カバーアルバム『KICKS』をリリースし、素晴らしい来日公演も記憶に新しいリッキー・リー・ジョーンズ。その余韻を深くする傑作ライヴアルバムが登場です。そんな本作に収められているのは「2019年3月1日オールバニ公演」。その極上オーディエンス録音です。現在、彼女はデビュー40周年を祝うワールドツアーの真っ最中であり、先日の日本公演もその一貫でした。その近況を知る意味でも、まずは2019年の活動概要からショウのポジションを確かめてみましょう。 ・2月21日-3月3日:北米#1(8公演)←★ココ★《5月15日『KICKS』発売》・5月16日+17日:日本(2公演)・6月1日-23日:北米#2(7公演)・6月30日-7月7日:欧州#1(3公演)・7月18日-20日:北米#3(3公演)・8月17日:リバーヘッド公演 ・10月7日-23日:北米#4(11公演)・10月27日-11月20日:欧州#2(4公演) これが現在までに公表されているスケジュール。連日連夜ショウと移動を繰り返す……言うよりは、母国アメリカと世界各地を行き来しつつ、数公演ずつのミニツアーを繰り返すスタイル。64歳を迎えた彼女らしい悠々自適な活動ぶりがうかがえます。本作のオールバニ公演は、そんな2019年の極初期。日本公演よりも遡った「北米#1」6公演目にあたるコンサート。やや時間が経ってはいるのですが、日本公演後の最近になって公開された最新音源です。そんなショウを記録した本作は、端正で心にしみ入る滋味深いオーディエンス録音。何と言っても素晴らしいのは、オンな芯。サウンドボード的なド密着感ともちょっと違うのですが、ホール鳴りがほとんど感じられずクッキリとした芯が真っ直ぐ手元に飛び込んでくる。ギターとパーカッションだけのシンプルなトリオ編成ということもあり、紡がれる1音1音の輪郭が異様に鮮やかで混じり合わない。歌声は歌詞の1語1語までハッキリと分かり、吐息レベル囁きから大きなスケールの歌い上げまでダイナミズムもたっぷりなのです。そして、とにかく端正。曲間に沸き上がる拍手は微妙に歪んでいるような気もしますが、肝心の歌声や演奏は極めてナチュラル。彼女の息づかいにまで現実感が宿る美の録音なのです。その美音で描かれるのはデビュー40周年らしく、それでいて来日公演とも似て非なるショウ。ここでその内容を整理しておきましょう。 ●RICKIE LEE JONES(7曲)・Weasel and the White Boys Cool、Young Blood、Chuck E.'s in Love、The Last Chance Texaco、Danny's All-Star Joint、Coolsville、On Saturday Afternoons in 1963 ●PIRATES(3曲)・We Belong Together、Living It Up、Pirates (So Long Lonely Avenue) ●FLYING COWBOYS(2曲)・Love Is Gonna Bring Us Back Alive、The Horses ●その他(3曲)・It Must Be Love(THE MAGAZINE)、The Albatross(TRAFFIC FROM PARADISE)、Bad Company(KICKS)……と、このようになっています。軸となるのは、なんと言ってもリリースから40年となるデビュー作『RICKIE LEE JONES(浪漫)』。全11曲中7曲も大盤振る舞いされ、『PIRATES』からの3曲が脇を固める。残りも80年代のナンバーが大半を占め、そこに90年代の「The Albatross」や最新作『KICKS』でカバーされた「Bad Company」をまぶす構成です。『浪漫』の大フィーチュアは先日の日本公演にも通じますが、セレクトは大きく異なる。デビュー作の「Young Blood」「Danny's All Star Joint」「Coolsville」の3曲や『THE MAGAZINE』の「It Must Be Love」、『TRAFFIC FROM PARADISE』の「The Albatross」といったレパートリーは、当店でご紹介した傑作『TOKYO 2019』でも聴けないもの。『TOKYO 2019』を体験された方でも、同じく40周年を強くイメージさせながら表情のまったく異なるショウを楽しめるのです。64歳を迎えた今なお、繊細で力強い歌声を聞かせてくれるリッキー。その力強さがダイレクトに感じられ、クリスタル・クリアに透き通った極上サウンドで体験できる大傑作です。先日の日本公演を体験された方には更なる名曲の宝箱として、そうでない方にも40周年の集大成としてお楽しみ頂けるライヴアルバム。 The Egg, Albany, NY, USA 1st March 2019 TRULY PERFECT SOUND Disc 1(48:30) 1. Intro 2. Weasel and the White Boys Cool 3. Talk 4. Young Blood 5. Chuck E.'s in Love 6. Talk 7. The Last Chance Texaco 8. Talk 9. It Must Be Love 10. Talk 11. Danny's All-Star Joint 12. Talk 13. Love Is Gonna Bring Us Back Alive Disc 2(52:31) 1. Talk 2. We Belong Together 3. Talk 4. Living It Up 5. Talk 6. Pirates (So Long Lonely Avenue) 7. The Horses 8. Talk 9. The Albatross 10. Talk 11. Coolsville 12. Talk 13. On Saturday Afternoons in 1963 14. Talk 15. Bad Company Rickie Lee Jones - Guitars, Piano, Vocals Cliff Hines - Guitar, Vocals Mike Dillon - drums, Vibes, Percussion's