シングルヒットで全米攻略の足がかりを掴みつつ、解散に向かっていた1976年のROXY MUSIC。「ヒゲのフェリー」でも有名な名作映像の特別バージョンが登場です。そんな本作にフィーチュアされているのは「1976年1月27日ストックホルム公演」。“SIREN Tour”の一幕で撮影されたマルチカメラ・プロショットです。1976年は最初の解散の年でもありますので、まずはその歩みから振り返ってショウのポジションを確かめておきましょう。1975年・10月2日-23日:英国(16公演)《10月24日『SIREN』発売》・11月14日-12月2日:北米#1(5公演)1976年・1月23日-27日:スウェーデン(3公演)←★ココ★ ・2月13日-3月20日:北米#2(20公演)《8月『VIVA!』発売》 これが1975年/1976年のROXY MUSIC。欧州では母国イギリスの他にはスウェーデンの3公演だけを行っており、本作のストックホルム公演はその最終日でもあったわけです。そんなショウで撮影されたプロショットは従来から広く愛されてきた定番映像ですが、本作はその最高峰版となるもの。某放送協会の名物番組“黄金の洋楽ライブ”で特集された日本放送バージョンです。何が最高峰かと言えばクオリティ。この番組は2006年だけあって放送もデジタルなら録画もデジタル。局マスターをそっくり完全オフィシャル級クオリティでDVD化しているのです。実のところ、レア曲「Nightingale」だけ音声が乱れがち(映像は極上なまま)になるのですが、アナログ的なキュル歪みなところをみると放送事故や録画ミスではない。局側の大元マスターが原因のようです。そして日本放送と言えば、番組の独自演出もポイント。当店では、コアな記録マニアによる極上マスターで音楽番組の数々をアーカイヴしており、“黄金の洋楽ライブ”はその常連。有名映像をストレートに流すタイプの番組で、センスの良い日本後字幕、多彩なゲストを招いての解説コーナーなどなど、日本放送の旨みがたっぷり。まず字幕ですが、これが実に気が利いている。メンバー1人ひとりの名前や曲名が表示されるだけでなく、ブライアン・フェリーのMCも完全翻訳。さらに意外と美味しいのが1曲1曲に入る寸評解説。もちろん、曲の良し悪しのような無粋なものはなく、特徴や収録アルバム、ヒットデータなどが表示される。後述しますが、本作ではメンバーのソロアルバムからの曲も多く、これが意外と重宝するのです。もう1つの大きな演出は、ライヴの前後に入る解説コーナー。本作の場合ライヴ前のコーナーはサラッととしてますが、ライヴ後の方は見応えたっぷり。毎回異なるゲストが招かれているのですが、本作でナビゲーターを務めているのは早くからROXY MUSICを日本に紹介してくださった某音楽評論家「コンちゃん」。2010年には自ら命を絶ってしまいましたが、本作はその4年前であり、物腰の柔らかい穏やかな口調でヴィジュアル・コンセプトやセットの意図を解説する言葉が胸に染みるのです。さておき、主役はもちろんライヴそのもの。現在では、このショウの完全版サウンドボードも存在しますが、本作はあくまで映像版。約47分のダイジェストです。ここで、その内容も整理しておきましょう。ROXY MUSIC・ストランデッド:Mother Of Pearl/Street Life・カントリーライフ:The Thrill Of It All/Out Of The Blue(★)・サイレン:Nightingale・シングル:Virginia Plain ソロ関係・フィル・マンザネラ:Diamond Head・アンディ・マッケイ:Wild Weekend ・ブライアン・フェリー:The 'In' Crowd/A Hard Rain's A-Gonna Fall ※注:「★」印は公式ライヴアルバム『VIVA!』でも聴けた曲。……と、このようになっています。エディ・ジョブソン時代のライヴと言えばオフィシャルの伝送盤『VIVA!』が浮かぶわけですが、本作との被りは「Out Of The Blue」1曲のみ。マンザネラやマッケイ、フェリーのソロ曲もたっぷり披露され、このツアーでしか演奏されていないレア曲「Nightingale」も(音声の歪みは残念ですが)楽しめるのです。ヒゲを蓄えたフェリーが動く“SIREN Tour”の代表作となる極上のマルチカメラ・プロショット。その最高峰版にして数々の独自演出も美味しい日本放送バージョンです。「もし、オフィシャル作品化されて日本盤が出たなら……」そんな妄想がそのまんまカタチになった1枚。「1976年1月27日ストックホルム公演」のマルチカメラ・プロショット。2006年に放送された日本バージョンで、デジタル放送ならではの完全オフィシャル級クオリティ、MCや曲解説まで完備した日本後字幕、ライヴの前後に配された解説コーナーなど、日本放送ならではの旨みもたっぷり。ヒゲを蓄えたブライアン・フェリーやエディ・ジョブソンの妙技など、“SIREN Tour”ならではの面白さが山盛りな映像傑作です。Konserthuset, Stockholm, Sweden 27th January 1976 PRO-SHOT Broadcast Date: 2nd September 2006 1. Intro / MC Talk 2. The Thrill Of It All 3. Mother Of Pearl 4. Nightingale マスターテープが乱れる 5. Out Of The Blue 6. Street Life 7. Diamond Head 8. Wild Weekend 9. The 'In' Crowd 10. Virginia Plain 11. A Hard Rain's A-Gonna Fall 12. MC Talk Bryan Ferry – vocals, keyboards, harmonica Andy Mackay – oboe, saxophone Paul Thompson – drums Phil Manzanera – guitars Eddie Jobson – synthesizers, keyboards, violin Rick Wills – bass PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.49min.