ストーンズに先駆けて列島を揺るがしたミック・ジャガーの初来日。忘れ得ぬ、あの「1988年の春」が鮮やかに甦るTV番組コンピレーションがリリース決定です。そんな本作に収められているのは、ミックの来日当時に放送されたTV番組の数々。以前、似たタイトルのタイトル『JAPAN TOUR 1988』をご紹介したこともありますが、本作は別物。30分近く大増量された拡張版です。そんな本作の内容は一瞬取り上げただけのニュース番組から特番まで、多様な14種もの映像で構成されています。収録は放送の時系列順で、おおよそ次の5種に大別できる。前回版のおさらいも含め、それぞれ詳しくご紹介していきましょう。【3月7日:成田到着ドキュメント(2種)】まず登場するのはニュース番組での来日告知と、実際に成田空港に到着した「3月7日」の朝ワイドショー「おはよう!ナイスデイ」。メディア、ファンがごった返して騒然となった空港の光景が時代の空気をリアルに運んでくる。さらにスタジオのコメントでは、ストーンズ派の亀○田氏が「ホロヴィッツじゃないけど、もう少し前のミックを見たかった」といかにも80年代な感覚を語るかと思えば、場違いなコメンテーターが「最後の稼ぎ場所は日本ですかね」など世迷い事をのたまう。このすれ違いも最高にくすぐるのです。【3月8日:記者会見(3種)】続くは、翌日に行われた赤坂・全日空ホテルでの記者会見。「3時のあなた」「ニュースステーション」「おはよう!ナイスデイ」です。まず衝撃なのが「3時のあなた」。昭和の大女優、森○子さんが司会を務める一般向けお茶の間番組に「ロックのスーパースター、ミック・ジャガーが遂に来日」と題してほぼ時間差なしの中継。これだけで初来日の巨大な衝撃がアリアリと伝わるわけですが、その森さんが凄い。「日本では覚えやすいですね。『肉ジャガ』と覚えましょう」「ロックの肉ジャガ。浅草で食べるみたい」と何度も繰り返してしまう。このとんでもない発言でも、なぜか微笑ましくなる森さんも素晴らしければ、あえて応えず話題を変えようとするもう1人の司会者、野間○平氏のマジメな姿にも心打たれます。別の意味で凄いのが当日放送の「ニュースステーション」。記者会見映像の他に、番組独自編集の「Satisfaction」が流れる。1969年ハイドパーク公演のライヴ映像なのですが、リリース当時(1965年)のトピック映像を被せられる。そのトピックは「東海村原発に燃料装てん」「ファイティング・原田、世界チャンピオンに」「新東京国際空港に成田内定」等々など……。視聴者に時代感を伝える趣向は何ともニュース番組的で、一般大衆を巻き込んだ“事件”だったからこそあり得た超貴重バージョンです。「おはよう!ナイスデイ」は会見翌日「3月9日」の放送で、会見を長めに見られるのが最高。スタジオに移っても凄い。コメンテーターが「ニコニコして愛想を振りまいて、イメージと違った」と言うと、ファン気質丸出しの栗本慎○郎氏が「いやいや、あれで結構、危ない人なんですよ」と返す。この「俺たちのミックをナメてもらっちゃ困るぜ」なドヤ顔……「ああ見えてウチの先輩は怖いんだぜ」的で、凄く分かるものの気恥ずかしくもあるのです。【3月10日:ロングインタビュー/12日:直前告知(2種)】お馴染み「ベストヒットUSA with ミック・ジャガー」。「3月10日」に収録され、2週間後の3月23日に放送されたもの。この週はチャートの紹介がラストに流される(そのラインナップも凄い時代感ですが)だけで、番組のほとんどすべてがミック特集。異例な構成だけでも特別感が伝わります。冒頭で“1982年6月25日:ロンドン・ウェンブリー”の「Under My Thumb」のライヴ(音声は公式盤)も流れますが、それ以上にロング・インタビューが素晴らしく、この時期でここまで長いインビュー映像は他にありません。しかも、その内容も特濃。ちょっと拾っても……「15年前みたいなことがないように、慎重に事を進めた」「長い距離のマラソンなんてやってない。逆に不健康だ」「振付なんてしないよ。イメージにこだわらない。自分自身でしかない」「ときどき、ロックにうんざりする」「ロックははずみだね。何回もやると型にはまる」「学校では経済学や政治学を勉強していた。それより経理をやっときゃ良かったな(笑)」「道を選ぶときには悩んだよ。こうなるとは思わなかったし」「ドラムマシンはプログラムすると、それに合わせて歌わなきゃならない。今はみんな機械仕掛けだ」等々など。