いよいよ佳境に入ってきた2021年版“NO FILTER Tour”。その大人気マルチカメラ編集オーディエンス・ショットのシリーズ最新弾が今週も登場。一挙に三作同時リリースが決定です!本作は、その第二弾。「2021年11月6日ラスヴェガス公演」篇です。このシリーズは、連日の“NO FILTER Tour”最新レポートでも定番。ほとんど毎公演の映像作品をお届けしてきました。そのコレクションもだいぶ増えてきましたし、「ほとんど」であって「全部」でもない。ツアーが佳境に入ってきた今だからこそ、日程でコレクションを整理し直してみましょう。・9月26日『ST. LOUIS 2021: Multicam』・9月30日『CHARLOTTE 2021: Multicam』・10月4日『PITTSBURGH 2021: Multicam』・10月9日『NASHVILLE 2021: The Video』・10月14日『LOS ANGELES 2021 1ST NIGHT: Multicam』・10月17日『LOS ANGELES 2021 2ND NIGHT: The Video(の一部)』・10月24日『MINNEAPOLIS 2021: Multicam』・10月29日:タンパ公演 ・11月2日『DALLAS 2021: Multicam』・11月6日:ラスヴェガス ←★本作★・11月11日:アトランタ公演・11月15日『DETROIT 2021: Multicam UPGRADE』・11月20日:オースティン公演・11月23日:ハリウッド公演※注:上記は通常リリース版のみ。以上、全14公演。本稿の執筆段階で13公演目のオースティンまでが終了しており、マルチカメラ編集作品も10公演分が登場しました。その中で本作のダラス公演はシリーズ9作目にあたります。そんな本作は相変わらずの見事な見応えなのですが、作風はやや異なる。これまでの諸作は全曲でプロショットばりにコロコロと視点を変えていく作りでしたが、本作は曲によって編集方針が違う。例えば、冒頭数曲ではメインカメラが(なんとなく)決まっている。これまでの作品で言いますと『NASHVILLE 2021: The Video』に近いタイプなのです。そのため、最初は編集の凝り具合よりも公開までのスピードアップを図るようになったのかな……とも思いましたが、どうやらそれはゲスの勘ぐりだった。何しろ、そのメインカメラが強烈無比! ステージ左側の花道袖でして、ミックがメインステージにいても花道に出てきても手を伸ばせば触れられそう。まるでプロショットの1アングルかのような見応えですし、ここまで近いとカメラをちょっと左右に振っただけでも視界が激変。スイッチングがなくても見飽きないのです。そして、重要なのはショウが進むほどに作風まで変わっていくこと。例えば「19th Nervous Breakdown」では、幾つかの曲では遠景がメインに変わるのですが、そうした曲では画面を分割し、2つの異なる映像を同時に流す編集が施されている。しかも、その遠景ショットには現場スクリーンのプロ撮影ショットも映り込んでいる。よく見れば2分割なのですが、パッと見た感じでは3つも4つも分割されているように見えるのです。そして、続く「Tumbling Dice」では従来通りに1曲内でコロコロとアングルを変えるマルチカメラらしい作風になり、その後も曲を重ねるほどにスイッチングやアングルの数が増えていく(実際にカウントはしていませんが、そう感じられるのです)。これまでのように終始圧倒するのではなく、ショウのメリハリをサポートするような編集……一体、このシリーズはどこまで進化するというのでしょうか。そして、そんな映像美で描かれるのは、“2021年の王道”とも言えそうなフルセット。いつものように整理してみましょう。固定曲 Tumbling Dice/You Can't Always Get What You Want/Living In A Ghost Town/Start Me Up/Honky Tonk Women/Miss You/Midnight Rambler/Paint It Black/Sympathy For The Devil/Jumping Jack Flash/Gimme Shelter/(I Can't Get No) Satisfaction 日替わり曲 ・キース・コーナー:Connection /Happy・その他:Street Fighting Man/It's Only Rock 'n Roll/19th Nervous Breakdown/Rocks Off/Ruby Tuesday ※注:上記はオースティン公演(11/20)までのセット情報から構成。……と、このようになっています。2021年版“NO FILTER Tour”では、ほぼ毎公演で「今年初!」という曲があるのですが、この日にはナシ。「Rocks Off」「Ruby Tuesday」辺りはレアなのですが、それもLA初日(10/14)に登場済み。1曲少なかった雨のダラス公演とは違って曲数は全19曲と戻りましたが、(直後のせいなのか、まったく関係ないのか分かりませんが)安定感を狙ったようなセットなのです。そんな勘ぐりをしてしまうもう1つの理由がミックの調子。ラスヴェガスの乾燥した空気が合わないのか、どうも声に伸びがない。この次のアトランタでは見事に復活していましたし、体調不良を心配するほどでもないのですが……。時に特等席感覚をじっくりと体験させ、時にプロショットばりにアングルを変え、時に画面分割の新味で目を引く。作品を重ねたせいか「こんなにいっぱい映像があるよ!」という顕示欲が消え、ショウ全体のメリハリまで向上している。単なるコレクションの1本としてだけでなく、進化していくオーディエンス文化の最先端まで味わえる1枚。「2021年11月6日ラスヴェガス公演」のオーディエンス・ショット。海外マニアが制作したマルチカメラ編集シリーズの第9弾で、編集技がさらに進化。時に特等席感覚をじっくりと体験させ、時にプロショットばりにアングルを変え、時に画面分割の新味で目を引く。全編でアングル数を見せびらかすような顕示欲が消え、曲によって編集方針まで変える芸達者ぶり。ショウのメリハリをサポートするような編集センスでフルショウ体験できる映像傑作です。Live at Allegiant Stadium, Las Vegas, NV, USA 6th November 2021 AMAZING SHOTS!!!! (131:24) 1. Intro 2. Street Fighting Man 3. It's Only Rock 'n Roll 4. 19th Nervous Breakdown 5. Words For Charlie 6. Tumbling Dice 7. Rocks Off 8. Ruby Tuesday 9. You Can't Always Get What You Want 10. Living in a Ghost Town 11. Start Me Up 12. Honky Tonk Women 13. Band Introductions 14. Connection 15. Happy 16. Miss You 17. Midnight Rambler 18. Paint It Black 19. Sympathy for the Devil 20. Jumping Jack Flash 21. Gimme Shelter 22. Satisfaction COLOUR NTSC Approx.131min.