このリハーサル映像は先週、当店からその第一報映像としてギフト盤『DRESS REHEARSALS 2017 』が登場し、好評を博しました。ただ残念ながら先週のリリース時点では全ての曲の映像が出揃っておらず、「Money」の後半と、それに続く「Us and Them」「Smell the Roses」の2曲が未収録でした。しかしリリース直後にこの失われていた3曲分が同じアップローダーから完全版としてネットに登場したのです。全曲収録になった事でトータルタイムが13分40秒も伸びただけでなく、音声も別マスターからシンクロしてよりグレードの高いものに差し替えており、非常にアッパー感の高いバージョンになっての再登場でした。しかし残念な事に何らかの理由によって瞬く間に削除されてしまい、現在は早くも観る事が出来なくなっています。これを削除前に取り込んで完全版に仕上げたものが本ボーナス盤となっており、この日演奏された全曲を観る事が出来る最良にして唯一の映像タイトルとなっているのです!! しかもこの映像、単に画質と音声が優れているだけではありません。先週のギフト盤を御覧になった方は御存知と思いますが、この映像は複数の(※ 収録映像を再確認したところ、少なく見積もっても7~8台の)デジカメか携帯で録ったものを巧みに繋いだマルチアングル・ショットで構成されており、カメラ1台で録った単調なものとは見応えが全く違うのです。例えばカメラ1はステージ向かって左側5列目付近のシューティングでステージ全景が程好い距離感で伺え、「Speak to Me」で塵(?)が寄り集まって月の裏側になる様子も鳥肌モノの映像美でモノにしています。音質の良さも抜群で、「One of These Days」ではツイン・ベースが極太の鮮明音で飛び出す一方、その周りで出ている細かい音もベースに潰されずバッチリ拾っている程の精度を誇るのです。「Time」からはカメラ2の映像。視点が変わり、こちらはステージ向かって右側の3列目ほど、つまりカメラ1の位置と左右反転させた様な場所からの収録です。撮影位置がカメラ1より近いので、ズーム無しでもロジャーその他メンバーの表情が鮮明に分かるのが特徴でしょう。「The Great Gig in the Sky」ではカメラ3に変わり、後方席からの視点にチェンジ。カメラ1と2とは比べ物にならない遠景ショットですが、ただこの曲はバック・スクリーンに女性ボーカル2人(※ ジェスとホーリー)が大画面一杯で映り続けるためこのくらい引いた画面の方が見易く、むしろカメラ1や2よりも多くの視覚情報が掴み取れる事に気付かされるのです。「Welcome to the Machine」ではカメラ4が登場。これはズームを多用した中央10列目付近からのもので、超至近距離でロジャーやその付近の様子が映ります。曲をよく知る人物でなければ出来ないカメラワークも良い見応えを残し、発色が異常なほど良いのも特徴になっています。「Deja Vu」ではカメラ1が再登場。同曲のプロモーション・ビデオが背後に流れるなか、中音域にあるロジャーの歌声が雑音ゼロのウルトラ・クリアな音像で現れ、そのドキュメンタリー感溢れる現場映像・音像に暫し息を呑むに違いありません。バック・スクリーンにバタシー発電所が聳え立つところから始まる「Dogs」はその壮大なスペクタクルをカメラ1がパーフェクトに捉えています。曲の途中で女性コーラス2人がタムを叩く様子が2箇所で確認出来るのも要チェックですし、いつの間にか天井から垂れ幕スクリーンが降りてステージ横にも映像が流れてゆく様子など、刻々と変化するステージングがギミックとして理解出来るのも嬉しいところです。この曲の中盤ではロジャー、女性コーラス2人、サイド・ギタリスト達( 恐らくグァスとジョナサン )が狐( コヨーテ? )のお面を着けて食卓を囲むシーンがあり、これなどは音だけでは絶対に分からない情報=本編CDには無いアドヴァンテージと言えるでしょう。そして先週盤では途中でブツ切れていた「Money」は再びカメラ2(※ 或いはその近くの別のカメラかもしれません)が活躍。ここで興味深いのはステージと観客スペースの間に設けられているピット・スペース(※ 写真や映像撮影の為にカメラマンや関係者が行き来するあの通路・空間です)でプロの映像スタッフがビデオ・シューティングしている姿が確認出来る事です。