本作に収められているのは全13種に及ぶTV放送。ワイドショーやニュース番組などで扱われたマドンナ初来日コーナーを集成したプロショット集です。13種とは言っても1つひとつは数十秒から数分のミニ・コーナーであり、短いからこそマドンナの要素を濃縮して紹介するので超濃厚。当時の日本にとってマドンナがどんな存在だったのか、その初来日がいかに巨大な衝撃だったのかを生々しく活写しているのです。また、13種の映像もざっくり3つに大別できる。それぞれご紹介していきましょう。6月11日:大阪空港溶着(5種) まず登場するのは、大物外タレ来日の風物詩。空港の到着シーン。当日の大阪空港には300人の報道陣やガードマン160人の他、2000人のファンも終結。凄まじい騒ぎとなりました。ここでは懐かしの番組「テレポート6」を筆頭にした5種のワイドショーのミニ特集を収録しています。マドンナ到着と共に走り出してすっ転んだり、マドンナの動線・予定を完全に把握している洋楽女子も登場する。そんな映像に被せられるキャスター達のコメントもスゴい時代感。「大変なフィーバーぶり」「そんなに人気者なんですか?」「おへそ丸出しギンギンの衣装」などなど。「4年前にデビューしたばかりの26歳」と紹介したりもするのですが、本当は「28歳」。微妙なサバ読みまでもが懐かしの文化です。6月14日:大阪公演初日(5種)続いてのセクションは、2CDが記録された初日「6月14日:大阪スタヂアム」公演のレポート。影響中以上の様子や(細切れながら)当日の貴重なプロショットが観られるのですが、驚きなのは現場の局スタッフが撮影したと思しきオーディエンス・ショットまで登場する。手ブレしまくりでマドンナの下半身をズームするアホなアングルも含め、撮影してTV放送できてしまった時代の大らかさが衝撃です。さらに大らかなのが「怪我人1人が出たほかは大きな混乱はありませんでした」なるナレーション。ケガ人を出しておいて、まるで「そんなの大したことない:と言わんばかりのノリ。生々しい救急車の搬送シーンも出てくるのですが……。極めつけなのが場外のダフ屋。警備員を前に「おまわりちゃうんか?」と言ってしまったり、テロップ付きで「1枚最低でも3万円台や。どないや、はっきりしてや」と交渉していたり(顔にボカシも入れていません)。そんなシーンを全国ネットのニュース番組で流してしまうとは。35年という時間の大きさを実感します。それ以降:東京へ(3種)最後は「大阪から東京への移動」をテーマにした2種と海外放送1種。一番の見どころは、オフの喧騒と皇居でのジョギングを特集した番組でしょうか。大阪公演と東京公演の合間には京都観光もしたそうですが、移動に使っていたロールスロイスの爆走が衝撃的。群衆から逃れるためなのは分かりますが、街頭にはファンが詰まっているのにそのド真ん中を60キロくらいで駆け抜ける。もしファンが押し出されようものなら避けられる速度ではなく、確実にひき殺していたに違いない……そしてトドメが「激撮!! マドンナIN東京」。皇居周辺でジョギングするマドンナをアポなしで追いかけて撮影しているのですが、完全にそれだけ。伴走するコーチがカメラを拒否してもメゲずに追って追って追いまくり、マドンナ本人から「バカ!」「Fuck you ass hole!!」と罵られても追い続ける。カメラはブレブレ、「はぁはぁ」という息切れも隠す気ゼロ。しまいには「追いつかねぇよ」と愚痴ってタクシーを捕まえ、「まっすぐ行ってください。黒いの……着てるの……いますから」とドライバーに頼んでいる。スタッフによる「こんな事までして撮っちゃった!」を無邪気に放送しているわけですが、やってることは完全に迷惑系ユーチューバーです。まさに現象。1987年の一大事件だったマドンナ初来日の薫りが画面から吹き出す映像集です。2CDはコンサート会場のドキュメントでしたが、本作は日本全体のドキュメント。35年前の洋楽全盛時代を見事に甦らせてくれる! MADONNA - JAPANESE TV REPORTS: OSAKA 1987(16:32) 1. Arrival At Osaka Airport 11th June 1987 2. Live At Osaka Stadium 14th June 1987 3. Kyoto To Tokyo 16th June 1987 4. Osaka Arrival And Jogging In Tokyo 5. CNN Showbiz Today Report PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.17min.