本作に収められているのは、初来日の象徴として君臨しているマルチカメラ・プロショット。名物TV番組“ヤング・ミュージック・ショー”の最高峰マスターです。かつて『TOKYO JOE(の一部)』として商品化されたこともあるマスターで、国内の録画マニアが秘蔵していたオリジナル・カセットからダイレクトにDVD化したものです。このマニアがハンパではない。1977年当時と言えば、民生のビデオデッキも登場してはいたものの普及にはほど遠く、録画用のタイマーだけでも別売りで1万円以上、空のカセット1本が5,000円以上もしていた時代。誰でも彼でも録画などできなかったわけですが、このマニアは知り合いのツテを辿り、当時のハイエンド機材で録画していたのです。もちろん、それだけの情熱を注いだわけですから、保存も完璧。提供されたマスターから流れ出て来たのは、まるで一度も再生していなかったような美しい映像と音声。40年前の映像だというのに白線1本すらなく、もちろんダビング痕もゼロ。写植フォントの字幕も懐かしければ、今にも『特捜最前線』が始まりそうな夜景も時代がかった映像なのですが、それこそ昨日再放送されたかのように鮮やかな映像美なのです。その究極クオリティで描かれるのは、伝説の初来日に臨んだ31歳のブライアン・フェリー。そんな苦境を跳ね返すような熱気は本作からもアリアリと伝わってくる。声も完璧に出ているとは言えないわけですが、それを振り払うような集中力と気迫に充ち、周囲のメンバーもそんなフェリーを支えるようにシリアスな演奏を繰り広げる。さらに言うと、本作がテレビ用の特別パフォーマンスなのも幸いしている。通常のコンサートよりもグッと短く、MCも最小限ならファンサービスもほぼ不要。ひたすら演奏に集中する緊張感が一瞬のスキもなくビシッと全編を貫いているのです。英国ロックの英雄たちを従えて日本を訪れたブライアン・フェリー。その勇姿を録画マニアが全身全霊で記録し、保存していた記録映像の大傑作です。 Live at NHK 101 Studio, Tokyo, Japan 9th June 1977 PRO-SHOT 1. Let's Stick Together 2. Shame Shame Shame 3. In Your Mind 4. Casanova 5. Love Me Madly Again 6. Love Is The Drug 7. Tokyo Joe 8. This Is Tomorrow 9. A Hard Rain's A-Gonna Fall 10. The Price Of Love PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx. 45min.