大感動の来日公演を果たしてくれたY&T。その大決定盤である『KAWASAKI 2017』が登場する今週は、ちょうど30年前の勇姿を収めた極上プロショットをご用意しました。本作に収められているのは「1987年8月29日カンサスシティ公演」。問題作『CONTAGIOUS』時代のマルチカメラ・プロショットです。以前からマニアの間では知られてきた映像ですが、本作はそのコピーではありません。最近になって登場した関係者流出マスターをDVD化したものなのです。そのクオリティは、さすが関係者マスター。当然のことながら80年代のアナログ撮影は現代のデジタル基準では語れませんが、かつての映像が何だったのかと思うほどに瑞々しい鮮度が素晴らしい。テープヨレも線ノイズもなく、発色は究めてビビッド。30年の時間を飛び越えてきたとは思えないほどに鮮やかな映像美なのです。もちろん、サウンドもその光景に相応しい極上サウンドボード。「部屋を掃除してたら、当時のオフィシャル・ビデオが棚の名から出てきた」……そんな感じの極上ぶりなのです。そして、そのクオリティで描かれる30年前のY&Tがまた、素晴らしい。冒頭は「From The Moon / Open Fire」から「Mean Streak」という“超Y&T”なオープニングですが、その後は当時の新作『CONTAGIOUS』からの大盤振る舞い。本作は各人のソロを除くと10曲披露されているのですが、そのうち過半数となる6曲が新曲なのです。当時はアルバム『CONTAGIOUS』はやや渋いイメージもあったものですが、大人しめに感じた楽曲もステージの熱気に乗るとまるで様変わり。もともと生粋のライヴバンドではありましたが、ここまでアルバムからイメージが変わるのも珍しい……そんな強烈なバージョンになっているのです。その“生まれ変わり”イメージをさらに強烈にしているのが光景。まだ33歳だったデイヴ・メニケッティは、実演家として脂の乗った美味しい時期であり、その歌声やギターは匠の域に達しつつも衰えも枯れも微塵も感じさせない。その上で、いかにも“1987年っぽい”煌びやかな衣装に身を包んでいる。まるでオジー・オズボーンの『罪と罰』か、ボンジョヴィの「Lay Your Hands On Me」か、といった出で立ちで激しいパフォーマンスを繰り出す。もちろん、今は亡きオリジネイター:フィル・ケネモア&ジョーイ・アルヴィスも元気ですし、後にMEGADETH他で有名になる新加入のジミー・デグラッソも24歳で若さピッチピチ。画面からもスピーカーからも猛烈に“1987年”が吹き出すのです。歴史を振り返れば、“1987年”は最初の解散に向かって歩み出した第一歩でした。しかし、スタジオ作品から透けていた悪戦苦闘も、本来の居場所であるステージ上にはなかった。オリジナル編成の一角が崩れたとしても、当時の彼らにとっては前向きな決断であり、“さらに上へ!”の気概に溢れていた。本作は、その瑞々しくも美しい物的証拠。“新しいY&T”を世に問う……いえ、叩きつけようとしていた彼らを極上のマルチカメラ・プロショットで捉えきった貴重な銘品。 Live at Memorial Hall, Kansas City, Kansas, USA 29th August 1987 PRO-SHOT (70:46) 1. Pre-show Music 2. From The Moon 3. Open Fire 4. Mean Streak 5. L.A. Rocks 6. Joey Alves Guitar Solo 7. Rhythm Or Not 8. The Kid Goes Crazy (incl. Drum Solo) 9. Temptation 10. Ballroom Boogie 11. Dave Meniketti Guitar Solo 12. I'll Cry For You 13. Contagious 14. Summertime Girls Dave Meniketti - vocals, guitar Joey Alves - guitar Phil Kennemore - Bass Jimmy DeGrasso - drums John NYmann - Keyboards, Vocal PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.71min.