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Led Zeppelin レッド・ツェッペリン/Rhode Island,USA 1973

1973年のアメリカ・ツアーと言えば映画やライブ・アルバムといったリリースの存在から、非常に華々しい印象を受けます。確かに、このツアーでZEPはアメリカでもっとも人気のあるイギリスのロック・グループの座へと登り詰めました。ツアーの規模はかつてないほどのスケジュール。前半と後半に分けられ、一カ月のオフまで設けられるほどの行程は、70年代のロック・バンドとは桁違いな人気を全米で獲得した証と言えるでしょう。73年アメリカ・ツアーの前半レグはタンパ、ケザー、そしてボンゾの誕生日と三日後という二つのLAフォーラムといった具合で、どちらかというと「ナチュラルなグルーブを保った」名演が多く生み出されています。映画やライブ・アルバムの収録がツアー終盤だったこともあって、なおさら前半レグの独特な雰囲気がマニアの間で高い人気を誇ります。ところが後半レグは前途多難なスタートとなりました。その初日、シカゴでは一か月のオフの後だとは思えないほど絶不調なプラントがサウンドボード録音に記録されてしまいます。ツアーが一週間を経過したところ、デトロイト初日の『DETROIT ROCK CITY』でエンジンのかかり始めた様子が聴かれ、17日のシアトルでようやく後半戦の抜きん出た名演が生み出されました。そこまでからも感じられるように、後半レグの印象を悪くしていたのはやはりプラントでした。そんな彼がやっと奮起してくれたのがシアトルだったのです。ところが、シアトルでの無理がたたったのでしょう、翌日のバンクーバーはプラントの不調によってライブが大幅に短縮されてしまうという結果に終わってしまいました。さらに20日のボストンになると、今度は観客の騒がしさに愛想を尽かしたバンドがライブ終盤を短く切り上げてしまうという展開へ。しかし皮肉なことに、ボストンのライブが短く切り上げられたことが吉と出たのでしょうか、翌日のプロヴィデンスは打って変わった快演となったのです。もちろんキーパーソンはプラント。それまでの数日には見られなかったような気合の入ったシャウトがオープニングから炸裂。「Rock And Roll」のエンディングで聴かれるプラントの全開シャウトを聴けば、彼が奮起している様子がはっきりと伝わってくるのです。それどころか、この日のプラントはライブの全編を通して輝きを放ちます。「Since I’ve Been Loving You」でも、後半レグでもそれまでは感じられなかったような気合がみなぎる名唱を聴かせてくれます。プラントが好調だとバンドのプレイ・クオリティが引き上げられるのはZEPのライブ史において一貫して見受けられる現象ですが、ここでも「No Quarter」と「Dazed And Confused」でペイジの滑らかでフレーズの豊かなプレイが素晴らしい!実を言いますと、プラント以外のメンバーのプレイは後半レグ開始時から好調だったのですが、彼らのプレイが散漫になってしまうような出来事がプラントの不調だったのだと言えるかもしれません。この後、映画撮影の話も決まってさらにグループ全体の演奏が上向きとなりますが、それが撮影とライブの千秋楽が重なったマディソン・スクエア・ガーデンになるとまた緊張を生み出して微妙な影を落としている感があり、むしろ「上向きでのびのびと演奏している」という点でプロヴィデンスは73年後半レグにおける名演の中でも、間違いなくベスト3に入るものだと言えるでしょう。それほど絶好調なプラントが際立った一日でした。そしてこのプロヴィデンスのライブをキャッチしたオーディエンス録音ですが、かなり迫力が感じられる、良好クオリティのオーディエンス録音としても定評高いもの。周囲の盛り上がりもほどほどに、あくまで演奏自体を大きめなバランスで捉えた録音状態が聴きやすさの秘密です。もっとも演奏が大きく録れた分、高音のエッジが微妙に飽和状態と化してしまったことで「シュワシュワ」とした質感がライブ前半を中心とした癖となってしまったのも事実。よってヘッドフォンで聴くよりも、スピーカーから鳴らした方がベターな音源であることは間違いありません。いくつかの箇所でカットが入ってしまうのがまた玉に瑕で、それが「The Song Remains The Same」になると曲の大部分が未収録という状態です。中にはこの部分を別の日の演奏で補てんしてしまったアイテムも存在したものですが、それ以前に過去のアイテムはイコライズ過剰(それもキンキンに)な状態、ジェネレーション落ち、さらには多くのアイテムに共通していたピッチの狂いという傾向が見られました。少し癖のある音質ながら、それでも聴きやすく、何よりも圧倒的に充実した演奏が聴かれる音源としては意外なほど不遇な扱いなままリリースされてきたのです。しかし今回はファンの間でベストとの誉れ高きdadgadリマスター・バージョンを元にしつつ、もちろんカット部分の小細工なしでのCD化を実現させました。そのウォーミーな聴き心地は以前のリリースなど比べ物になりませんし、ライブ中盤で目立っていた遅いピッチの狂いも正確にアジャスト。今までで一番聴きやすい、これが真のプロヴィデンス1973だ! Providence Civic Center, Providence, Rhode Island, USA 21st July 1973 Disc 1 (61:32) 1. Intro. 2. Rock And Roll 3. Celebration Day 4. Black Dog 5. Over The Hills And Far Away 6. Misty Mountain Hop 7. Since I've Been Loving You 8. No Quarter 9. The Song Remains The Same 10. The Rain Song Disc 2 (73:16) 1. Dazed and Confused 2. Stairway To Heaven 3. Moby Dick 4. Heartbreaker 5. Whole Lotta Love 6. The Ocean

Led Zeppelin レッド・ツェッペリン/Rhode Island,USA 1973

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