当店からのZEP1980年ツアーと言えば「BERLIN 1980 : THE LAST CONCERT」が記憶に新しいところかと思われます。80年ヨーロッパ・ツアー最終日となっただけでなく、結果としてレッド・ツェッペリン最後のライブ・コンサートになってしまった一日。そういった歴史的な重みがある一方でツアーを代表する名演かと言えば微妙なところ。もちろんラストの「Whole Lotta Love」におけるハイパーなパフォーマンスは「やはりZEPは凄かった」と思わせるに十分なものではありましたが、ツアー前半にあった活気がすっかり消え失せていたのは事実。そこを敢えて最終日のベルリンを最初にリリースしてみたところ、サウンドボード・パートのイコライズ感がない仕上がりがマニアに高く評価され、予想を上回る好評を博す結果となりました。この時代の1980年ツアー・サウンドボードはブートレグを通して一気に放出されすぎたきらいがあり、実は演奏内容が正当に評価されなかったように思います。むしろ枯れたZEPのライブ・サウンドがサウンドボード録音によって露わとなりすぎ、ただひたすら「末期の演奏」として片づけられてしまったように思えてなりません。あるいはサウンドボード録音のインパクトに酔いしれてしまい、演奏の全体像をつかむことを忘れてしまったのかもしれません。確かに77年までのようなギラギラしたサウンド、あるいはインプロビゼーションを自由に膨らませたZEPはもうないかもしれない。しかし80年代と言う時代の変化を彼らなりに感じ取り、コンパクトでタイトなサウンドへと路線変更し始めたのがネブワースと1980年ツアーでしょう。本来であればそれがさらに深化できたはず…。そこで今回はZEPが本来目指していたであろう意気込みや気迫が伝わってくる80年ツアー6月のレグからの音源を一挙に二タイトル・リリース、まずは6月20日のブリュッセル。6月のZEPはグループ再生の喜びや再びツアーを始めることができた喜びがあふれており、どの日もいきいきとした活力が伝わって来るもの。そんな中でもブリュッセルは「ツアー序盤の名演」と呼ぶにふさわしい。活気にあふれたパフォーマンスで一気に聴かせてくれるのです。この日は当店が以前「RAID OVER BRUSSELS」というタイトルでオーディエンス録音をリリースした実績がありますが、今回はサウンドボード録音。
元になったのはおなじみWinston Remasters。サウンドボードとオーディエンス録音それぞれがファースト・ジェネレーション・コピーのロージェネ音源を使い、ショーを完全収録させています。サウンドボード録音は一連の1980年ツアー音源の中においては第二世代リリースに属するもの。懐かしのコンドルCDが「PLATINUM」と「STRAITJACKET」と2パートに分かれて登場しました。それらがリリースされた当時はそれほど人気のある公演ではなかったように記憶しますが、これだけZEPのライブ音源が出揃った状況の中で、80年ツアー前半の活気というのが見直されるようになってきたのです。その筆頭に挙げられるのが今回のブリュッセル。1969年以来となるオープニングの「Train Kept A Rollin'」(これこそ初心に帰ろうとした証でしょう)は元々アップテンポな演奏ですが、そこから「Black Dog」にかけて、はっきりとした勢いや活気といった元が伝わってくる。やる気満々のZEPがそこにいる。ツアー序盤の手探りな時期を終え、再びZEPが世界を炎に包んでみせる…そんな気迫が伝わってくるのがサウンドボード録音のいいところ。おまけに「Black Dog」を始める前で登場する「ペイジの挨拶」コーナーで彼がいつになく饒舌なところからも、この日のZEPがはっきり「乗れてる」様子が感じられる。そうなのです、ブリュッセルが80年ツアーの中における快演となれたのには、この日のペイジの好調さが大きな要因だと思われます。もしかしたらいつもより汗をかく量が少なかったのかもしれませんが(笑)、80年特有の粗さの中にも勢いで弾き通してしまう、そんなペイジのプレイが輝きを放っています。この日はショー前半においてプラントの声の調子が今一つであり、もしかするとそれをカバーしようという気持ちが働いたのかもしれません。ペイジにとって毎晩の関門だと言っても過言ではなかった「Hot Dog」のイントロは80年ツアーのベストと呼びたくなる滑らかさに驚き。さすがにコペンハーゲンの域には及ばないものの、ここでも勢いで乗り切ってしまうペイジの様子が伺えます。この曲が最たる例なのですが、ネブワースと80年ツアーの大きな違いとしてはアルバム「IN THROUGH THE OUTDOOR」がリリースされて大ヒットを記録したという状況が挙げられるでしょう。だからこそ「All My Love」が始まると会場がそれまで以上に沸き上がる。最新のアルバムからの曲で会場を沸かせられるのは、現役バンドの特権。この曲でバンドが一丸となった演奏から「Trampled Underfoot」に「Since I’ve Been Loving You」という往年の曲におけるペイジの輝き。どちらでもいい感じに弾きまくってるではないですか。80年ツアーが7月に入ってからもこのレベルを維持できていられたら…そう思わずにはいられません。とにかくペイジが乗りに乗っているので「Achilles Last Stand」では遂に勢い余って曲の構成を間違えてしまいますが、他の三人がまったく揺るがずに演奏が進んでくれるのだから頼もしい。ペイジが「White Summer」を始めたものの、観客が静まらないことが気になったのか「ちょっと待って、静かにしてもらえるかな」と注意を促しているのも、この日がいい感じに弾けていたからこそ。こうして疑いなしに80年ヨーロッパからの名演であるブリュッセルのベスト・バージョンをWinston Remastersが作り上げてくれました。サウンドボード録音で欠損している「The Rain Song」のエンディングとアンコールの合間を同日のオーディエンス録音で緻密にアジャスト。別にこうした編集自体は目新しいものではないのですが、どちらの音源もイコライズ感のない状態なのがとてもいい。ペイジ以下、やる気満々のZEPがブリュッセルで魅せた輝きを最高の状態で封じ込めています。80年ツアーを聴くならまずはここから!
Live at Vorst Nationaal, Brussels, Belgium 20th June 1980
Disc 1 (73:44)
1. Intro 2. Train Kept a Rollin' 3. Nobody's Fault But Mine 4. Black Dog 5. In The Evening 6. Rain Song 7. Hot Dog 8. All My Love 9. Trampled Underfoot 10. Since I've Been Loving You 11. Achilles Last Stand
Disc 2 (50:28)
1. MC 2. White Summer / Black Mountainside 3. Kashmir 4. Stairway to Heaven





























