本作に収められているのは、某民放局で流されたSANTANA特番。来日後の「8月1日/8日」の2週にわたって放送されたものです。有名映像だけに多くの方が目にしたことがあると思いますが、本作はそのベスト・マスターからDVD化したものです。何しろ、本作のソースはTV放送のエアチェック。。。では、ない。実は海外の関係者が記録用に保存していたベータカムなのです。日本語テロップも入るので放送マスターと思われますが、そのクオリティは段違い。現在では鮮度の良いエアチェック・マスターも発見されてはいますが、それでも揺れや乱れは避けられず、物によっては画質自体は良くても白線ノイズや色あせ・変色の激しいものばかり。しかし、本作はビシッと安定してテロップの輪郭も美しい。色合いも現場通りの美しさを現代に伝えてくれるのです。そんな関係者マスターで描かれるのは、ダイジェストではありますが「目で観るロータス」と呼びたい伝説のステージ。ここでは2CDと書式を揃えて内容も整理しておきましょう。 天の守護神・Black Magic Woman/Gypsy Queen/Oye Como Va/Incident At Nashabur ウェルカム・Going Home/Mantra/Samba De Sausalito その他・A-1 Funk/(Stone Flower Intro)Waiting/Castillos De Arena, Part 1 (Sand Castle)/Free Angela/Japan……と、このようになっています。そして、この映像は画面から滲み出る時代感もポイント。衣装や照明もさることながら、カメラワークが非常に独特。まだロック・コンサートに撮影に慣れていないのは明らかで、90度真上などの妙な位置から撮影したり、顔面アップが多い反面、観客は一切登場しなかったり。今の感覚からすると、ロックを知らない宇宙人が撮影しているような異文化感も宿っている。さらに面白いのが要所に登場する日本後テロップ。メンバー名や曲名(結構間違ってる)、バンドの略歴など現代でも珍しくないものもありますが、中にはライヴやメンバーの観光スケジュールも公開し、ヴォーカル・ナンバーでは歌詞対訳も登場。さらには何の脈絡もなく唐突にテロップで広告をぶち込んでくる。インタープレイがどんどん醸成されていく最中に突然「プレイ機能も万全〈本格4CHシステム〉」「若ものの夏を多彩にするジーンズ」「シナモンの香り、大人のガム」と出てくると、さすがに思考が追いつきません。極めつけなのがトリビアやメンバーのコメント。これは実際に読んで頂くのが一番なので、一部を書き出してみましょう。・10年前、赤坂のラテン・クォーターや華馬車に出演していたことのあるアマンド・ベラザは10年後のとうきょうにびっくり!・ヴォーカルのレオン・トーマスは、楽屋で必ず演奏前に逆立ちをして瞑想に耽っていた。・“サンタナ”とは、カルロス・サンタナの名前からとられたものであると思われているが、これは、オリジナル・メンバーのマイク・カラベロによって名付けられたもので、この名前がメキシコでもっともありふれた、ポピュラーな名前であることがネーミングの理由となっている。・マイケル・シュリーブは、禅・尺八・琴・雅楽のLPや、ツトム・山下の全LPを買い込んで帰った。・“日本で最初に買ったもの、何だと思う?怪傑ライオン丸の人形なんだ、子供のおみやげにネ。”ーレオン・トーマス そして、トドメはラストに登場する日本賛歌「Japan」。ここでは歌詞字幕も表示されるのですが、これがまた何とも凄い。やっぱりコレも書き出しておきましょう。「来世へと続いた、宝石をちりばめたような海にかこまれた国 そこでは、人々は平和に暮らし、子供達は楽しげに笑っている 陽、出ずる国 神の恵みをうけた、幸せな人々 パパさん、ママさん達が愛をこめて、みんなを見守っている 空から宝石がふりそそぐような、その美しさに誰もが驚く 雪を頂いた山が高くそびえている 日本に一度は行ってみよう」パパさんママさん……文字起こしだけでもなかなかの破壊力ですが、本作ではヨーデル混じりに熱唱するレオンの顔面ドアップと共に表示される。ノイズレスで美しい画面だからこそ、そのパンチ力まで強力で鮮やかなのです。これが伝説の光景、これが1973年の日本なのです。2CDは、当時の日本武道館にたゆたっていた大気を鮮明に甦らせてくれますが、本作は日本の洋楽文化そのものを甦らせてくれる。別の意味で49年前をリアル体験させてくれるヒストリカル。メンバー・コメント字幕・「レオンは、日本へ来る3週間前に加わったばかり。彼との共演は僕の夢だった。」ーカルロス・サンタナ・「サンタナというグループは2ついる。今はもう昔のラテン・ロックのサンタナとはまるで違う、新しいサンタナだ」ーアマンド・ベラザ・「ドラッグにもセックスにも空しさを感じていた時、導師スリ・チンモイに出会った。それから人生観が変わった。」ーカルロス・サンタナ・「今回の選曲は、全ての日本公演用に全員でアレンジしたもの。古いナンバーも入れたけれど演奏は新しいサンタナ・サウンドだ。観客は多少面喰らっていたようだけど、しかし反応は素晴らしかった。」ーカルロス・サンタナ・“日本はコンサートの入場料が高いって聞いたんで、フリー・コンサートにしようって案もあったんだ。”ーマイク・シュリーブ Live at Budokan, Tokyo, Japan 6th & 7th July 1973 PRO-SHOT★最良のビデオ・マスター(72:43) 1. Going Home 2. A-1 Funk 3. Stone Flower 4. Waiting 5. Castillos De Arena Part 1 (Sand Castle) 6. Castillos De Arena Part 1 (Sand Castle)(Cont.) 7. Black Magic Woman/Gypsy Queen 8. Oye Como Va 9. Incident At Neshabur 10. Mantra 11. Kyoto (Drum Solo) 12. Free Angela ★テロップは"Samba De Sausarito"表示だがテロップ・ミス 13. Samba De Sausalito 14. Japan PRO-SHOT NTSC Approx. 73min.