群雄割拠なYES史においても究極の一大プロジェクトだった“8人YES”。奇跡のアンサンブルをフル体験できるプロショット作品が登場です。そんな本作が撮影されたのは「1991年5月9日デンバー公演」。“UNION TOUR”の一幕を収めたマルチカメラ・プロショットです。“UNION TOUR”の象徴プロショットと言えば、何と言ってもオフィシャル作品『UNION LIVE』としても知られるマウンテン・ビュー公演も有名。ここでは両作の距離感を知る意味でも、世紀のワールド・ツアーの全体像から振り返ってみましょう。1991年・4月9日-29日:北米#1a(16公演)《4月30日『結晶』発売》 ・5月3日-21日:北米#1b(15公演)←★ココ★・5月29日-6月30日:欧州(20公演)・7月5日-8月8日:北米#2(28公演)←※公式『UNION LIVE』1991年・2月29日-3月5日:日本(5公演)《8人YES解体》 これが“8人YES”の活動全容。大雑把に「北米×2周+欧州+日本」だったわけですが、本作のデンバー公演はその序盤。アルバム『結晶』発売直後となる「北米#1b」の6公演目にあたるコンサートでした。そんなショウはフル・プロショットが残された事でも知られ、『UNION LIVE』限定盤のボーナスDVDとして公式化されたこともある。本作は、その最高峰版を精緻に復刻した1枚なのです。そのクオリティは完全オフィシャル級……にあと一歩、という感じ。公式盤も限定商品のボーナスDVDだったわけで、オフィシャルではあっても発掘作品レベル。明らかにVHSマスターをベースとしており、いかにも無加工なラフなミックスや荒っぽいカメラワークは「公式作品」的な磨き込みより、生々しさ優先でもあるのです。とは言え、そこは公式作品。凡百のエアチェック・ブートとは一線を画しており、マスター鮮度が絶品。解像度こそアナログ感覚の甘さがあるものの、白線ノイズ1本起きないシームレスな体験感は絶大です。その超リアル・クオリティで描かれるのは、奇跡の8人が音を重ねるフルショウ。マウンテン・ビュー公演の象徴プロショットはクオリティこそ圧倒的なものの、放送枠に沿って短く編集されてもいました。それに対し、本作は44分以上長いフル収録なのです。ここではマウンテン・ビュー公演プロショットと比較しながらセットを整理しておきましょう。70年代・サード・アルバム:Yours Is No Disgrace/Clap/ I've Seen All Good People・こわれもの:Heart of the Sunrise/Mood for a Day/Long Distance Runaround(★)/Roundabout・危機:And You And I(★)・究極:Awaken 80年代以降・ロンリー・ハート:Owner of a Lonely Heart/Hold On(★)/Changes(★) ・ビッグ・ジェネレイター:Rhythm of Love・結晶:Shock to the System(★)/Lift Me Up(★)・その他:Make it Easy/Drum Duet(★)/Solly's Beard/Whitefish/Amazing Grace※注:「★」印は公式映像『UNION LIVE(スタンダード版)』では観られない曲。……と、このようになっています。この日は新曲「Saving My Heart」を演奏しませんでしたが、それが問題にならないほどの大ボリューム。YES Featuring ARWを彷彿とさせる「Lift Me Up」、このツアーだけの「Shock to the System」や「Drum Duet」も美味しいですが、やはり一番は「And You And I」でしょう。大代表作『危機』から唯一選ばれながらマウンテン・ビュー公演プロショットではカットされてしまった名曲中の名曲。あのメロディが、あのフレーズが「オリジネイター5人+3人」の超豪華アンサンブルで演奏される……この醍醐味は何物にも代え難い。本作の魅力であると同時に、なぜマウンテン・ビューでカットされてしまったのか、約30年後の今になっても悔しさが込み上げてくるほどです。メンバーの変容はロックバンドの面白さそのものでもあります。YESは、素晴らしい名曲を生み出すと同時に「変化するアンサンブルの妙味」も教えてくれるバンドであり続けてきました。そして、“8人YES”こそがその極地。本作は、『UNION LIVE』でも観られなかった8人のフルショウを目撃させてくれる1枚です。定番デンバー公演プロショットの最高峰版。“UNION TOUR”の一幕「1991年5月9日デンバー公演」のマルチカメラ・プロショット。『UNION LIVE』限定盤のボーナスDVDとして公式化されたこともある映像で、生々しいミックス/カメラワークは発掘レベルながら、絶品のマスター鮮度が素晴らしい。オフィシャル作品『UNION LIVE』となったマウンテン・ビュー公演プロショットより44分以上長いフルショウ収録が圧倒的で、YES Featuring ARWを彷彿とさせる「Lift Me Up」、このツアーだけの「Shock to the System」や「Drum Duet」、さらに8人アンサンブルで甦った超名曲「And You And I」もプロショット&ステレオ・サウンドボードで楽しめます。 McNichols Sports Arena, Denver, CO, USA 9th May 1991 PRO-SHOT 1. Firebird Suite 2. Yours Is No Disgrace 3. Rhythm of Love 4. Shock to the System 5. Heart of the Sunrise 6. Clap / Mood for a Day 7. Make it Easy 8. Owner of a Lonely Heart 9. And You And I 10. Drum Duet 11. Hold On 12. I've Seen All Good People 13. Tony Kaye Solo 14. Changes 15. Solly's Beard 16. Long Distance Runaround 17. Chris Squire Solo : Whitefish 18. Amazing Grace 19. Lift Me Up 20. Wakeman Solo 21. Awaken 22. Roundabout Jon Anderson – Vocals Chris Squire – Bass, Backing Vocals Steve Howe – Guitar, Backing Vocals Trevor Rabin – Guitar, Vocals Rick Wakeman – Keyboards Tony Kaye– Keyboards Bill Bruford – Drums Alan White – Drums PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.163min.