2枚組の力作『PRIVATEERING』がヨーロッパ各国のチャートを席巻し、根強い人気ぶりを見せていた2013年のマーク・ノップラー。そのフルショウを特等席体験できる映像作品が登場です。そんな本作が撮影されたのは「2013年6月27日パリ公演」。その絶景オーディエンス・ショットです。 『PRIVATEERING』時代と言えば、ボブ・ディランとのジョイント・ツアーも話題になりましたが、本作はそれとは異なる単独ツアーの記録。その辺の事情を理解する意味でも、まずは当時のスケジュールを紐解き、ショウのポジションを確認してみましょう。2012年・6月3日:Hay Festival出演 《9月3日『PRIVATEERING』発売》・9月6日ー26日:英国(3公演)*10月5日ー11月21日:北米#1(33公演)2013年・2月18日:ゲーツヘッド公演・4月25日ー7月31日:欧州(70公演)←★ココ★・9月27日:ブリッジポート公演・10月22日ー28日:北米#2(6公演) ※注:「*」印はボブ・ディランとのジョイント・ツアー。 これが2012年/2013年のマーク・ノップラー。こうして並べると複雑そうですが、実は散発的なショウが多く、移動とステージを繰り返す「ツアー」は2つのみ。アルバム発売後にボブ・ディランとカップリングで行った「北米#1」と、翌年マーク単独で行った「欧州」レッグだけです。もちろん、本作のパリ公演は後者。全70公演中44公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで撮影された本作は、まさに絶景の見本。詳しいポジションは不明なものの、角度から察するにステージ左側のスタンド席。開演直後こそ隣席と思われる手拍子の影が(一瞬)映りますが、マークの立ち位置を把握するやググッとズーム&安定。一切の遮蔽物もなく、彼の上半身が画面を占領する視界でショウをたっぷりと味わえるのです。そして、その絶景に負けていないのが素晴らしいサウンド。とにかく美しくて端麗。サウンドボードと間違えるようなド密着感ではないのですが、だからと言って遠くもない。視界と同じように開けた空気感のド真ん中を鮮やかな芯が真っ直ぐに届き、そこから湯気のように立ち上るホール鳴りが厚みとダイナミズムを添加している。フルートやヴァイオリン、アコーディオンなど多彩な楽器を交えた8人編成の大所帯アンサンブルが全身を包み込み、その中から浮かび上がる機微と旨みをしっかりと味わえるのです。そんな絶景・美麗サウンドで描かれるのは、『PRIVATEERING』をフィーチュアした現役感溢れるフルショウ。そのバランス感覚をご理解いただくためにも、ここでセットを整理しておきましょう。80年代(4曲)・ダイアー・ストレイツ:Romeo & Juliet/Telegraph Road/So Far Away ・サントラ:Father and Son 2000年代(7曲)・SAILING TO PHILADELPHIA:WHAT It Is・THE RAGPICKER'S DREAM:HILL Farmer's Blues/Marbletown・SHANGRI-LA:SONG For Sonny Liston/Postcards From Paraguay・ALL THE ROADRUNNING:I Dug Up A Diamond(★) ・GET LUCKY:Piper To The End プライベティアリング(6曲)・Corned Beef City/Privateering/Seattle(★)/Kingdom of Gold(★)/I Used To Could/Haul Away ※注:「★」印はルース・ムーディとのデュエット。……と、このようになっています。80年代の必殺曲も披露していますが、あくまでもサービス的。主軸は『SAILING TO PHILADELPHIA』以降のレパートリーで、それも「クラシックスが半分+PRIVATEERINGの新曲が半分」といった感じです。特に「Corned Beef City」は最新ツアーでも披露されていましたが、それ以外の新曲群は今後は望めそうにないレパートリーです。また、過去曲で美味しいレアどころと言えば、「I Dug Up A Diamond」。エミルー・ハリスとの共演作『ALL THE ROADRUNNING』のナンバーで、ソロでは2013年にしか演奏されていない限定曲なのです。また、その「I Dug Up A Diamond」ではルース・ムーディがゲスト参加。彼女はフォーク/ブルーグラス・グループTHE WAILIN' JENNYSのシンガーで、次作『TRACKER』でフィーチュアされた事でもお馴染み。彼女は『PRIVATEERING』にも参加しており、本作でも「I Dug Up A Diamond」「Seattle」「Kingdom of Gold」の3曲で繊細な歌声を披露してくれるのです。次作『TRACKER』ではDIRE STRAITS以来となる全英3位を成し遂げたマーク・ノップラー。本作は、その円熟の境地へと向かうステージを絶景体験できる映像作品です。来日を望めない彼のフルショウを特等席から味わい尽くす極めつけの2枚組。「2013年6月27日パリ公演」の絶景オーディエンス・ショット。ステージ左側のスタンド席から遮蔽物もなく、彼の上半身が画面を占領する視界でショウをたっぷりと味わえる。サウンドも美しくて端麗。視界と同じように開けた空気感のド真ん中を鮮やかな芯が真っ直ぐに届き、そこから湯気のように立ち上るホール鳴りが厚みとダイナミズムを添加している。『PRIVATEERING』をフィーチュアした現役感溢れるショウは滋味深く、「I Dug Up A Diamond」「Seattle」「Kingdom of Gold」の3曲ではフォーク/ブルーグラス・グループTHE WAILIN' JENNYSのルース・ムーディもゲスト参加。繊細な歌声で見事な共演を披露してくれます。Zenith de Caen, Paris, France 27th June 2013 AMAZING-SHOT!!! Disc 1(60:28) 01. What It Is 02. Corned Beef City 03. Privateering 04. Father & Son 05. Hill Farmer's Blues 06. I Dug Up A Diamond (with Ruth Moody) 07. Seattle (with Ruth Moody) 08. Kingdom of gold (with Ruth Moody) 09. I Used To Could 10. Romeo & Juliet Disc 2(63:42) 01. Song For Sonny Liston 02. Haul Away 03. Postcards From Paraguay 04. Marbletown 05. Telegraph Road 06. So Far Away 07. Piper To The End Mark Knopfler - Guitar, Vocals Richard Bennett - Guitar Guy Fletcher - Keyboards Jim Cox - Piano, Organ, Accordion Michael McGoldrick - Whistles, Uilleann Pipes John McCusker - Violin, Cittern Glenn Worf - Bass Ian Thomas - Drums COLOUR NTSC Approx.124min.