BLUE OYSTER CULTが「TYRANT AND MUTATION」発表後に行ったアメリカツアーより、1974年2月21日のロードアイランド州プロヴィデンス公演が、あのダン・ランピンスキー・コレクションより登場です!B.O.C.はアルバムデビュー後の'70年頃から熱心なファンの支持を獲得して、'74年にはKISSやNAZARETHをスペシャル・ゲストに迎えてヘッドライナー・ツアーを行うほどになっていました。この'74年2月21日のプロヴィデンス公演はBLACK SABBATHの前座として、1月31日のペンシルバニア州ハーシー公演と共に単発的に組まれたものですが、人気絶頂のSABBATHとB.O.C.がひとつの会場で同時に観られるという構図は、図らずも1980年に行われた"BLACK AND BLUE"ライヴを6年前に先取りするような形となっていました(なお、メインとなったSABBATHの演奏は「1974」(残念ながら既に完売)のディスク1・2で聴く事ができます)。ダン・ランピンスキー・コレクションでも初期録音のひとつとなるこのプロヴィデンス公演は、先に登場していたSABBATHの「1974」がそうだったように、テーパーのトレードで流通する間に施されたと見られるイコライジングが強く、高音がキンキンと耳に痛いほど強烈にブーストされていました(イコライジングの特性が同一な事から、B.O.C.とSABBATHはワンセットでやり取りされていた事が想像されます)そのためリマスターにおいてはノイジーなサウンドを可能な範囲で緩和し、失われていた中低音の肉付きを回復させるなど、可能な限り音に落ち着きを持たせ、聴き易いサウンドへと修正を行いました。上記の事柄からもうかがえると思いますが、本音源は'76年や'78年のランピンスキー音源で聴けたようなクリアさはありません。しかしこの雑然とした音質がむしろ、混沌としたムードとアングラ臭が渦巻く'70年代初期のB.O.C.サウンドへ嵌って感じるのだから侮れません! オープニングの「The Red And The Black」や続く「O.D.'d On Life Itself」で聴ける濃厚なまでの怪しさは、'80年代以降のスマートでしなやかになったサウンドに飽き足らないコアなB.O.C.信者には、かえってバンドの本質を突いた音質に感じられるかも知れません。また、エリック・ブルームのヴォーカルは意外なくらい明瞭に捉えられており、ドナルド・ルーザーのギタープレイやアルバート・ブーチャードのドラムも存在感充分に聴こえるなど、バンドの演奏を巧みに収める手腕はさすがダン・ランピンスキーです。本音源ではこのライヴ当時いまだ製作中だった3rdアルバム「SECRET TREATIES」より、名曲の数々がすでに取り上げられているのが大きな聴き所です。「Dominance & Submission」と「Flaming Telepaths」はこの時点でほぼアルバムでの形に仕上がっており、演奏には安定感があります。また7分を越える「Buck's Boogie」とバンドの定番曲「Hot Rails To Hell」はドライヴ感たっぷりに再現され、オーディエンスの熱気もピークに達します。続く「Cities on Flame with Rock and Roll」はバンドが「SABBATHの"The Wizard"をヒントに作った」と認めていますが、この曲もB.O.C.ならではのオリジナリティと、本家SABBATHを前にしても引けを取らない独特のムードを放っています。中盤にインクルードされたドラムソロも破天荒なまでの迫力で、これには聴き手も思わず唸らされるでしょう。ライヴのハイライトは「5 Guitars」をインクルードしたロング・バージョンの「Me 262」です。ここはギターとドラムが金属的な質感を強めた本録音の個性も手伝い、強烈な聴き応えでファンをノックアウトします。「Me 262」本編へリプライズするコーダ部分は演奏がノリ過ぎて破綻気味ですが、ライヴならではのテンションを実感させてくれます。前座のためアンコールの無い約53分という短めのセットですが、終演時は会場の全てが沸き立つような盛り上がりで、聴き手も収録時間以上の満足感を味わえるはずです。洗練された'80年代以降のB.O.C.は当然素晴らしいのですが、'70年代前半に彼らが聴かせた煮えたぎるような演奏もまた絶品です! 東海岸のアンダーグラウンド・シーンでカルトなマニアを魅了した、若きB.O.C.の熱演をどうぞお見逃し無しありませんように! Live at Providence Civic Center, Providence, RI. USA 21st February 1974 TRULY AMAZING SOUND 1. Intro 2. The Red And The Black 3. OD'ed On Life Itself 4. Dominance & Submission 5. Flaming Telepaths 6. Buck's Boogie 8. Cities on Flame with Rock and Roll 9. ME262 (5 Guitars) Eric Bloom - Vocal, Guitar Donald "Buck Dharma" Roeser - Guitar, Vocal Allen Lanier - Keyboard, Guitar Joe Bouchard - Bass Albert Bouchard - Drums Dan Lampinski Master Collection