ケニー・ジョーンズを迎えて再始動を果たすも、終焉に向かって突き進んでいた1982年のTHE WHO。その現場を伝える話題のライヴアルバムがリリース決定です。そんな本作に収められているのは「1982年12月9日ローズモント公演」。いわゆる“フェアウェル・ツアー”の一幕を記録した極上オーディエンス録音です。本作最大のポイントは衝撃的するサウンド・クオリティにあるわけですが、まずはショウのポジション。このツアーは公式作『WHO'S LAST』『LIVE FROM TORONTO』を筆頭に、傑作サウンドボードも目白押し。良い機会ですので、日程でコレクションを整理してみましょう。 《9月4日『IT'S HARD』発売》・9月10日+11日(バーミンガム2公演)・9月22日-10月20日(北米#1a:19公演)・10月21日『PORTLAND 1982』・10月23日:オークランド公演・10月25日『OAKLAND 1982 2ND NIGHT』・10月27日-31日(北米#1b:3公演)ー約1ヶ月後ー ・11月27日-12月7日(北米#2a:8公演)・12月9日:ローズモント公演 ←★ココ★・12月10日-14日(北米#2b:4公演)・12月16日『TORONTO 1982 1ST NIGHT』・12月17日『LIVE FROM TORONTO(公式)』※代表的なサウンドボード盤のみ。 これが1982年のTHE WHO。伝統盤『WHO'S LAST』は複数公演の編集盤なので掲載していませんが、それ以外にもサウンドボードの宝庫なのがご理解いただけるのではないでしょうか。北米ツアーは大きく2つに分けられ、本作のローズモント公演は「北米#2」の9公演目にあたるコンサートでした。これほどのサウンドボード豊作地帯に割って入ってきた本作は、ちょっとシャレになっていない大傑作オーディエンス。実は本作を公表したのは、現在世界のコレクター界を沸かせている“HOT OFF THE HEADS PRODUCTION”。先日まで“COVID-19 QUARANTINE RELEASE!”としてご紹介してきたもので、その名の通り新型コロナ渦による外出制限を耐え抜くために公開されている秘蔵マスター・シリーズなのです。ここ数週間、さまざまなバンド/アーティストの大傑作が猛烈な勢いでリリースされているわけですが、その個性は超クリア&超タイト。80年代オーディエンスの常識を遙かに超え、「まるでサウンドボード」を地で行くマスター揃い。本作は、そんな話題シリーズのTHE WHO篇なのです。そして、本作もまた名声を一層高めるクリア・サウンド。さすがに大会場のTHE WHOとあって「ゼロ距離」とは行かないのですが、芯の力強さや細やかなディテールはさすがの新名門。ほんのりとしたホール鳴りも透き通っており、ケニーの1打1打もロジャーのヴォーカルもキラキラと輝くよう。しかも、それだけ演奏がクッキリとしていながらスケール感まで凄いから驚く。実のところ、喝采も声援も滅茶苦茶に遠いのですが、遠いからこそ巨大なうねりが右へ左へと蠢いていくのがよく分かる。すっきりと鮮やかな音楽と巨大な現場のスペクタクルの両立。そんなサウンドで描かれるショウは、終焉に向けて駆け抜けるようなフルショウ。前述のようにサウンドボード豊作のツアーではありますが、基準となるのはやはり公式作。ここでは最も認知されている伝統盤『WHO'S LAST』と比較しながらセットを整理してみましょう。60年代/70年代クラシックス(16曲)・TOMMY:Pinball Wizard/See Me, Feel Me ・WHO'S NEXT:Behind Blue Eyes/Baba O'Riley/Won't Get Fooled Again・QUADROPHENIA:I'm One(★)/Drowned(★)/5:15(★)/Love, Reign o'er Me・WHO ARE YOU:Sister Disco(★)/Who Are You その他:I Can't Explain/Substitute/Long Live Rock/Naked Eye(★)/Summertime Blues 80年代ナンバー(6曲)・FACE DANCES:The Quiet One(★)・IT'S HARD:Dangerous(★)/Cook's County(★)/Eminence Front(★)/Athena(★)/Cry If You Want(★) ※注:「★」印は『WHO'S LAST』で聴けない曲。……と、このようになっています。『WHO'S LAST』ではスルーされた80年代ナンバーはもちろんのこと、クラシックスも大盤振る舞い。特に「I'm One」「Cook's County」「Athena」「Cry If You Want」は公式作『LIVE FROM TORONTO』を併せても聴けない美味しいレパートリーです。とにかく、話題沸騰の“HOT OFF THE HEADS PRODUCTION”によるTHE WHOの大傑作です。いかに1982年がサウンドボード大豊作地帯とは言え、これほどの名作を闇に葬って良いわけがない。絶品のクオリティでありつつ、オーディエンス録音だからこそのスケール感、臨場感、そして美しさが宿った2枚組。 Live at Rosemont Horizon, Rosemont, IL, USA 8th December 1982 PERFECT SOUND★最近登場した話題の新音源 Disc 1(53:50) 1. Intro 2. I Can't Explain 3. Substitute 4. MC 5. Dangerous 6. MC 7. Sister Disco 8. MC 9. The Quiet One 10. MC 11. Cook's County 12. MC 13. Eminence Front 14. Behind Blue Eyes 15. Baba O'Riley 16. I'm One 17. Drowned Disc 2(65:27) 1. Audience 2. Athena 3. Cry If You Want 4. Who Are You 5. Pinball Wizard 6. See Me, Feel Me 7. 5:15 8. Love, Reign o'er Me 9. Long Live Rock 10. Won't Get Fooled Again 11. Naked Eye 12. Summertime Blues 13. Outro Roger Daltrey - Vocals, Harmonica, Guitar Pete Townshend - Guitar, Vocals John Entwistle - Bass, Vocals Kenney Jones - Drums Tim Gorman - Keyboards, Vocals