一般向け番組とはまるで違う、真摯な“音楽家ミック”がたっぷりと見られるのです。★新規映像その1★ ここで前回では観られなかった新規シーンが2つあります。1つはインタビューの合間に挿入される演奏シーン。「Under My Thumb」のライヴ映像は前回にもありましたが、今回はさらに5曲「Throwaway」「Say You Will」「Jumpin' Jack Flash」「Hard Woman」「One Hit (to the Body)」のクリップもノーカットで流される。貴重度は高くありませんが、当時何度も観たPVだからこそのリアルタイム感覚にむせ返るのです。★新規映像その2★2つめの新規映像は「ベストヒットUSA」の後に収録された「オールナイトフジ」。映像としては成田や記者会見の再編集でしかないのですが、「観に行かれるんですか?」と訊くスタジオ・トークなど、初日公演を目前に控えた告知が生々しい映像です。【3月15日:大阪公演/20日:延期告知(3種)】ここで貴重な来日プロショット映像が登場! 「3月15日:大阪城ホール」公演の「Throwaway」です。あくまで番組ナレーションが付く短めのワンカメ映像なのですが、歴史的なミックの日本初演がプロショットで観られるお宝です。さらに衝撃的なのは「3月20日」に放送された延期告知テロップ。「阪神vs南海」オープン戦の中継映像と、競馬番組の最中に流れたもの。ホークスが「南海」な事にも胸が熱くなりますが、テロップ内容もあまりに生々しい。ちょっと書き出してみましょう。「本日予定しておりましたミックジャガー振替公演は、本人の病状が回復せず、公演は中止となりました。なお、再度の振り替え公演を、3月28日(月)大阪城ホールにて行います。」この文言もさることながら、録画されていた事実にも驚く。本作は記録マニアによる録画映像なのですが、このテロップを目当てに放送を録画し続けていた(!?)という事なのでしょうか……。確かに「3月19日」の会場で「テロップでお知らせします」とアナウンスされてはいましたが、それが何時なのか分かるはずもない。恐るべきマニア魂です。【3月22日:東京公演(4種)】これまた超貴重なプロショット! 東京初演「3月22日」に放送された「ニュースステーション」です。突如登場する死ぬほど美しい小○悦子と共にデカデカと「ミックが東京ドームにやってきた!」。そして、当日2曲目「Throwaway」が約3分に渡って流れるのです! 勿論、この日のライヴはテレビ放送されるわけですが、これはこの時限りの完全ディフ映像!! マルチカメラの映像も、高音質なマイク・サウンドもオリジナル。さらに久○宏氏のコメントも面白い。「まぁロックミュージックてのは、この音のボリュームと言うのがひとつのポイントなんですが、それだけに収録がまた難しくなるというのがご覧頂いて判ったと思います。臨場感とはだいぶ違いますが」とまるでブート解説のようです(笑)。さらに「ニュースステーション」とは別バージョンの「Throwaway」をフィーチュアした「おはよう!ナイスデイ」も収録。「5万人のフィーバー熱唱22曲!」の手書き文字にもシビれますし、超貴重なプロショットに挟まるシーンもドキュメント。開演を待ちながらエアバンドで盛り上がるファン、それを怪訝そうに眺めるオバサン(あんたも見に来たの?)の姿も強烈なら、興奮する著名人には既に亡くなられた方々の姿も……。★新規映像その3★最後に新規映像が2種追加されています。まずは再び「オールナイトフジ」。名古屋公演(3月26日)の当日に放送されたもので、3月27日に予定されていたコンサート放送を告知するもの(本放送は当店の『MICK JAGGER IN TOKYO DOME: TV BROADCAST 1988』でお楽しみください)。東京ドームを「ビッグエッグ」と呼び、女性タレントが酔ってるのかと思うほどたどたどしく原稿を読み、公共電波で堂々と女子大生を募集し、今では画家として知られる片岡鶴太○がチンピラのよう……短いながらも、現在では考えられない光景が連続して吹き出します。★新規映像その4★最後の最後も新規映像、吉○照美の「VIDEO MAGAZINE」です。すでに全公演が終了しており、鳥井賀○や松金よね○がミックを語ったり、一般客を居酒屋に集めて座談会したり。感想会なコメントもリアルではありますが、可笑しいのはむしろスタジオトーク。まだ20代だった岡○まりが「1973年の来日はどうして中止に?」