昨年14年ぶりとなるセカンド・アルバム「RAISE THE ROOF」をリリースしたロバート・プラント&アリソン・クラウス。このアルバムのリリース時、2022年にはライブを行うと明言していた通り、夏のフェス回りを敢行。こうした中でグラストンベリーにも降臨してくれました。今回のアルバムはT・ボーン・バーネットのプロデュースによるブルースやカントリーのテイストが強いサウンドとなっていて、彼とのつながりがあるボブ・ディラン近年のライブ・ステージと相通じるサウンドと言えば想像してもらえるでしょうか。要は今で言うところの「アメリカーナ」と呼ばれるようなサウンドであり、14年前のトラディショナル感のあるサウンドに馴染めなかった人でも今回はすんなり聞き込めるかと思われます。当然セットリストはニューアルバムからのナンバーが中心となるのですが、その間に前作からのR&Bカバー「Fortune Teller」を交えた構成が絶妙。それでいて従来のトラディショナル感などはZEPクラシック「The Battle Of Evermore」で表現するという構成がライブアクトとして完璧と言ってよく、その点でも前回(2007年)よりとっつきやすいのではないでしょうか。もちろん画質も音質も完璧なのですが、見ていて驚かされるのは14年ぶりのデュオ復活とは思えないほど息の合った二人のステージング。プラントもクラウスも本当に楽しそうに歌っていて、ここでもコロナ禍の中でステージに戻れた喜びがひしひしと伝わってきます。何が微笑ましいって、ギタリストがソロを弾き始めると二人が寄り添って彼のプレイを見守る姿。それに合わせて踊ったり弾いたりするのではなく、二人してギターソロを見入っているから面白い。それにクラウスは50代に差しかかりましたが、まるで老いのない、それどころか美魔女ぶりに磨きがかかった中、実に楽しそうに演奏している様子も最高画質にて捉えてくれています。そして今年のステージにおける最大の驚きと言えばZEPクラシック「Rock And Roll」のロカビリー・バージョン。これが凄くイイ感じにアレンジされていて、なるほどこれなら73歳のプラントでも無理なく歌えるであろうバージョンに生まれ変わっています。それでいてフェスのような会場で盛り上がる選曲であることも事実で、例えば8年前のサマソニ来日で彼が聞かせたZEPナンバーの解釈にピンとこなかった人でもこれならスッとなじめるはず。クラウスとの共演だけでなく、近年のプラントのステージは淡々とした曲調に陥るきらいがありましたが、今回はロカビリーやカントリーのサウンドが強まり、なおかつ新鮮なアレンジの「Rock And Roll」などが加わって親しみやすくなったこと請け合いの最新ステージを完璧なクオリティで!これは楽しめます。Worthy Farm, Pilton, England 24th June 2022 PRO-SHOT (61:58) 1. Rich Woman 2. Quattro (World Drifts In) 3. Fortune Teller 4. The Price Of Love 5. Rock And Roll 6. Please Read The Letter 7. Trouble With My Lover 8. High And Lonesome 9. It Don't Bother Me 10. Gone Gone Gone 11. The Battle Of Evermore 12. When The Levee Breaks PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.62min.