恐らく公式サイトに出ていた断片映像はこれで録っていたものと思われますが、その公式撮影の様子もハッキリ確認出来るのです。「Us and Them」は定点カメラで写した新しいカメラ5が登場。会場の中央頭上から会場を2分する様に巨大な垂れ幕スクリーンが落ちているのが確認出来、場内では右と左で映像による" 壁 "が出来ていた事が分かるのです。定点カメラだけに大変安定した映像なのも特徴で、会場中央に設置されたコンソール・スペースが視認出来るのも要チェックです。 そしてこれも先週盤では未収録だった「Smell the Roses」では、更に別のカメラが登場。マイク1本で歌うロジャーをカメラ6(※ ステージ向かって右側の階上席)がバッチリ捉えており、ここにきてまた新しい視点でステージが鑑賞出来るのです。カメラ1に戻った「Eclipse」では曲の途中からカメラが真上に向き、会場頭上のレーザー光線によるライティングの様子を暫く追い続けるシーンが出てくるのですが、これは今回のUS+THEMステージのライティングを立体的に確認・検証出来る資料的価値の高い映像となっています。「Vera」ではCDでも音で確認出来た様にロジャーが女性コーラス2人を( 恐らく突然 )傍に呼び、彼女達と自分との3声による音楽的なフォーメーションを試す様子が映像確認出来ます。これは次の「Bring the Boys Back Home」も同様で、突然のロジャーのオーダーにもかかわらず完璧に自分達の役割を果たすジェスとホーリーの、シンガー兼パフォーマーとしての能力値の高さが伺える非常に興味深いシーンとなっています。そして「Comfortably Numb」では更に別のカメラ7が登場し、ズームを多用した高品質な映像が新しい視点で曲の流れを追います。ギターソロに入ってからはカメラ1に戻り、デイヴ( ・キルミスター )の雄姿をプロスタッフが撮影している様子が写るのですが、なんとそのプロ機材カメラがあるピット・スペースを向こうからロジャーが歩いてきて最前列のファンと握手し、通り過ぎたステージの端から演奏全体の様子をじっと眺めチェックしている姿も超至近距離で捉えているのです。ここまで完成度の高いショウとなっていながらも、幾つかのシーンで垣間見えてくる今後の音楽的発展性の予感....。その何もかもが生々しい高精度の実況映像で視覚と耳元に飛び込んでくる喜びは正直言葉になりません。既に5月26日からUS+THEMツアーは始まっていますが、その基点となるステージをこの映像で追う事で気付かされる発見はかなり多い筈です。 Live at Meadowlands Arena, East Rutherford, NJ. USA 21st May 2017 AMAZING SHOT (Synched with best quality audience masters) MULTI-CAM *UPGRADE!!!! 1. Speak to Me 2. Breathe 3. One of These Days 4. Time 5. Breathe (Reprise) 6. The Great Gig In The Sky 7. Welcome to the Machine 8. When We Were Young 9. Déjà vu 10. The Last Refugee 11. Picture That 12. Wish You Were Here 13. The Happiest Days of Our Lives 14. Another Brick in the Wall Part 2 15. Another Brick in the Wall Part 3 16. Battersea Intro. 17. Dogs 18. Pigs (Three Different Ones) 19. Money 20. Us and Them 21. Smell the Roses 22. Brain Damage 23. Eclipse 24. Vera 25. Bring the Boys Back Home 26. Comfortably Numb Colour NTSC Approx. 124min.