これまで知られてこなかったマイク・ミラードの秘宝。その1stジェネ・カセットから生まれた超極上ライヴアルバムが登場です。録音史のカリスマが立ち会い、記録したのはJETHRO TULLの「1977年1月16日ドロシー・チャンドラー・パビリオン公演」。“SONGS FROM THE WOOD TOUR”の一幕を記録した超絶級オーディエンス録音です。本作最大のポイントは、奇跡の輝きを放つミラード・サウンドにあるわけですが、同時に名作『SONGS FROM THE WOOD』を生み出したばかりのJETHRO TULLのショウにもある。まずは、当時の日程でショウのポジションを確かめておきましょう。 ・1月14日-23日:北米#1(7公演)←★ココ★・2月1日-14日:英国(13公演)《2月11日『SONGS FROM THE WOOD』発売》・3月1日-4月10日:北米#2(33公演)・4月16日-23日:欧州#1(8公演)・5月24日-6月8日:欧州#2(12公演)・9月4日-20日:豪州(15公演) ・11月4日-12月6日:北米#3(31公演)これが“SONGS FROM THE WOOD TOUR”の全体像。『SONGS FROM THE WOOD』は英国ツアー中にリリースされたわけですが、本作のロサンゼルス公演は、それ以前。わずか7公演しかなかった「北米#1」の3公演目にあたる。“SONGS FROM THE WOOD TOUR”と言えば、デラックス・エディションにも北米ツアーのライヴアルバムが収録されていましたが、そちらは「北米#3」であり、本作はその1年近く前のコンサートでした。そんなショウを記録した本作のサウンドは、もはや言葉にするのも躊躇われる素晴らしさ。オンな芯の力強さ、ほんの僅かな機微も逃さない繊細なディテール、艶と美しさを極めた鳴り、微動だにしない安定感……。「イヤー・オブ・エディ」でもある1977年のミラード録音なら当然と分かっていても、その凄味に対面すると論評することに畏怖さえも覚えてしまう。しかも本作は、伝説的なミラードの車椅子を押していた張本人でもあるJIM R.氏から名門JEMSに提供された由緒正しい1stジェネ。すべての美点に究極的な瑞々しさまでもが加わり、本来は空気の振動でしかないはずの“音”に秘められた魔力に心が溶かされていくのです。しかも、そのミラード・サウンドで描かれるのは、アレンジャーとして長らく貢献してきたデヴィッド・パーマーを正式に迎え、6人編成になったばかりのJETHRO TULL。先述のようにまだ『SONGS FROM THE WOOD』の発売前だったわけですが、セットはすでにデラックス・エディションで有名なランドバー公演に酷似。『AQUALUNG』を軸としながら70年代の名曲群が濃厚に演奏されていく。このツアーを最後に20年以上封印される「To Cry You A Song」も6人の力業で紡がれるのです。それ以上となるのが『SONGS FROM THE WOOD』の新曲群。アルバム発売前にもかかわらず後に定番化していく「Jack-In-The-Green」「Songs From The Wood」「Hunting Girl」はもちろん、当時ならではの「Velvet Green」も披露。しかも、そのすべてが3公演目という新鮮な活力に充ち満ちているのです。とにかくタメ息しか出てこない。英国ロックの権化ですらあるJETHRO TULLと、録音史の偉人マイク・ミラード。両者が同じ空間を共有していた“1977年1月16日”の大気が1stジェネ・カセットから流れ出る奇跡の1本です。純音楽的・純オーディオ的にも極端に優れたライヴアルバムではありますが、これだけの記録が2019年になって初めて世に出たという現実にさえ圧倒される。これまで「文化遺産」を最大級の賛辞としてきましたが、本作に出逢うまで使わなければ良かった……。そんな想いにさえ駆られる音楽作品。 Dorothy Chandler Pavilion, Music Center, Los Angeles, CA, USA 16th January 1977 TRULY PERFECT SOUND Disc 1 (70:43) 1. Quartet 2. Wonderin' Aloud 3. Skating Away (On The Think Ice Of A New Day) 4. Jack in the Green 5. Thick As a Brick 6. Songs From the Wood 7. Instrumental / Drum Solo 8. To Cry You a Song 9. A New Day Yesterday 10. Velvet Green 11. Hunting Girl 12. Too Old to Rock and Roll Disc 2 (37:42) 1. Beethoven's 9th 2. Minstrel in the Gallery 3. Cross-Eyed Mary 4. Aqualung 5. Guitar Solo 6. Wind Up 7. Locomotive Breath 8. Hard Headed English General / Wind Up (Reprise) Ian Anderson - Vocals, Flute, Guitar Martin Barre - Guitar John Glascock - Bass Barriemore Barlow - Drums John Evan - Keyboards David Palmer - Keyboards, Saxophone