歴史的なライヴアルバムが大量に誕生しているマイク・ミラードのマスター発掘。遂に、彼のコレクションでも名作として知られる極上録音が遂に登場です。その名作が記録されたのは「1977年9月26日ロングビーチ公演」。その現場を真空パックした伝説的なオーディエンス録音です。本稿に目を留められた方なら昨今のミラード・マスター発掘事業についてはご存じと思いますが、本作はその最新弾となるもの。QUEENやFLEETWOOD MCのように初登場もありますが、本作はそうではなく、録音自体は以前から知られる銘品(『HAIL TO MIKE』でもお馴染みです)。そのアップグレード盤なのです。そんなマスター・サウンドこそが要ではありますが、ショウもまた重要。何しろ、“GOING FOR THE ONE TOUR”は『YESSHOWS』の一部に数曲が残されつつ、それ以外に公式ライヴ作もフル・サウンドボードもなく、ショウの全景を知るにはオーディエンス録音に頼るほかはない。だからこそ、高音質競争も激しく、本作こそがその最高峰に立つものなのです。まずは、当時のスケジュールを振り返ってショウのポジションを確かめておきましょう。《7月15日『究極』発売》・7月30日-9月3日:北米#1(32公演)・9月17日-10月9日:北米#2(21公演)←★ココ★・10月24日-11月8日:英国(12公演)・11月11日-12月6日:欧州(22公演) これが“GOING FOR THE ONE TOUR 1977”の全体像。リック・ウェイクマンが復帰して“黄金の5人”が揃った大規模なワールド・ツアーを実施。本作のロングビーチ公演は、その中で「北米#2」の9公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで記録された本作は、まさに伝説の銘品。前回盤『HAIL TO MIKE』もマスターからのDATコピーとの触れ込みでしたが、本作はさらに長い。開演パートの「火の鳥」も6秒前から始まり、「Roundabout」終演後は32秒も長い。さらに言えば、「Close To The Edge」「Wonderous Storie」の間など、いくつもの曲間で従来では聴けなかったパートがいくつもあります。もちろん、そうした長さは「マスターの証拠」に過ぎない。真に感動的なのは、全編を貫くマスター・サウンドです。前回盤『HAIL TO MIKE』をご体験の方なら超極上ぶりに「確かにマスターかも知れない」と感じられたと思いますが、本作こそが正真正銘のマスター。比較すると『HAIL TO MIKE』は超極上ではあってもノイズ・リダクションが強めにかけられており、「作られた高音質」だった。本作はその形跡さえもなく、それでいて同等以上にハイクオリティ。それこそ、YESの5人を目の前に演奏してテープを回している人物がいる……そんな存在感レベルの圧倒的なナチュラル・サウンドなのです。『HAIL TO MIKE』をご存じない方にはピンと来ない説明になってしまって申し訳ありません。とは言え、初体験の方には「超絶極上」と申し上げるしかない。そもそもミラードはYESの大ファンでもあり、12回も録音したとされています。それぞれが歴史的と言われておりますが、本作の1977年ロングビーチ録音はその中でも最高峰とされるもの。それこそLED ZEPPELINの『LISTEN TO THIS EDDIE』ばりにミラードの代表作と言っても良いくらいの超絶録音であり、その大元マスター・サウンドなのです。そんな録音の奇跡が描き出すのは、貴重な“GOING FOR THE ONE TOUR”のフルショウ。ここで、その内容も整理しておきましょう。 クラシックス(5曲)・サード・アルバム:I've Seen All Good People/Starship Trooper・こわれもの:Roundabout・危機:Close To The Edge/And You And I 究極(5曲)・Parallels/Wonderous Stories/Turn Of The Century/Going For The One/Awaken その他(3曲)・Colours Of The Rainbow/Tour Song/Flight Jam ……と、このようになっています。定番となるクラシックスを軸としつつ、名盤『究極』のレパートリーも大盤振る舞い。『YESSHOWS』には採用されなかった「Turn Of The Century」「Awaken」も披露される。特に「Turn Of The Century」はこのツアーの後は『KEYS TO ASCENSION』まで20年近くも封印された名曲。それを70年代のバンド・ポテンシャルで楽しめるのです。そして、それ以上に貴重なのがダスティ・スプリングフィールドのカバー「Colours Of The Rainbow」やご当地賛歌「Tour Song」、そして「Flight Jam」。いずれも次曲へのイントロ的な小曲ではありますが、こうしたナンバーによって続く「Turn Of The Century」「And You And I」「Awaken」といった大作群も一層幻想的でドラマティックに奏でられる。まさにフル・ライヴアルバムだからこその醍醐味、“流れの美学”を極上サウンドでたっぷりと味わえるのです。大作主義一辺倒だった1972年/1973年とは異なり、メドレーまで盛り込んだ10周年ツアーとも違う“GOING FOR THE ONE TOUR”。公式作でもサウンドボードでも味わえないフルショウを伝説テーパーのマスター・サウンドで極上体験できてしまうライヴアルバムの超傑作です。もはや「YESSHOWSも問題にならない傑作」「第II期ウェイクマン時代の最重要作」と断言しても過言ではないでしょう。たとえ録音史やテーパーに興味がない方だったとしても、この音楽とサウンドがロックの秘宝である事は実感できるはず。それこそ名盤『究極』と同価値になるほど究極的なライヴアルバム。 Live at Long Beach Arena, Long Beach, CA. USA 26th September 1977 TRULY PERFECT SOUND(UPGRADE) Disc 1 (62:10) 1. Firebird Suite ★0:00 - 0:06 既発未収録 2. Parallels 3. I've Seen All Good People 4. Close To The Edge ★ 19:12 - 最後まで既発未収録 5. Wonderous Stories ★0:00 - 0:01 既発未収録 6. Colours Of The Rainbow 7. Turn Of The Century 8. Tour Song 9. And You And I ★9:38 - 9:39 既発未収録 Disc 2 (52:57) 1. Going For The One 2. Flight Jam 3. Awaken ★16:21 - 17:22 既発未収録 4. Starship Trooper 5. Roundabout ★9:13 - 最後まで(32秒) 既発未収録 Jon Anderson - Vocals Steve Howe - Guitars Chris Squire - Bass Rick Wakeman - Keyboards Alan White - Drums