15年前の2003年3月。ローリング・ストーンズは“1973年の幻”を現実に変えてくれました。あのストーンズ史上唯一無二の日本武道館公演を筆頭に、2003年ツアーの光景を集成した極上映像セット登場です。本作に収められているのは3公演。「2003年3月10日:日本武道館」「3月12日:横浜アリーナ」「3月16日:東京ドーム」のフル・オーディエンス・ショット3枚組です。まずは、15年前の記憶を甦らせるためにも、当時のツアー日程から始めましょう。・3月10日:日本武道館 【ディスク1】・3月12日:横浜アリーナ 【ディスク2】・3月15日:東京ドーム・3月16日:東京ドーム 【ディスク3】・3月20日:大阪ドーム・3月21日:大阪ドーム 以上、全6公演。この年の来日は結成40年記念ベスト『FORTY LICKS』に伴うもの。クラブ/アリーナ/スタジアムでセットを変え、クラブやアリーナではレア曲を演奏するツアーでした。本作では、そのアリーナ公演“日本武道館”“横浜アリーナ”、スタジアム公演“東京ドーム”と3つの異なる会場の光景を一望できる3枚組なのです。(武道館は規模はアリーナですが、セットリスト等はクラブ扱いでした。)【ディスク1:日本武道館(3月10日)】まず登場するのは2003年の象徴も言うべき、伝説の日本武道館公演。“1973年の幻”から30年にして現実となった光景をフルで目撃できる映像です。ショウの存在自体が胸に迫りますが、クオリティも感動的。何よりも素晴らしいのはカメラワーク。本作の映像はすべて当時話題になった代表映像なのですが、本作は特に凄い。ステージ正面の1階スタンド席から撮影されてえり、遮蔽物ゼロの広々とした視野が絶品。そして、そこから果敢なズームを多用してえり、最アップになるとミックの上半身が画面を占領するほどに迫る。そして、その見どころの押さえ方こそが素晴らしい。撮影者は間違いなくストーンズをこよなく愛してえり、ミックの動きも各曲の押さえ所も熟知。ズームひとつのタイミングまで完璧なのです。ミックをアップでたっぷりと追っていても「ここでキースのギターが来る!」という瞬間になる直前にしっかりと引いて画面に2人を並ばせる。逆にミックが歌っていなくても、ダンサーと絡んでいるシーンはキッチリとズームで押さえ、ド真ん中から外さない。ステージ演出にしても然り。例えば「Honky Tonk Women」。女性がトレードマークの下に乗ってロデオしながらオルガスムに達するエロアニメが流されますが、それを事前にド真ん中で待ち構え、きっちりと見せてくれる。とにかく「1回こっきりの日本武道館を完璧に残す!」という気迫が画面から溢れ出し、全編を貫く見事なカメラワークなのです。そのクオリティで描かれるショウは、まさに伝説。ミックの「マタ東京ニ来レテ嬉シイヨ。初メテノ武道館」だけでも感涙もの。前述の通り、アリーナ会場ではレア曲が多めになるのですが、“この日だけの曲”が一番多かったのが日本武道館。詳しくない方にも見やすく、思い入れが深いほどに濃い、最高傑作映像なのです。※この日だけだった曲:「Live With Me」「No Expectations」「Everybody Needs Somebody To Love」「Worried About You」「Rock Me Baby」【ディスク2:横浜アリーナ(3月12日)】続くは2日目もアリーナの横浜公演です。こちらの映像はステージ右側(キース側)スタンドからの撮影で、ポジションとしては会場の真ん中に設置されたBステージの真横。さすがにポジションまで理想的な日本武道館ほど自在とはいかないものの、前列の腕や頭を巧みにかいくぐり、工夫を凝らしてステージを最大限に押さえているのがよく分かる。ズームの果敢さ、見どころの押さえ方も見事ですし、ミックの上半身が画面を占領する迫りぶりも日本武道館に肉薄する好映像です。そんな映像がグッと迫力を増すのはショウの終盤。日本武道館にはなかったBステージに移動して3曲「Mannish Boy」「When The Whip Comes Down」「Brown Sugar」を演奏するのですが、このシーンの光景は本当に見事。前列の影もなくなり、何よりも距離が近い! 真横だけになかなかこちらを向いてはくれませんが、その分、アップのままキースやロンと並ぶシーンも多発。会場のヴォルテージもグッと高まり、この3曲だけは最高傑作だった日本武道館さえも超えかねない絶品の映像美なのです。そのクオリティで描かれるショウもまた素晴らしい。“この日だけの曲”となると3曲と日本武道館よりも少ないのですが、2回だけだった「When The Whip Comes Down」や3回演奏の「Monkey Man」「All Down The Line」「Happy」「Mannish Boy」など、日替わり曲の数は横浜の方が多かったのです。※この日だけだった曲:「If You Can't Rock Me」「Ruby Tuesday」「Loving Cup」【ディスク3:東京ドーム(3月16日)】3つ目の映像は、関東最終だった東京ドーム2日目。ここまでの2公演はスタンド席からの見晴らしを活用しての“作品然”とした映像でしたが、これだけはアリーナ席からの見上げショット。むしろ、特等席の熱狂をリアルに感じる体験映像になっています。その旨みは、何と言っても近さ! 遠景からの見下ろしショットはショウの隅々まで見渡せるものの、多くの方が望むのは“少しでも近い席”。その感覚がたっぷりと封じ込められています。またサウンドも特筆。