今振り返ってみると、1990年代後半は日本のZEPファンにとって本当に恵まれた時期でした。1996年(ちょうど二十年前!)にはペイジ・プラントが来日、95年から始まっていたツアーの中でもピークと呼べる演奏を披露。彼らの98年来日こそ実現しませんでしたが、99年になると今度はソロ・アルバム「ZOOMA」を発表したジョン・ポール・ジョーンズが来日公演を敢行してくれたのです。数年の間にZEPのメンバーが来日してライブを行ってくれたという、何とも贅沢な時期でした。来日公演という以前に、ペイジやプラントと比べて控えめな性格でソロでの音楽活動も多いとは言えなかったジョンジーが1999年になってソロ・アルバムをリリースしたということ自体、ファンに大きな驚きを与えてくれたものです。その勢いで彼の来日公演が実現したというインパクトは大きなもので、正にロックのレジェンドが日本を訪れたと言うに相応しいものでしょう。ただし同じZEPのメンバーとは言え、ペイジやプラントと比べれば一般的な知名度が高いとは言えないジョンジーです。彼らが武道館を使ったのに対し、ジョンジーはと言えば小会場で名古屋、大阪、東京でそれぞれ一回ずつというものでした。だからこそ、会場には本当に熱心なファンが集まった。それはZEPやジョンジーをこよなく愛すファンが集う、熱気あふれる雰囲気が漂っていたのです。例えばエリック・クラプトンのようなアーティストの場合ですと、ベスト盤だけ聴いてヒット曲を期待してコンサートに行ったものの、繰り広げられたブルースばかりのステージに戸惑いながらも「’Tears In Heaven’やらなかったけどクラプトンカッコよかったです!」的な声がSNSを飛び交ったりしてしまう。そうした輩こそアリーナの集客には重要な訳ですが、それはいわゆる「一般の音楽ファン」でしかない。しかしジョンジーのコンサートであれば、先に挙げたような熱心なファンが小さな会場を埋め尽くすという理想的な状況の中で行われます。逆に言えばZEPマニアばかりが駆け付けたと言ってもいいのが99年のジョンジー来日公演。都合三回の公演が行われたにもかかわらず、当時生み出されたアイテムは12月8日の大阪公演だけという状況でした。この辺りは一般的にZEPのフロント二人以外のメンバーの公演ということから、当時はリリースが敬遠されたであろうことが伺えてしまいます。またアルバム「ZOOMA」が完全インストゥルメンタルのアルバムであり、ライブもまた全編インストゥルメンタルだったことが敷居の高さに映ったであろうことは容易に推測できました。 こうした見過ごされたと言ってもいい状況の中、当店は12月7日の名古屋と12月10日の東京公演それぞれの音源を入手。どちらもネット上はおろか、トレーダー間にも一切出回っていなかったオーディエンス録音です。今回はこれらの公演のリリースが実現するのですが、それらを聴いて驚かされたのは、何といってもライブの内容の素晴らしさ。「ZOOMA」はジョンジーがクリムゾン系列のレーベルからリリースし、レコーディングにもメンバーが参加したというアルバム。当然ながらナインティーズ・クリムゾンのフレーバーが漂うサウンドとなっていたのですが、レコーディングの時とは違うミュージシャンを従えて繰り広げられたライブ・サウンドはやはりナインティーズらしいオルタナ感も漂う鋭角なロック・サウンドは未だに色褪せていない!そして今回リリースする二つの公演ですが、どちらもお世辞抜きに極上、かつ別格のクオリティに度肝を抜かれることでしょう。まずは名古屋公演。もうオープニングから凄まじい音像の迫力に圧倒されてしまうはず。やはりインストゥルメンタルのコンサートはボーカルとの兼ね合いを気にしなくてよいことから、会場の出音は演奏全体が押し出されます。ジェフ・ベックのライブなどはその最たる例でしょう。これぞ究極のオーディエンス録音という言葉がぴったりと当てはまる音質、しかもこの日が来日公演の初日ということから、ジョンジーの一挙一動に固唾を飲んで見守るかのような、ハコならではのアツい臨場感や空気感までも伝わってくる、あまりにもリアルな音質。そして今だからこそ再評価したい、ジョンジーとバンドによる見事なロック・サウンド。絶対に満足させてみせる一枚です。
Live at Club Quattro, Nagoya, Japan 7th December 1999 TRULY PERFECT/ULTIMATE SOUND(from Original Masters)
Disc 1(62:17)
1. Zooma 2. Goose 3. Grind 4. The Smile Of Your Shadow 5. Nosumi Blues 6. No Quarter 7. Spaghetti Junction 8. Steel Away incl. You Shook Me 9. Snake Eyes
Disc 2(56:49)
1. Acoustic Guitar Solo 2. Crack Back 3. Bass 'N' Drums incl. Heartbreaker & Dazed And Confused 4. B. Fingers 5. Jump Blues 6. When The Levee Breaks 7. Tidal 8. Trampled Underfoot 9. Black Dog
John Paul Jones - Bass, Mandolin Bass, Rap Steel, Acoustic Triple Neck Guitar, Keyboard Nick Beggs - Chapman Stick Terl Bryant - Drums





























