大名盤『MOVING PICTURES』の完全再現で世界中の話題をさらった“TIME MACHINE TOUR”。その現場を絶景体験できる傑作映像が登場です。そんな本作が撮影されたのは「2010年8月31日アレンタウン公演」。その一部始終を捉えたオーディエンス・ショットです。本作最大のポイントはクオリティにあるわけですが、まずはショウのポジション。このツアーは公式作品『LIVE IN CLEVELAND』にも残されておりますので、併せてツアー全体像から確かめてみましょう。2010年・6月29日-10月2日:北米#1(41公演)←★ココ★・10月8日-17日;南米(4公演) 2011年・3月30日-4月22日:北米#2(13公演)←※公式映像・5月4日-29日:欧州(12公演)・6月8日-7月2日:北米#3(13公演)これが2010年/2011年のRUSH。欧州ツアーだけでなく、彼らの歴史上2度しかなかった南米公演も実現した珍しいワールド・ツアーだったのですが、本作はそれらよりもグッと初期。「北米#1」の29公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで撮影された本作は、とにかく画質・音質が素晴らしい。ステージを正面に据えた2階席からの見下ろしアングルなのですが、その光景には目を見張る。実のところ、オープニングの「The Spirit of Radio」では開演の騒ぎに飲まれて画面が揺れるわ、前の人影に邪魔されるわで「これ、大丈夫かな?」と心配になるのですが、2曲目が始まる事には騒ぎが鎮まり、一気に絶景に様変わり。ステージ全景をビシッと押さえられる遠景ショットなのですが、そこから果敢に攻めるズームがえらく美しく、ステージ中央に3人が集まるフォーメーションも綺麗に捉えられている。もっと素晴らしいのが、実は引きの遠景。ステージを真正面に捉えているため巨大スクリーンの隅々まで綺麗に映し出され、そこに描かれるメンバーの姿もマルチカメラ・プロショットのように楽しめ、さらにユーモアたっぷりのスクリーン映像もじっくりと見つめられるのです。そんな絶景以上に驚き……と言いますか、衝撃的なのがサウンド。何度も繰り返しているように2階遠方席なのですが、音にはまったくと言って良いほど距離感を感じない。これは恐らく会場が要因でしょう。画面からは分かりませんが、実は現場となった“アレンタウン・フェアグラウンズ”は、上空に大きく開かれたオープン・スペース。そのため、音を反射する壁や天井がなく、PAの出音を反響ゼロで拾っている。もちろん、PAから遠く離れていれば、その旨みも半減するわけですが、恐らく相当近かったのでしょう。まるでサウンドボードばりのダイレクト感たっぷりの極上サウンドなのです。そんなクオリティで描かれるのは、“MOVING PICTURESの現場体験+α”。ここでショウの内容も整理してみましょう。70年代・RUSH:Working Man・HEMISPHERES:La Villa Strangiato・A FAREWELL TO KINGS:Closer To The Heart・2112:2112 80年代・PERMANENT WAVES:The Spirit of Radio/Freewill・MOVING PICTURES:全7曲 ・SIGNALS:Subdivisions・POWER WINDOWS:Marathon・HOLD YOUR FIRE:Time Stand Still・PRESTO:Presto 90年代以降・COUNTERPARTS:Stick It Out/Leave That Thing Alone・SNAKES & ARROWS:Workin' Them Angels/Faithless/Far Cry ・CLOCKWORK ANGELS:BU2B2 (Bought Up To Believe)/Caravan ……と、このようになっています。このツアーはRUSHの歴史上3回だけあった「セット不動」のツアーであり、本作も公式作品と同じ構成。中盤に『MOVING PICTURES』の完全再現を置き、その前後に各時代の名曲を散りばめた構成も同じです。そのため珍しい曲などはないのですが、絶大なのは体験感。特に『MOVING PICTURES』再現パートの前に特別映像が流されるシーンはほとんど劇場映画のようですし、期待感を掻き立てるだけ掻き立てて「Tom Sawyer」が始まる際の醍醐味が凄い。そして、1曲また1曲と大名盤を生演奏していく妙技をマルチカメラのスクリーン映像と直写で体験していく。この“今まさに目の前に3人がいる”感は決してプロショットでは味わえないもの。本作にはもちろんチャプターが付いておりますが、可能な限り飛ばさずにご覧頂きたい。リアルタイムで目を凝らし、一瞬たりとも見逃したくない……そんなコンサート現場の感覚が見事に描き出されているのです。初登場の際には“TIME MACHINE TOUR”の最新レポートだった本作。その後、公式作品化によって役目を終えたようにも思われましたが、この“体験感”は今なお、色あせていない。オフィシャル映像が「目で得見るMOVING PICTURES」だとすれば、本作は「体験するMOVING PICTURES」なのです。オーディエンス・ショットは日進月歩が激しく、ちょっと経てばクオリティに満足できない事も多いのですが、本作はその貴重な例外。当時の最高峰であり、10年を経ても輝きを失わず、現代にも通用する傑作映像。 Live at Fairgrounds, Allentown, PA, USA 31st August 2010 AMAZING SHOT!! 1. The Real History Of Rush - Episode No.2 2. The Spirit of Radio 3. Time Stand Still 4. Presto 5. Stick It Out 6. Workin' Them Angels 7. Leave That Thing Alone 8. Faithless 9. Bought Up To Believe 10. Freewill 11. Marathon 12. Subdivisions 13. The Real History Of Rush - Episode No.17 14. Tom Sawyer 15. Red Barchetta 16. YYZ 17. Limelight 18. The Camera Eye 19. Witch Hunt 20. Vital Signs 21. Caravan 22. Drum Solo 23. Acoustic Solo 24. Closer To The Heart 25. 2112 Overture/Temples of Syrinx 26. Far Cry 27. La Villa Strangiatto 28. Working Man Geddy Lee - Bass & Vocals Alex Lifeson - Guitars Neil Peart - Drums COLOUR NTSC Approx. 170min.