ニューアルバム『GRAVITAS』を引っさげて先週来日したばかりのエイジアですが、ハウの後任にサム・コールソンを擁した最新エイジアの姿を御覧になって未だ興奮冷めやらぬ方も多いのではないでしょうか。今週はその2014年GRAVITASツアーの初日となる6月11日、イギリスはマルヴァーンで行われた1st Showを、トレーダー間やネット上にも一切出回っていない高品質オリジナル録音で完全収録したタイトルが登場です!この録音者は、今年に入ってからも、スザンヌ・ヴェガの2014年高品質傑作録音盤『TALES FROM BARBICAN 』や、リリース後から大きな反響を戴き現在もロングセラーを続けるドリーム・シアター最新2014年ツアーの傑出盤『ALONG FOR THE RIDE IN WOLVERHAMPTON 』、そしてこちらもその優れた音像でスノーグース完全再現を収録したキャメル2014年の決定版『THE SNOW GOOSE IN CAMBRIDGE 』など、湿り気のある独特の質感豊かな音像で数々の優れた録音を続けるイギリス在住の現地テーパーによって録音された完全オリジナルの録音です。上記タイトルをひとつでも聴かれた事があるなら、その独特の質感を持つ収録音に心奪われた経験があると思いますが、今回はそんな彼独自のウエットな収録音でエイジアを、しかもGRAVITASツアーの記念すべき初日公演が丸ごと収録されているのですからたまりません! 当日のPAが関係しているのかショウ前半(Disc-1)はベースが大きめに出力されており、ここはウエットンのファンには嬉しい音像となっています。アコースティックパートからは透明度の際立つ音像となり、そして休憩を挟んでからの後半(Disc-2)は更にバランスの良い質感溢れる魅惑的なサウンドで初日の演奏が記録されていますので、演奏だけでなくサウンドの質感変化にも強く惹き込まれるタイトルと言えるでしょう。またこの初日は先週の東京公演では演奏しなかった「My Own Time (I'll Do What I Want)」も披露しており、ツアー初日特有のセットや雰囲気もお楽しみ戴けます! コージー・パウエルのソロでお馴染み「1812 Overture」のSEが終わると飛び出してくるのは「Sole Survivor」。低音域に図太い迫力を伴う音像の中を、エッジの効いた鋭い演奏が立ち上がる様子に思わず感嘆の声を上げてしまうでしょう! 明らかにハウ時代とは違うアプローチが序盤から際立ち、歌詞突入直前にはギターをチョーキングで泣かせるなど、パット・スロール在籍時のそれに近いハードな演奏が耳を駆け抜けてゆきます。サビ突入前にブレイクを入れ、手拍子を煽ってオーディエンスにいきなりコーラスを促すなど、初日特有の突拍子も無い事をやっているのもユニークです。「Wildest Dreams」は2012年のXXXツアーで散見されたテンポの悪さとメリハリの無さが大きく改善され、元通りのドライヴ感溢れる曲想に戻されているのも嬉しいところです。中間部ギターソロの後半ではピッキングハーモニクスを幾つか入れるなど、細かいアプローチが確認出来るのも興味深いところでしょう。「Face On The Bridge」も本来のテンポを取り戻し、ギター表現が若々しくなったことでサウンドがよりタフになっています。同時に心地良いグルーヴも増しており、ここもギターソロ部分の終わりではフレーズを速弾きしたり、コーダでチョーキングを入れるなど、サムによって刷新された"新しい解釈"が随所で耳を惹き付けてくれます。「Time Again」ではベースの動きが面白く、サムに触発されたのかウエットンも攻撃的なアプローチをしているシーンが散見されます。曲のアクセントの付け方やメリハリ感も際出ち、見通しの良いマッシヴな音像もこれを後押ししている様です。ニューアルバムからのリードトラック「Valkyrie」は当然ながらオーディエンスの前での初回演奏です。これはさすがにオリジナル演奏特有の力強さがありますが、しかし同時にまだ噛み砕かれていない初々しい表現も大きな魅力です。この雰囲気が味わえるのもここ暫くの間だけでしょうから、これは非常に貴重なシーンと言えるでしょう。「My Own Time (I'll Do What I Want)」は先週の東京公演ではセットから外されていた一曲です。興味深いことに今回のツアーからはアコースティック版に変更されており、これが素晴らしい効果を生んでいます。この付近からは収録音のバランス(低音域がややラウドだった)も改善され始め、澄んだ演奏音がウエットな質感を伴って瑞々しく再生されてゆきますので、音像の変化にも御注目戴きたいと思います。「Voice Of America」もアコースティック版として健在ですが、ここではカールがドラムを素手で叩いているのが印象的です。この"手でしか表現できない素朴な打音"と若きギタリストが出すまろやかな旋律の静かなる交錯、そしてピアノとボーカル・メロディの主旋律が見事な音色の綴れ折りが、透明度の高い質感豊かな音と共に聴覚を撫でながら消えてゆく"音触"の心地良さを是非御体験下さい。Disc-2はショウ後半で、第2部開演前のカールの挨拶から終演まで完全収録しています。収録音も前半部より更に良くなり、何よりも全体音のバランスの良さが飛躍的に向上しているのが魅力です。