本作が撮影されたのは2CDと同じ「1994年6月22日ネイメーヘン公演」。そのマルチカメラ・プロショットをベスト・マスターからDVD化した1枚です。その映像美はまさにベスト。さすがに30年前のエアチェック・マスターだけに現代視点で「完全オフィシャル級!」と喧伝する事はできませんが、マスター鮮度は絶大。ダビング痕や経年劣化がまるで見られず、艶やかで美しい画面が滑らかに描かれる。これで発色がもう少し鮮やかなら現代基準でも美麗なのですが、だからと言ってハイライトを上げてしまっては台無し。むしろ、ややヴィンテージなくらいのナチュラル感を味わいたいところです。そんな映像美で描かれるのは、正真正銘2CDの“向こう側”に広がっている光景。“GET A GRIP Tour”のプロショットと言えば、お馴染みの『RIO DE JANEIRO 1994』が定番ですので、ここで比較しながらセットを整理しておきましょう。ゲット・ア・グリップ(5曲)・Amazing/Cryin'/Get A Grip(★*)/Crazy(★)/Livin' On The Edge その他(7曲)・GEFFEN時代:Dude (Looks Like A Lady)/Janie's Got A Gun/Love In An Elevator・70年代クラシックス:Walk This Way/Mama Kin/Sweet Emotion/Dream On ※注:「★」印は定番プロショット『RIO DE JANEIRO 1994』で観られなかった曲。「*」印はこのツアーだけの限定曲。……と、このようになっています。放送枠に沿って編集された内容はCDよりも短いのですが、それでも約70分の見応えがあり、2CDでもポイントだった「Get A Grip」や「Crazy」もしっかりと楽しめる。そして、2CDとだいぶイメージが異なるのは曲順。実は1曲単位でかなり大幅に入れ替えられているのです。もちろん、正しいのは2CDの方。“Veronica's Mega Music Rock Experience”は野外フェスだったのですが、本作では夜になったり昼間に戻ったり。正直なところ、放送局の意図を図りかねる不思議な番組構成だったりします。それにしても、当時46歳だったスティーヴン・タイラーのなんと素晴らしい事か。シンガーとして脂の乗った歌声は芳醇で、シャウトですらエモーショナル。アクションにしてもキビキビとキレが良く、雲海のように広がる大群衆を自在に指揮していく。『GET A GRIP』は商業的にキャリアの絶頂でもあったわけですが、それを成し遂げるだけのポテンシャルも確かに秘めていたのです。本作は、その証拠映像Goffertpark, Nijmegen, Netherlands 22nd June 1994 PRO-SHOT 1. Interview 2. Amazing 3. Cryin' 4. Dude (Looks Like A Lady) 5. Walk This Way 6. Get A Grip 7. Mama Kin 8. Crazy 9. Janie's Got A Gun 10. Love In An Elevator 11. Sweet Emotion 12. Dream On 13. Livin' On The Edge PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.71min.