しいサウンドも素晴らしい。こちらもサウンドボードと間違えるタイプでこそありませんが、空気感が透き通っており、力強い芯が真っ直ぐ手元に届き、ディテールまでクッキリ。まさに遮蔽物のないクリア・サウンドであり、それこそ音声だけのライヴアルバムでも十二分に通用する名録音なのです。 【3組それぞれが特別すぎるショウを展開】 そんなクオリティで描かれるショウは、まさに“プログレ祭り”。単にファミリー・バンドが立て続けに出演するだけでなく、それぞれが特別すぎるのです。まずCARL PALMER’S ELP LEGACY(ディスク1)ですが、彼らのポイントはゲスト。かのアーサー・ブラウンが参加しており、「Karn Evil 9」「Knife Edge」「Fire」で、あのカリスマティックな歌声を披露しているのです。これまでもライヴアルバムでは聴けましたが、アーサーはシアトリカルなパフォーマンスこそが重要。本作は、その怪演を絶景でじっくりと見られるわけです。しかも、アーサーが上達している。正直なところ、ツアー序盤では明らかに不慣れで物珍しさ以上ではなかったのですが、ツアー終盤に差し掛かった本作では曲にもアンサンブルにも完全に馴染んでいる。伝説の歌声で生まれ変わったEL&Pナンバーの真価がしっかりと味わえるのです。上達したと言えば、ASIA(ディスク2)のバンブルフット。彼も意外なほどウェットン的なディープ・ヴォイスが話題となっていますが、場数を踏んだことでさらに進化。メロディをなぞるような淡泊さが抜け、細かい情感の表現も盛り込む余裕も生まれている(その一方で「Lucky Man」は一向に上達しない……と言いますか、本質的に似合わない曲なのかも知れません)。そして、ショウ後半の『時へのロマン』ラッシュはやはり握ったグーに力がこもる。これまでのレポート通り、ここではオリジネイターのスティーヴ・ハウが登場し、他の誰でもない個性的なトーンで名曲を本来あるべき姿で紡いでいく。ハウが弾くとなれば、バンブルフットがギターを弾く必要もなく、ヴォーカルに専念。もちろん、バンブルフットが歌うからからこそオリジナル・キーで演奏されるわけであり、彼の貢献はやはり絶大です。そして、最後は大トリのYES(ディスク3)。彼らはメンバー的な特徴はないものの、セットは激レア。「No Opportunity Necessary, No Experience Needed」「Tempus Fugit」「Going For The One」「Onward」「The Gates Of Delirium」といった美味しすぎる名曲を連発。「Clap」から差し替えられたハウのソロ「Second Initial」や最大の目玉であるジョン・レノンのカバー「Imagine」もしっかりと目撃できます。ELP LEGACY→ASIAではカール・パーマーが、ASIA→YESではダウンズ、ハウ、シャーウッドがステージを引き継いでいくファミリー・バンド3組。そのフルショウを絶景ポジションから丸ごと体験できてしまう映像巨編。 Live at The Pavilion at Toyota Music Factory, Irving, TX, USA 20th July 2019 AMAZING SHOTS!!! Disc 1(33:39) CARL PALMER'S ELP LEGACY 1. Karn Evil 9 1st Impression Part 2 2. Hoedown 3. Knife Edge 4. Fire 5. Fanfare for the Common Man Carl Palmer - drums, percussion Paul Bielatowicz - guitar David Pastorius - bass Arthur Brown - vocal Disc 2(50:49) ASIA 1. Intro 2. Go 3. Don't Cry 4. Video Killed the Radio Star 5. The Smile Has Left Your Eyes 6. Lucky Man 7. Keyboard Solo (Cutting It Fine excerpt) 8. Wildest Dreams 9. Sole Survivor 10. Only Time Will Tell 11. Heat of the Moment Geoff Downes - keyboards, vocals Carl Palmer - drums Billy Sherwood - bass, vocals Ron "Bumblefoot" Thal - vocals, guitar Steve Howe - guitar, vocals (last 4 songs) Disc 3(114:58) YES 1. The Firebird Suite 2. No Opportunity Necessary, No Experience Needed 3. Tempus Fugit 4. Going for the One 5. I've Seen All Good People 6. Second Initial 7. Siberian Khatru 8. Onward 9. America 10. The Gates of Delirium 11. Imagine 12. Roundabout 13. Starship Trooper Steve Howe - guitar, vocals Geoff Downes - keyboards, vocals Jon Davison - vocals, acoustic guitar, percussion, keyboards Billy Sherwood - bass, vocals Jay Schellen - drums, percussion Alan White - drums COLOUR NTSC Approx.200min.(TOTAL)