サイケデリックの新星からシンフォニック・ロックの雄、そしてハードポップとしての再生……サウンドを変えつつもシーンの第一線に君臨し続けていたYES。その姿を一望できる極上プロショット集がリリース決定です。そんな本作に収められているのは、1969年から1987年の間に撮影されてきた19曲・22テイクに及ぶオフィシャル・プロショット。ただし、いわゆるヒストリー映像でもコンサート・ステージではないのがポイントで、貴重なTV出演のスタジオ・ライヴやビデオ・クリップで19年間の歴史を辿る映像集なのです。大きく4セクションに分かれていますので、各種映像の内容を順に追ってみましょう。 1969年:“BEAT-CLUB”出演(3曲) まず登場するのはデビュー年1969年の貴重映像。西ドイツの名物番組“BEAT-CLUB”に出演した際の3曲です。デビュー作の「Looking Around」「Survival」と『時間と言葉』の「No Opportunity Necessary, No Experience Needed」の生演奏も貴重なら、動くピーター・バンクスや若きビル・ブルーフォード、トニー・ケイの姿が眩しすぎる映像です。 1970年:“ROCK OF THE '70s”出演+1(5曲) 続いてはベルギーのTV出演が2種。1つめは局内スタジオでマイム演奏している「Time And A Word」で、2つめはこれまた名物番組“ROCK OF THE '70s”に出演した際の4曲。「Time And A Word」の目に染みる超美麗ぶりも素晴らしいですが、強烈インパクトなのは“ROCK OF THE '70s”。フィルム撮影されたカラー映像なのですが、思いっきり作り込まれている。もちろん演奏シーンが主軸ではあるものの、音声は『時間と言葉』のスタジオ・テイクそのままのマイム。つまり、音のギターはピーターで、映像ではスティーヴ・ハウです。それはさておき、その内容が傑作。イメージカットや小芝居が面白く、倉庫を歩く謎の男、メンバー達も古城から逃げ出したり、若者らしくバカっぽく車を曲乗りしたり、ゴミ捨て場で熱演したり……。そのシチュエーションの1つひとつが不思議。さらに激しいカット割りや演奏中のメンバーが突然消える演出など、ほとんどドラマ「プリズナーNo.6」のノリ。レトロSFでも見ているような時代感がムンムンなのです。 1970年:“BEAT-CLUB”出演(2曲・4テイク) ここで再び“BEAT-CLUB”。超美麗なのは同じですが、こちらはフルカラーで「Yours Is No Disgrace」の他、「All Good People」を3テイク収録しています。その極彩色の鮮やかさが凄い。もちろん画質的に超極上なのですが、それ以上にサイケな映像演出ばりばり。テストカードも生々しいプレ放送版なのですが全テイクともブルーバックではなく、映像合成も済んだもの。虹色とぐにゃぐにゃ変形された映像を背景に精密なアンサンブルを紡いでいく。まさに飛躍期のYESならではの映像です。 1977年-1987年:クリップ集(10曲) 上記までで前半。後半はクリップ集です。ここでは『究極』から『ビッグ・ジェネレイター』までの10年間を駆け足で辿ります。ここはあまりに幅広いので、配分だけ整理しておきましょう。・究極:Wonderous Stories・トーマト:Don't Kill the Whale/Madrigal ・ドラマ:Tempus Fugit/Into the Lens・ロンリー・ハート:Owner of a Lonely Heart/Leave It/It Can Happen・ビッグ・ジェネレイター:Love Will Find a Way/Rhythm of Love シンフォニック・ロックのパイオニアとして地平を切り拓いていった1969年/1970年のTV出演と、時代の変化に対応していった1977年-1987年のクリップ集。いずれも一度は公式化された事のある映像だけに、超極上で当たり前な映像美で1時間57分浸りきれる映像傑作です。メンバーと同様に音楽性も多用に変化していたYES史を、ステージ・ライヴでもドキュメンタリーでもない音楽映像で綴る1枚(『こわれもの』から『リレイヤー』を飛ばしているのは残念ですが、大作主義時代だっただけに致し方ないところでしょうか)。 Live & Promotional Videos feat. "The Lost Broadcasts", "Rock Of The'70s" & "Video Hits"(117:12) The Lost Broadcasts 1. No Opportunity Necessary, No Experience Needed (Beat-Club 1969) 2. Looking Around (Beat-Club 1969) 3. Survival (Beat-Club 1969) 4. Time And A Word (Belgian TV 1970) Rock Of The '70s Belgian promo material from September 1970 5. Astral Traveller 6. Everydays 7. Then 8. No Opportunity Necessary, No Experience Needed The Lost Broadcasts 9. Yours Is No Disgrace (Beat-Club 1971) 10. All Good People (Take 1) (Beat-Club 1971) 11. All Good People (Take 2) (Beat-Club 1971) 12. All Good People (Take 3) (Beat-Club 1971) Video Hits 13. Wonderous Stories 14. Don't Kill the Whale 15. Madrigal 16. Tempus Fugit 17. Into the Lens 18. Owner of a Lonely Heart 19. Leave It 20. It Can Happen 21. Love Will Find a Way 22. Rhythm of Love Jon Anderson - Vocals Peter Banks - Guitar Bill Bruford - Drums Geoff Downes - Keyboards Trevor Horn - Vocals Steve Howe - Guitar Tony Kaye - Keyboards Trevor Rabin - Guitar Chris Squire - Bass Rick Wakeman - Keyboards Alan White - Drums PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.117min.