大好評プロショット『COACHELLA 2022 WEEKEND 2』で現代エンターテインメントの最先端を見せつけたビリー・アイリッシュ。そんな彼女の最新映像にして、「静」の魅力で酔わせてくれる傑作が登場です。そんな本作が撮影されたのは「2022年6月1日ボン公演」。そのマルチカメラ・プロショットです。現在の彼女は“HAPPIER THAN EVER, The World Tour”で世界中を巡っており、先日はその模様を伝えるプロショット作品『COACHELLA 2022 WEEKEND 2』が大評判となりました。しかし、本作はその続篇ではない。雰囲気も内容もまったく異なる特別公演なのです。その意味をご説明するためにも、まずは現在までに公表されているスケジュールをおさらいしておきましょう。・2月3日ー22日:北米#1(13公演)・3月8日ー4月9日:北米#2(20公演)・4月16日+23日:コーチェラフェス(2公演)←※COACHELLA 2022・6月1日:ボン公演 ←★本作★・6月3日ー7月2日:欧州(20公演)・9月8日ー30日:オセアニア(15公演)これが現在までに公表されている2022年のスケジュール。先日大ヒットした『COACHELLA 2022 WEEKEND 2』は「北米」レッグの最後に配されたコーチェラ・フェスの模様でしたが、その後1ヶ月あまりのオフを挟んでツアーはヨーロッパへ。本作のボン公演はその「欧州」レッグの初日……ではなく、その直前に行われたアコースティック・ショウなのです。このショウはドイツのテレコム社の主催で開催されたもので、通常コンサートとはまったくの別物。ステージにはビリーと実兄フィニアス・オコネルの2人だけが登場し、極めてシンプルなアコースティックの調べに乗せて切々と歌っていく。その模様は“Telekom Electronic Beats”でも生配信。本作は、そのベスト・マスターからDVD化したものです。最新の配信映像ですから当然のように完全オフィシャル級のマルチカメラ・プロショットなのですが、その作りは普段のショウは全然違う。手元や表情アップもありつつ、思いっきり引いたアングルも多用。カメラ台数は多いものの、割りとシンプルな印象のプロショットでもあるのです。こう書くとショボい映像のように思われるかも知れませんが、そうではなく、これは演出。2人の背後は一面のスクリーンとなっており、そこには巨大で幻想的な風景画が映し出される。その光景は、まるで油絵の中で2人が歌っているかのよう。しかも、その風景画は曲に合わせて朝になったり、夕暮れになったり。この世の物とは思えぬ異次元の風情を描き出している。シンプルな演奏に合わせたシンプルな光景でありつつ、さり気なく凝りっ凝り。極めて美意識の高い映像美なのです。そして、そんなアートなプロショットで描かれるのは、しっとりと装いを変えた名曲たち。ここでその内容も整理しておきましょう。ハピアー・ザン・エヴァー(5曲)・Billie Bossa Nova/Getting Older/Your Power/Male Fantasy/Happier Than Ever その他(7曲)・ドント・スマイル・アット・ミー:hostage/idontwannabeyouanymore/ocean eyes・ホエン・ウィ・オール・フォール・アスリープ、ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?:when the party's over/i love you/bad guy・シングル:everything i wanted ……と、このようになっています。ビリーはこれまでも折に触れてアコースティック・ショウを行ってきましたが、今回は最新作『HAPPIER THAN EVER』のレパートリーが主軸。しっかりと2022年のムードを醸してくれます。また、本作はアコースティック・ショウならではの会場ムードも必見。客席はくらいので見た目では判断できませんが、ほぼ確実に女性客だらけ。彼女の歌声に導かれる唱和は洋楽ブーム時代の日本のようにカン高く、一挙手一投足に黄色い悲鳴が飛びまくる。特に凄いのはビリーが客席に降りて行って歌う「Getting Older」。そこではヴォーカルマイクが拾っているのか、歌を掻き消すほどの悲鳴が轟き、ビリーも笑いながら「しーっ」と優しく諭すのです。そう、この優しい交感がたまらない。1曲終わる毎にフランクに話しかけ、笑いながらアットホームなムードいっぱい。客席では半泣きの女の子たちに笑いかけるように透き通った歌声を捧げ、優しくハグする。アコースティック・ライヴは音楽だけでも親密感があるものですが、実際に肌で触れあうゼロ距離感がじんわりと心を温かくしてくれるのです。『COACHELLA 2022 WEEKEND 2』では最新技術を駆使したエンターテインメントの最先端で圧倒してくれましたが、本作は真逆。極めて素朴な調べと生声による「静」の魅力に充ち満ちているのです。さり気ない最先端技術も見せつけるのではなく、さり気ない「静」の世界を演出し、ビリーの音楽と本人の人柄で観客を魅了していくのです。なるほど、なぜビリーは時代の寵児になったのか、どうして彼女がこれほど愛されるのか。その理由を優しく、鮮やかな映像美で見せつけてくれる1枚です。本作自体がしっとりとした音楽映像の大傑作ですが、できるなら『COACHELLA 2022 WEEKEND 2』と併せてご体験いただきたい。派手で豪華で圧倒的なフルショウと、素朴な美しさを極めた本作……振れ幅が大きく対照的でありつつ、どちらも間違いなくビリー・アイリッシュの世界。その幅広さに彼女自身の魅力が浮かび上がる2連作。「2022年6月1日ボン公演」のマルチカメラ・プロショット。通常コンサートとは異なるアコースティックの特別公演で、実兄フィニアス・オコネルと2人だけのステージは極めてシンプル。ただし簡素なのではなく、背景には巨大な風景画が映し出され、まるでさまざまな油絵の中で歌っているような幻想感を演出している。女の子だらけの客席で実際に触れあいながら優しく歌いかけるショウはハートフルで、彼女の人柄自体に胸が熱くなる。そんな特別公演を完全オフィシャル級クオリティで楽しめる感動作です。 Telekom Forum, Bonn, Germany 1st June 2022 PRO-SHOT 1. Intro 2. everything i wanted 3. Billie Bossa Nova 4. hostage 5. idontwannabeyouanymore 6. when the party's over 7. Getting Older 8. i love you 9. Your Power 10. Male Fantasy 11. ocean eyes 12. bad guy 13. Happier Than Ever PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.54min.