と振るのですが、吉田照○はとっさに答えられずにしどろもどろ。まあ確かに、いかな1988年であっても公共電波で「大麻吸ってたからだよ」と言って良いかはよくよく考えないといけません。以上、14種・1時間13分16秒に及ぶ歴史的な証言映像です。大人気だった前回版より30分近くも増量され、たとえ当時を知らなくてもドキュメンタリー映画として面白く、想い出が深いほど時代の薫りが鼻腔をくすぐる超娯楽大作。ミック初来日のプロショット集がリリース。当時の日本で放送されたTV番組コンピレーションで、多様な映像を14種も収録。ドキュメンタリー映画クラスの見応えを誇る約73分の歴史的大傑作です。MICK JAGGER - JAPAN TOUR 1988 JAPANESE TV SPECIALS(DVD) (73:16) 1. Concert Dates Announcement (Broadcast in February) ARRIVED AT NARITA AIRPORT on 7th March 2. OHAYO! NICE DAY #1 (Broadcast on 9:41AM/9:46AM, 8th March) PRESS CONFERENCE (Tokyo Akasaka Zen'nikku Hotel, 8th March) 3. SANJI-NO-ANATA (Broadcast 3-4PM, 8th March) 4. NEWS STATION #1 (Broadcast 10-11:17PM, 8th March) 5. "Satisfaction" News Station Edition (feat. Hyde Park Live 1969 & Japanese historical films 1965) 6. OHAYO! NICE DAY #2(Broadcast on 9:36AM, 9th March) BEST HIT USA Interview in Tokyo on 10th March (Broadcast on 23rd March) ★完全版 7. Intro ブリジストン・サウンド・ハイウェイ 8. Interview 1 9. Under My Thumb (Wembley Stadium, London 25th June 1982)? 10. Interview 2 11. Throwaway 12. Interview 3 13. Say You Will 14. Interview 4 15. Jumping Jack Flash 16. Hard Woman 17. Interview 5 18. One Hit (to the Body) 19. Outro. ALL NIGHT FUJI #1 (Broadcast on 12th March)★初登場 テロップで「演奏曲目決定!」独自対訳&独自編集 20. Narita Airport & Press Conference IN OSAKA 21. "Throwaway" (Live at Osaka-Jo Hall on 15th March) 22. Telop Information #1 "Concert postponed due to Mick's illness" (20th March) 公演延期告知 貴重 23. Telop Information #2 "Concert postponed due to Mick's illness" (20th March) 公演延期告知 貴重 IN TOKYO 24. NEWS STATION #2 (Broadcast 10-11:17PM on 22nd March) 25. "Throwaway" (Live at Tokyo Dome 22nd March) 26. OHAYO! NICE DAY #3 (Broadcast on 9:36AM, 23rd March) 27. ALL NIGHT FUJI(Broadcast on 26th March)★初登場 Promote Tokyo Dome Concert TV Broadcast (on 27th March) 38. VIDEO MAGAZINE ★初登場 約7分 貴重 PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.73min.