ツアー本番を追うようにして佳境へ突入してきたマルチカメラ映像シリーズ。その最新弾が2種同時リリース決定です。本作は2連作の前編。「2024年7月5日バンクーバー公演」のマルチカメラ・オーディエンスです。「バンクーバーはもうマルチカメラ出てたよな?」という方もいらっしゃると思いますが、本作は以前リリースされた『VANCOUVER 2024: MULTICAM(以後、前作)』とはまったくの別モノ。マルチカメラ編集だけに一部素材の被りはあるものの、無関係の別人が異なる編集で仕上げた別作品なのです。その気になるクオリティの前に、まずはショウのポジション。同時リリースの『LOS ANGELES 2024 2ND NIGHT: MULTICAM』とも併せ、「マルチカメラ編集系」に絞り込んでコレクションを整理しておきましょう。「マルチカメラ編集系」の映像コレクション*4月28日『HOUSTON 2024: MULTICAM』・5月2日+7日(2公演)*5月11日『LAS VEGAS 2024: MULTICAM』*5月15日『SEATTLE 2024: MULTICAM』*5月23日『NEW JERSEY 2024 1ST NIGHT: MULTICAM』・5月26日:イーストラザフォード公演*5月30日『FOXBOROUGH 2024: MULTICAM』*6月3日『ORLANDO 2024: MULTICAM』*6月7日『ATLANTA 2024: MULTICAM』*6月11日『PHILADELPHIA 2024: MULTICAM』*6月15日『CLEVELAND 2024: MULTICAM』*6月20日『DENVER 2024: MULTICAM』*6月27日『CHICAGO 2024 1ST NIGHT: MULTICAM』*6月30日『CHICAGO 2024 2ND NIGHT: MULTICAM』*7月5日『VANCOUVER 2024: MULTICAM』&★本作★*7月10日『LOS ANGELES 2024 1ST NIGHT: MULTICAM』*7月13日『LOS ANGELES 2024 2ND NIGHT: MULTICAM』・7月17日+21日(2公演)以上の15公演・17作品。バンクーバーは速報リリース時点からマルチカメラ映像だったわけですが、その後に別人制作の別バージョンも登場したわけです。そんなバンクーバー2本目となる本作は、制作に時間が掛けられただけはある傑作。実のところ、前作も速報リリースとは思えない完成度でして、今見返してみても素晴らしくパッと観たところでは優劣がないようにも感じるのですが、よくよく比較するとやはり本作に軍配が上がる。まずは、素材数。別に前作を土台にしているわけでもないので根本的に組み方が違うのですが、前作リリース後に公開されたであろう映像が増えており、それらをふんだんに用いたスイッチングが豪華。例えば、前作では「ロンのズーム+ミックのズーム」で組み上げられていたロンのソロが、本作では「ロンのズーム×3種」だったりする。もちろん、曲によっては前作の方が多彩なシーンもありますが、全体的には本作の方がカラフルなのです。それ以上に大きいのがサウンド。前作とは別録音が採用されており、これが非常にクリア。前作も名録音ではあったものの、本作と比べるとやや鳴りがくぐもっていた。その点、本作は芯の太さは同等でありながら輪郭までキリッとシャープ。そのせいもあってかダイレクト感までグイッと引き上げられたように感じられるのです。そんな「2つめの傑作」で楽しめるのは、ツアー終盤に突入してさらにギアを一段上げたようなフルショウ。セットはすでにご紹介済みですが、現在は全公演の選曲が分かっており「固定曲」「日替わり曲」も判明。改めて整理し直しておきましょう。固定曲(11曲)・序盤:Start Me Up/Angry ・中盤以降:Tumbling Dice/You Can't Always Get What You Want/Little T&A(*)/Sympathy for the Devil/Honky Tonk Women/Gimme Shelter/Paint it Black/Jumpin' Jack Flash/Satisfaction●日替わり曲(9曲)・準定番:Mess It Up/Tell Me Straight(*)/Midnight Rambler/Sweet Sounds Of Heaven・その他:Let's Spend The Night Together/Bitch/Street Fighting Man(★)/Wild Horses/Before They Make Me Run(*)※注:「★」印はこの日がツアー初登場の曲。「*」印はキース・コーナー。……と、このようになっています。バンクーバーのセットはひと言で言うと標準的。本稿では勝手に「準定番=演奏率50%以上(全20公演で10回以上)」というカテゴライズを設けておりますが、これも4曲と平均的(全公演をならすと1公演につき4.2曲)で、多からず少なからず。そんな中で気を吐いているのが「Street Fighting Man」。この日がツアー初登場であり、その後も最終リッジデール公演でしか演奏されなかったレパートリーなのです。さらに言えば、そんなセットを綴るパフォ-マンスも絶好調。“HACKNEY DIAMONDS Tour”は尻上がりに調子を上げっぱなしで駆け抜けた衝撃ツアーだったわけですが、本作のバンクーバー公演はその佳境に入ってきたところ。アンサンブルも快調で「HACKNEY DIAMONDS Tourの標準的」がいかにハイレベルだったのかを思い知らされるショウでもあるのです。繰り返しになりますが、今観ても前作は素晴らしい。優劣は好みレベルなところもあるものの、本作はじっくりと観れば観るほど時間を掛けた練り込みに気づかされる。そんな深みを宿した「バージョン2」。“HACKNEY DIAMONDS Tour”のマルチカメラ編集映像がリリース。『VANCOUVER 2024 MULTICAM』とは別作品で、さらに多彩な素材も盛り込まれたニュー・バージョンです。 BC Place Stadium, Vancouver, BC, Canada 5th July 2024 AMAZING SHOT!!! 1. Intro 2. Start Me Up 3. Let's Spend The Night Together 4. Bitch 5. Angry 6. Street Fighting Man 7. Wild Horses 8. Mess It Up 9. Tumbling Dice 10. You Can't Always Get What You Want 11. Band Introductions 12. Tell Me Straight 13. Little T&A 14. Before They Make Me Run 15. Sympathy For The Devil 16. Honky Tonk Women 17. Midnight Rambler 18. Gimme Shelter 19. Paint It Black 20. Jumping Jack Flash 21. Sweet Sounds Of Heaven 22. Satisfaction COLOUR NTSC Approx.124min.