『PRIVATE DANCER』の大ヒットによって世紀のカムバックを果たした1985年のティナ・ターナー。そんな最中に実現したソロ初来日の名作映像がリリース決定です。そんな本作が撮影されたのは「1985年12月28日:日本武道館」公演。そのマルチカメラ・プロショットです。1985年のティナと言えば映画『マッドマックス/サンダードーム』も大ヒットとなり、USA FOR AFRICAやLIVE AIDにも参加。1シンガーと言うより、音楽シーンそのものを代表する存在となっていました。ワールド・ツアーもキャリア最大となり、その模様はオフィシャル映像作『PRIVATE DANCER TOUR』としても残されました(BIRMINGHAM 1985としてお楽しみ頂けます)。そんな中にあって来日公演はどんなポジションだったのか。まずは、絶頂時代をスケジュールで俯瞰してみましょう。《1月28日『We Are The World』参加》・2月19日ー5月9日:欧州(62公演)←※公式映像《7月10日:OST『MAD MAX BEYOND THUNDERDOME』発売》・7月8日ー11日:セントジョンズ(4公演)・7月13日:LIVE AID出演・7月14日ー12月7日:北米(103公演)《10月21日:ブライアン・アダムス『It's Only Love』発売》・12月10日ー24日:豪州(10公演)・12月27日+28日:日本(2公演)←★ココ★ これが1985年のティナ・ターナー。『PRIVATE DANCER』自体は1984年内に発売されましたが、ワールド・ツアーは1985年になってからスタート。ソロ初来日はその最後の最後となる師走にようやく実現しました。本作の日本武道館公演は、その最終日。つまり、ティナの人生最大だった“PRIVATE DANCER Tour”の全世界千秋楽だったわけです。そんな歴史的ステージは、テレビでも放送。ソロ初来日を象徴する映像となりました。本作は、映像マニアが公開したエアチェック・マスター。再生するとジェネを食らって歪んだ画面に「まあ、80年代のエアチェックはこんなもんだよな」となるのですが、驚くのは開始から約1分経った頃。突然、画質がハネ上がるように改善され、まるで公式レーザーディスクのように鮮明で美しくなる(「Proud Mary」で数秒画面が乱れます)。どうやらマニア所蔵のマスターは録画が遅れたのか、あるいはテープが破損したのか、冒頭部が使えなかった。そこで他テープで補完したようです。ともあれ、放送自体は約42分ですから冒頭1分など一瞬にすぎない。番組の大部分は極上クオリティで楽しめるのです。そして、その映像美で画かれるのは洋楽ムードも滲み出す日本放送。前述のように、約42分の放送枠に沿って編集された内容はフルショウとはほど遠いわけですが、その短い中には公式映像『PRIVATE DANCER TOUR』では見られなかったレパートリーも披露されている。ここで、比較しながら整理しておきましょう。プライヴェート・ダンサー(5曲)・Show Some Respect/Better Be Good To Me/Private Dancer/What's Love Got To Do With It/Let's Stay Together その他(3曲)・One Of The Living(★)/Proud Mary(★)/Dancing In The Dark(★)※注:「★」印は公式映像『PRIVATE DANCER TOUR』で観られなかった曲。……と、このようになっています。大ヒット中の『PRIVATE DANCER』からシングル・ヒットを抜き出して濃縮し、さらに他の代表曲を散りばめている。上記のスケジュールをご覧の通り、映画『マッドマックス/サンダードーム』のサントラが出たのはツアーの途中であり、そこでセットが変更。日本公演はツアー最終盤だったために「One Of The Living」も披露されています。また、ラストの『Dancing In The Dark」では「ブルースが書いた曲」と紹介しますが、これはもちろんはスプリングスティーンのこと。彼はティナのために曲を書くと約束したそうですが、出来るまではカバーを歌うと紹介しています(結局、新曲の提供はなかったようです)。『Dancing In The Dark」もオフィシャル作品化される事はなく、本作こそが「公式代わり」となるのです。そんなステージをさらに彩っているのが日本放送ならではの字幕テロップ。洋楽初心者も大量流入していた絶頂時代を反映してか、この放送では全曲の歌詞に日本語の対訳が表示される。あまり客席は映りませんが、画面外から聞こえてくる妙にビシッと揃った手拍子や黄色い歓声など、端々から滲み出す「1985年の日本」ムードも感慨深いのです。ソロとして再びシーンの象徴にまで登り詰めたティナ・ターナー。その日本公演にして、ワールド・ツアー千秋楽でもあった日本武道館の夜を目撃できるプロショットです。彼女と日本の想い出が詰まった1枚。ソロ初来日の象徴映像がリリース。当時TV放送されたマルチカメラ・プロショットで、歌詞にも日本語対訳が付いた日本放送。冒頭1分ほど別マスターで補完されていますが、メイン・マスターは公式級の極上品です。Budokan, Tokyo, Japan 28th December 1985 PRO-SHOT 1. Show Some Respect 2. Better Be Good To Me 3. Private Dancer ★略歴字幕 4. One Of The Living 5. What's Love Got To Do With It ★MC字幕 「みんな!愛の魔力と言うことば 今夜みんなで言いましょうか What's Love Got To Do With It好きなように大きな声で自由に言ってみましょう いい!行くわよ!」6. Let's Stay Together 7. Proud Mary ★MC字幕「ずいぶん永い間これを歌ってるけど なのに歌えば歌うほど気分がいいの」「よく人にいつになったら落ち着くのかって聞かれる なんて答えると思う? 今スタートしたばかりよ!8. Dancing In The Dark ★MC字幕「一緒に仕事したい人がいたけど…その彼が結婚してしまって でも彼が曲を書いてくれると約束してくれました たのしみです それまでは彼の別の曲を歌います その彼の名前は…ブルース!」PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.42min.