5月22日のサンディエゴ公演は古くからプロショット映像が流出しており、むしろそちらの方がマニアの間ではおなじみだったのではないでしょうか。とはいえ相当にダビングが重ねられた上での流出したものと思われ、その画質は最悪レベル(笑)。画面が歪んでおり「Breathe On Me」などは演奏の途中から収録されてエンディングはカットといった有様。またプロショットとは言えどビデオ・カメラ二台によって撮影されたもので、メンバーの表情に迫るクローズアップもほとんどありません。例えば5月5日のラーゴのような会場のスクリーン用に撮影されたプロショットでもなく、それでいて終始タイムカウンターが入っていることなどから推測するに映像リリースを踏まえたものではなく、あくまで記録として撮影されたものだと思われます。とにかく荒くれクオリティな映像という点で完全にマニア向けではありますが、それでも「Breathe On Me」からして驚くようなハプニングが捉えられています。同曲の演奏中にフラッシュを焚いて撮影する人物を見つけたロニーが歌いながら激しい調子で注意、さらにはステージの前にまで出て抗議するまでにエスカレート。果てはキースが弾くのを止めてハンプトンの予告編とばかりに(笑)テレキャスターを振り上げてみせたのですが、ここでは彼よりもロニーの怒りの方がはるかに大きく、むしろステージでこれほどまでに怒りを露わにするロニーの姿を捉えた映像というのはそうそうないのでは。これぞ映像ならではの緊迫した場面なのですが、ミラード音源の方で続きを聞けば演奏を終えたロニーは一転して和やかに「みんな最高だよ」と観客をほめたたえているので、そのフラッシュを焚いた人物はマスコミ関係者だったのかもしれません。何よりこの場面だけでも映像と音源それぞれが補うという関係になっているのです。またこの日は当時ソロ・アルバムがヒット連発していた元フリートウッド・マックのボブ・ウェルチが数曲飛び入りしたとの記述がマニアのサイトなどで見られますが、この映像からは見当たらず。そこもミラード音源から推測するに「Worried Life Blues」辺りで彼が登場した可能性が考えられます。何しろ画質が劣悪ですので、プロショット映像ながら今やYouTube上でも「Am I Grooving You」におけるスタンリー・クラークのベースソロくらいしか見られなくなってしまったのが現状。それでもなお今回のミラード音源では伺い知れないステージ上の様子を垣間見させてくれるという点で貴重な映像であることも間違いなく、なおかつ「昔のビデオ屋さんではこの程度の画質の映像をありがたく買っていたものだな…」といった懐かしさも(笑)感じさせてくれることでしょう。Live at Sports Arena, San Diego, California, USA 22nd May 1979 PRO-SHOT 1. Breathe On Me 2. Love In Vain 3. Band Introduction 4. Am I Grooving You 5. Seven Days 6. Before They Make Me Run 7. Jumping Jack Flash PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.46min.