おっと、これはヤバい。とにかく比類なきクオリティのオーディエンス・アルバムなのですが、あまりに別格録音のは「まるでサウンドボード」どころか「もはやサウンドボード」と形容したくなるほど。これまでリリースしてきたディラン最新ツアーはどれも本当にレベルの高いオーディエンス録音ばかりだったのですが、四日前(!)に録音されてネットに現れたばかりのユニバーシティ・パーク公演はその中でも最高峰だと断言できる素晴らしさ。まず周囲の観客のレベルが驚くほど低いレベルで捉えられている上、オープニングの「Things Have Changed」が始まる直前にバンドが鳴らした音を聞いただけで「近っ」と言いたくなる音像できるのだから。これはすさまじくオンな音像でクリアネスも完璧。新加入にして即戦力ドラマーぶりが話題となっているマット・チェンバレンのドラミングのリアルさといったら。それでいてディラン以下、この日も絶好調であることが高音質ゆえに明らかとなっており、オープニングからエンジン全開。さっそく「Highway 61 Revisited」の力強い演奏が猛威を振るう。こんな演奏に支えられてディランが大人しくしているハズもなく、「Can't Wait」では実にいきいきとした調子で歌い上げてくれる。そして毎晩のステージにおける最初のハイ・ポイント・レパートリーとなっている「Pay In Blood」になるとディランの激しさは頂点へ。今のディランの勢いは留まることを知りません。現在のツアーにおいて「Early Roman Kings」はチャーリー・セクストンとボブ・ブリットのブルース・ギターの相性が抜群で日々進化を遂げています。この日は演奏が始まる前にちょっとしたブルース・インタールード的な掛け合いを二人が弾いているのですが、そこだけでもゾクゾクするくらいのカッコよさ。おまけに「Thunder On The Mountain」におけるギター・リフがまたハードな迫力に溢れているのもイイ。先の「Pay In Blood」で好調の極みに達していたディランはこの日、ゆったりした曲調のレパートリーでも素晴らしい歌を聞かせてくれる。中でも「Not Dark Yet」はその重厚な演奏をバックに歌い上げる彼の姿が最高の音質で捉えられており、思わず聞き惚れてしまいます。何しろ音質が抜群にいいので、マニアから初心者まで、ショーのどこを聞いていても楽しめるのではないかと。先の「Thunder On The Mountain」や本編を締めくくる「Gotta Serve Somebody」といったハードなアレンジのレパートリーは、この音質だと迫力が倍増ですし。大好評「PALO ALTO」を始めとして高音質アイテムのリリースが続くレーベルですが、「まずはどれか一枚…」と言われたら、迷わず今回のタイトルを薦めるでしょう。リリースに当たっては音の抜けを良くするイコライズを施し、元々が素晴らしかった音質を最強のレベルにまで高めています!現時点、ツアー最高音質です。 Live at Eisenhower Auditorium, University Park, PA, USA 15th November 2019 ULTIMATE SOUND Disc 1 (51:10) 1. Intro 2. Things Have Changed 3. It Ain't Me, Babe 4. Highway 61 Revisited 5. Simple Twist Of Fate 6. Can't Wait 7. When I Paint My Masterpiece 8. Honest With Me 9. Tryin' To Get To Heaven 10. Make You Feel My Love 11. Pay In Blood Disc 2 (51:15) 1. Lenny Bruce 2. Early Roman Kings 3. Girl From The North Country 4. Not Dark Yet 5. Thunder On The Mountain 6. Soon After Midnight 7. Gotta Serve Somebody 8. Ballad Of A Thin Man 9. It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry Bob Dylan - vocals, guitar, piano, harp Charlie Sexton - guitar Matt Chamberlain - drums Bob Britt - guitar Donnie Herron - steel guitar, violin Tony Garnier - bass