今年のエルヴィス・コステロは自身が学生時代に組んだデュオ、ラスティを再結成させただけでなく、何とミニ・アルバム「THE RESURRECTION OF RUST」までリリースして世界中をアッと言わせたところですが、ライブに関しては従来どおりインポスターズを従えたツアーを行い、そこでゲストとしてラスティの相棒であるアラン・メイズをゲストでステージに呼ぶ程度にとどまっていました。ところが10月に入るとコステロはサンフランシスコで行われたカントリーのフェスに出演。そこでラスティを大々的にフィーチャーしたステージを初めて実現させてくれたのです。そもそもカントリーのフェス出演ということからバックにはいつものインポスターズではなく、今回のイベント用に結成されたThe Great All American Beautiesという名前のバンドを従えてステージに現れました。とはいってもメンバーはギターのラリー・キャンベルやオルガンのオスティン・デローンといったコステロとの付き合いも長い職人ミュージシャンばかり。要はカントリー・イベントへの出演の為にインポスターズ以外のミュージシャンの助けをコステロが求めたのでしょう。オープニングこそコステロ・クラシックである「Red Shoes」のエレキ弾き語りで幕を開けますが、以降はグレイトフル・デッドやジェリー・ガルシアのソロといった、いかにもアメリカ人の喜びそうなカバー曲の演奏が占めています。実質的にデッド・カバー大会と化したライブ前半はゆったりとした雰囲気で演奏が進み、なおかつまだリリースされていないコステロ自身の新曲「Like Licorice On Your Tongue」を披露するというユニークな構成。そんな新曲もこうした雰囲気の中で披露された曲だけのことはあり、ゆったりとしたテンポで、なおかつコステロらしい味わいに溢れている。例えばデッド・カバー「Ramble On Rose」ではキャンベルの職人ギター・ソロが炸裂する様子を見事なアングルで捉えてくれているのがお見事。そしてライブ後半はメイズが登場して事実上のラスティによるステージ。EPにも収められていたニール・ヤングのカバーからスタートしますが、今回の再結成&リリースによって突如として脚光を浴びることとなったメイズは本当に嬉しそう(言うまでもなく彼は一般人です)。何よりコステロ自身がこの再会を心から楽しんでいる様子もしっかり捉えられており、「Alison」でも途中でメイズにリードボーカルを譲って花を持たせるほど。それに何と言っても画質も音質も完璧なプロショット映像にてインポスターズとはまったく違うサウンドの最新コステロ・ショウを見られるのは格別。先のようなカバー曲が中心、なおかつ腕利きミュージシャンと共にコステロの学生時代のバンド再結成まで見られるという見どころ満載の最新ライブ映像。しかしながらYouTube上では削除されて見られなくなってしまいましたので、是非とも本タイトルでこのゴキゲンな最新ステージをお楽しみください!Live at Golden Gate Park, San Francisco, CA, USA 1st October 2022 PRO-SHOT (71:05) 1. (The Angels Wanna Wear My) Red Shoes 2. Black Licorice 3. Brown Eyed Women (Grateful Dead cover) 4. Loser (Jerry Garcia cover) 5. Wharf Rat (Grateful Dead cover) 6. Ramble On Rose (Grateful Dead cover) 7. Blood & Hot Sauce 8. Sugaree (Jerry Garcia cover) 9. Everybody Knows This Is Nowhere (Neil Young cover with Allan Mayes) 10. Dance Dance Dance (Neil Young cover) 11. Alison (Smokey Robinson & The Miracles "Tracks of My Tears" snippet with Allan Mayes) 12. I'm Ahead If I Can Quit While I'm Behind (Jim Ford cover with Allan Mayes) 13. Surrender to the Rhythm (Brinsley Schwarz cover) 14. (What's So Funny 'Bout) Peace, Love and Understanding (Brinsley Schwarz cover) Elvis Costello - vocals, guitar Austin de Lone - keyboards, accordion Larry Campbell - guitar, fiddle, vocals Teresa Williams - vocals Ruth Davies - bass Paul Revelli - drums Allan Mayes - vocals, guitar PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.71min.