オープニングとなる「An Extraordinary Life」は中盤展開部のギター表現がハウとは似て非なるものがあり、またギターソロの箇所でもハウの様に音がブレず、活力漲る表現になっているのが大きな聴きどころでしょう。最新アルバムのタイトルトラック「Gravitas」では、決意を秘めた様なストレートな表現が心を打ちます。時折りまだ音が組織化されていない様子が散見される点もユニークですし、曲中に僅かに埋め込まれたギターソロではサムがオリジナルの響きを遺憾なく発揮しているので、ここは新生エイジアの魅惑的なサウンドをたっぷり感じられるでしょう。また「Days Like These」はパット時代のサウンドイメージがしっかり継承されており、特にギターソロに至ってはほぼ完璧にコピーしている事に驚愕される筈です。1990年の初秋に尼崎や中野サンプラザで体験したあのサウンドがそのまま飛び出してくる感じで、ウエットンが当時目指した(そして恐らく今後も目指すであろう)軽快なハードポップとしてのエイジアサウンドが見事に開花しています。「Go」もまた85年当時のマンディ・メイヤーの良さを巧い具合にサムが継承している様子が伺えますが、中盤のギターソロでは自分の持ち味を出したオリジナルのフレーズで弾きまくっています。恐らくこれはバンド側かウエットン直々に「ここのソロは自由にやって良いよ」と言われているのだと思いますが、前曲「Days Like These」の完璧なコピー演奏と比べるとこれは非常に対照的で興味深いシーンだと思います。そしてエネルギッシュに蘇った「Don't Cry」では楽曲が本来持っていたストレートなポップロック感が堂々の復活を遂げており、これもまた大きな聴きどころでしょう。2箇所でアンサンブルにズレが生じてはいるものの、しかしそれも含めた新旧の音のぶつかり合いの中に、新しい響きが間違いなく感じ取れる素晴らしいシーンです。「Open Your Eyes」では歌唱パートの後ろや楽曲進行の合間で合いの手のように出てくるギターの音色が独特で、パット時代ともまた違う聴いた事のないサウンドイメージで曲が進行するのがユニークです。またここはウエットンの熱唱も大きなトピックスとなっており、次第に運動性を増してゆくリズムと共に歌唱もグッと伸びてゆく様子がバランスの良い瑞々しいサウンドで記録されています。アンコールとなる「Heat Of The Moment」はサウンドの纏まりが大変良い事に驚かされると思います。ギターのサウンド・メイキングも曲にバッチリ合っていますし、優れたパフォーマンスで初日を締め括っているのが強く伝わってくる演奏です。ただそんな中にも初日らしいお茶目な一面が顔を覗かせており、3分57~58秒付近ではカールが妙なアプローチにチャレンジしてテンポが一瞬おかしくなっている箇所が出てきます。たぶん初日でハッスルし過ぎたのかもしれませんが、ここはカールが苦笑いしている様子が目に浮かんでくる様です。
どのバンドでも、初日というのは何らかのトラブルが発生したり演奏がギクシャクしたり、そして客の反応を見て直ぐにセットから外してしまう曲をやっていたりと、後に続く公演とは違った雰囲気やアプローチが出ているものです。本作もまた然りで、先週の来日公演を御覧になった方がこれを聴けば、あの夜に観た公演が既に初日とは幾つかの違いが出ているものだった事に改めて気付かされるでしょう。2014年の彼らの起点を記録した本作は今後も続くツアーでの音楽的変化やショウ構成の変化を計る際の決定的な物差しとなるでしょうし、先週観たあの演奏の理解度と体験をより豊かなものに変えてくれること間違いなしです。エイジア久々の新タイトル、どうぞ御期待下さい!
Live at Forum Theatre, Malvern, Worcestershire, UK 11th June 2014 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND(from Original Masters)
Disc 1(51:08)
1. 1812 Overture 2. Sole Survivor 3. Wildest Dreams 4. Face On The Bridge 5. Time Again 6. Valkyrie 7. I Know How You Feel 8. My Own Time 9. Voice Of America 10. The Smile Has Left Your Eyes
Disc 2(58:27)
1. Carl Palmer Introduction 2. An Extraordinary Life 3. Gravitas 4. Guitar Solo 5. Days Like These 6. Go 7. Don't Cry 8. Drum Solo 9. Only Time Will Tell 10. Open Your Eyes 11. Heat Of The Moment
Bonus DVD(8:37) Carl Palmer Drum Solo Colour NTSC Approx. 8min.
John Wetton - Vocals, Bass, Acoustic Guitar Geoff Downes - Keyboards, Backing Vocal Carl Palmer - Drums Sam Coulson – Guitar





























