栄華を極めていた80年代前半期を濃縮した廃盤オフィシャル映像作が最高峰クオリティで復刻。リリース決定です。そんな本作の正体は、1984年に発表された映像作『THROUGH THE CAMERA EYE』。『MOVING PICTURES』から『GRACE UNDER PRESSURE』までのビデオクリップを集成したプロショット映像集です。この作品は、まさに時代の申し子でした。80年代はビデオデッキの普及と共に映像ソフトの可能性が飛躍的に拡大した時期。当初は正道ライヴビデオから始まったわけですが、さらにドキュメンタリーやビデオ・マガジンなど、さまざまなスタイルが模索されていきました。特に一気に進化したのはビデオ・クリップ。MTVの隆盛と共に重要度は増していったわけですが、1983年に社会現象を巻き起こした「スリラー」によって大爆発。それ以降、ライヴ風やドラマ仕立て等ありとあらゆる手法が開拓され、肝心要のアルバム以上に重視されるようにさえなりました。RUSHもまた、そんな時代の流れに適応していったバンド。ライヴアルバム『EXIT...STAGE LEFT』の映像版でいち早くホームビデオに参入し、第二弾として送り込んだのがクリップ集である本作。まだ映像ソフトが高価だった時代だったわけですが、全米ビデオ・チャートで16位をマークするスマッシュ・ヒットとなりました。しかし、当時の映像ソフトの宿命でいかにヒットしていても間もなく廃盤。その後もDVD化されることはなく、現在では幻の名作となっているのです。本作は、そんな80年代の名作映像を頂点クオリティでDVD化したもの。ソースには当時世界最高峰を誇っていた日本盤レーザーディスクのミント盤を使用し、海外のアナログ映像専門メーカーに委託してデジタル化。素材から工程に至るまで、あらゆる手段を講じて史上最高の映像美を実現した1枚なのです。そんな至高クオリティで描かれるのは、80年代前半を濃縮した全8曲。ここで、その内容も整理しておきましょう。1981-1982年(4曲)・ムーヴィング・ピクチャーズ:Vital Signs・ラッシュ・ライヴ神話大全:Tom Sawyer (Live) ・シグナルズ:Subdivisions/Countdown グレイス・アンダー・プレッシャー(4曲)・Distant Early Warning/The Body Electric/Afterimage/The Enemy Within……と、このようになっています。「Tom Sawyer」のみ『EXIT...STAGE LEFT』のライヴ映像ですが、他はすべてビデオ・クリップ。時代がかった衣装で熱演する「Distant Early Warning」や映像処理がアナクロな「Vital Signs」、SF映画仕立ての「The Body Electric」や「The Enemy Within」、科学文明の象徴であったスペースシャトルも誇らしげな「Countdown」等々……。とにかく1曲1曲が猛烈に80年代の薫りを発散している。MTVにかじりつきながらお気に入りのバンドが出てくるのを待っていたあの頃、RUSHのクリップが流れるや一気にテンションが上がったあの日々。部屋中に漂っていたLP棚のほこり臭さまで鮮明に甦る映像集なのです。幻の廃盤映像『THROUGH THE CAMERA EYE』を史上最高峰クオリティでDVD化した1枚です。全盛期の名曲群を見て楽しめるだけでなく、80年代の薫りまで運んでくれる映像傑作。 Taken from the original Japanese Laser Disc (SM058-0068) 1. Intro 2. Distant Early Warning 3. Vital Signs 4. Body Electric 5. Afterimage 6. Subdivisions 7. Tom Sawyer 8. Enemy Within 9. Countdown 10. End Credit PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.43min.