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Pink Floyd ピンク・フロイド/Austria 1977 Recorder 2

ピンク・フロイド1977年ウィーン公演の決定盤『DEFINITIVE VIENNA 1977 』が電撃登場しますが、実は当初この最新作は" 5CD "+DVDという企画でスタートしていました。というのも、この最新作のディスク1と2に使用したAUD録音は通称Recorder 1として知られているものですが、実はこの公演には同日別録音のRecorder " 2 "が存在しており、それも含めたRecorder 1(=ディスク2枚)+Recorder 2(=ディスク2枚)、そしてSBD録音(=ディスク1枚)の計5枚でCDサイドを構成する予定だったのです。しかし制作の途中で「カットが目立つ」「どうしてもRecorder 1より音質が劣る」といった理由でRecorder 2は最新作『DEFINITIVE VIENNA 1977』のディスク構成からやむなく外され、今回発売の形(3CD+1DVD)になったのです。フロイド・プロフェッショナルたる制作陣ですらこのRecorder 2の存在意義について最後まで意見が分かれてしまった訳ですが、これは言い換えれば" Recorder 2は例えカットが目立つという欠点はあっても、そのサウンドとドキュメンタリー性は現代感覚でも無視出来ないポテンシャルを持っている "という何よりの証でもあった様に思います。 同日公演ですので収録内容については『DEFINITIVE VIENNA 1977』解説文を御参照戴くとして、ここではそのディスク1と2に採用されたRecorder 1との違いを記しましょう。まずこのRecorder 2はショウ冒頭の「Sheep」が丸ごと欠落しており、「Dogs」冒頭からのカット・インで始まります(※ 楽曲導入のイントロ演奏部分のみ数秒間欠けていますが、歌唱パートは出だしからパーフェクト収録です)。13:38で数秒間の部分カットもあるのですが、各楽器音が容易に聴き分けられるこの音像。全体の音像とギターの出音の様子から察するに録音位置は会場後方のやや左寄り側かな、と想起し易いのもここでの特徴でしょう。「Pigs (Three Different Ones)」は11:41~47にかけてピッチの不具合(※ 録音機の電池切れ・電力不足か、物理的にテープ走行が一時的に阻害されたような感じです)が起こりますが、音質面は相変わらずの良好さを保っているのも魅力です。「Shine On You Crazy Diamond (Pts. I-V)」は9:48~10:04、10:48~10:54でそれぞれ急に録音レベルが下がり、終曲直前ではカット・アウトして終わるものの、ギターが印象的に入ってくるそれぞれのパートで場内の盛り上がりの様子がまた別の角度から捉えられており、ここはドキュメンタリーとしての当日現場の生々しさを更に補完してくれるでしょう。また確かにRecorder 1と比べると音が若干遠めではある事も否めませんが、しかし凡庸な録音にありがちな丸い音の固まりになっていないのもこのRecorder 2の特徴で、各楽器の個性がちゃんと凹凸ある姿で耳に届くのです。中でも「Wish You Were Here」の澄んで雄弁なギターの波動はRecorder 1とは違う響きの感動を呼び覚ましてくれますし、コーラスのハーモニーも3:14で僅かにカット(※ テープのリバース点か交換のため?)はあるものの、音像にブレが少なく、その感動を殆ど損なっていません。「Shine On You Crazy Diamond (Pts. VI-IX)」では6:41で再びテープチェンジかリバースポイントによる数秒間のカットがあり、楽曲中盤の11:05~11:28では左チャンネルに軽度の音抜けまで生じていますが、そのシーンで登場するシンセサイザーの滑らかな拡散音やその後のエレキピアノによる高音域の抜けの良さなどは特記すべきクオリティです。また終曲後にロジャー他が" Thank you, Good Night "のコメントを発しますが、Recorder 1ではコメントの数秒後に録音が終了しているのに対し、このRecorder 2ではその先の割れんばかりの歓声やアンコールを求めて一体となった地鳴りの様な拍手を約1分間ほど記録しており、これもまた本録音にしか無い現場感覚満点のアドヴァンテージとなっています。「Us And Them」もギターのアルペジオが力強さを伴った響きで登場、しかも(恐らく)録音機がRecorder 1より遠い位置にあるらしい事が逆に作用して、会場全体の響きを鳥瞰的なクリアサウンドで愉しめるのです。バックで通奏されるオルガンもRecorder 1に劣らない芯のある音色で出ている点も要チェックでしょう。 確かに、音質やシームレス感といった録音物としての品質を総合的に判断すれば、これはもう飛び抜けて優秀かつ磐石なRecorder 1に軍配が上がるのは仕方が無いところです。しかしここにはRecorder 1では録り切れなかったシーンやRecorder 2特有の音の魅力で充ちており、少なくともその資料的価値の高さに於いてはRecorder 1と双璧を為す録音と言っても過言ではありません。本作で聴けるRecorder 2は原音で大きくランダムに狂っていたピッチも考えられる限り丁寧に修正し、ネットで拾える音やテーパー間でトレードされていたサウンドとは桁違いに聴感が向上した完成度で結実している事も特記しておきましょう。言うなればこれは丁寧に調整され、高められたRecorder 2の姿 "なのです。 Live at Stadthalle, Vienna, Austria 1st February 1977 Disc 1 (48:11) 1. Dogs 2. S.E. 3. Pigs (Three Different Ones) 4. Shine On You Crazy Diamond (Pts. I-V) Disc 2 (53:22) 1. Welcome To The Machine 2. Have A Cigar 3. Wish You Were Here 4. Shine On You Crazy Diamond (Pts. VI-IX) 5. Money 6. Us And Them

Pink Floyd ピンク・フロイド/Austria 1977 Recorder 2

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