上記2つの映像の音声も素晴らしかったのですが、この映像の音声は更に素晴らしい。何より、アリーナ席のため広大な熱狂が背中から押し寄せるタイプで、その分演奏音と歌声が骨太・肉厚なのです。そのクオリティで描かれるのはスタジアムならではの黄金のセット。“この日だけの曲”が「Angie」だけではありますが、演奏はやはり唯一無二。実のところ、ちょっと危なっかしいショウだったりもします。冒頭の「Brown Sugar」のイントロで音が出ずにアレ?という感じになってしまいますし、「It's Only Rock'n Roll」でもミックが構成を間違える。目玉のはずの「Angie」でもイントロが少々えぼつかない。もっとも、怪しいのはそこまででその後は素晴らしいコンサートになっていくのです。また、ちょっと面白いのがキースの「Slipping Away」に入る前。ロンがソロ曲「Mystifies Me」をつま弾いてえり、「Stop, I've got want to do(やめろ。俺がやるんだ)」と一声かける。恐らくはロンのソロアルバム『I'VE GOT MY OWN ALBUM TO DO』に引っかけたであろうジョークに会場からも笑いが起きる。この映像ではカットがあるのでロンが弾いているのは分かりづらいのですが、この一声と会場のムードははっきりと感じられるのです。王道の東京ドーム、貴重なアリーナのムードが美味しい横浜、そして幻が現実へと変わった日本武道館……。15年前の日々を極上の光景で甦らせてくれる映像セット。この記念すべきアニバーサリーの3月にぜひ味わっていただきたい銘品です。 Budokan, Tokyo, Japan 10th March 2003 Yokohama Arena, Yokohama, Japan 12th March 2003 Tokyo Dome, Tokyo 16th March 2003 Disc 1(120:37) Live at Budokan, Tokyo, Japan 10th March 2003 1. Jumping Jack Flash 2. You Got Me Rocking 3. Live With Me 4. Let It Bleed 5. No Expectations 6. Rocks Off 7. Everybody Needs Somebody To Love 8. Worried About You 9. Midnight Rambler 10. Band Introductions 11. Slipping Away 12. Before They Make Me Run 13. Start Me Up 14. It's Only Rock 'n Roll 15. Rock Me Baby 16. Can't You Hear Me Knocking 17. Honky Tonk Women 18. Tumbling Dice 19. Brown Sugar 20. Satisfaction COLOUR NTSC Approx.121min. Disc 2(106:32) Live at Yokohama Arena, Yokohama, Japan 12th March 2003 1. Street Fighting Man 2. It's Only Rock 'n Roll 3. If You Can't Rock Me 4. Don't Stop 5. Monkey Man 6. You Got Me Rocking 7. Ruby Tuesday 8. Loving Cup 9. All Down The Line 10. Tumbling Dice 11. Band Introductions 12. Slipping Away 13. Happy 14. Sympathy For The Devil 15. Start Me Up 16. Honky Tonk Women 17. Satisfaction 18. Mannish Boy 19. When The Whip Comes Down 20. Brown Sugar 21. Jumping Jack Flash COLOUR NTSC Approx.107min. Disc 3 (124:38) 東京ドーム2日目 Live at Tokyo Dome, Tokyo 16th March 2003 1. Intro. 2. Brown Sugar 3. Start Me Up 4. It's Only Rock 'n Roll 5. Don't Stop 6. All Down The Line 7. Angie 8. Monkey Man 9. Midnight Rambler 10. Tumbling Dice 11. Band Introductions 12. Slipping Away 13. Happy 14. Sympathy For The Devil 15. When The Whip Comes Down 16. Mannish Boy 17. You Got Me Rocking 18. Gimme Shelter 19. Honky Tonk Women 20. Street Fighting Man 21. Satisfaction 22. Jumping Jack Flash COLOUR NTSC Approx.125min. COLOUR NTSC Approx.352min.(TOTAL)