イングヴェイ・マルムスティーンがジョー・リン・ターナーと共演した「ODYSSEY」イギリスツアーは、11月14日のフォークストーン公演を皮切りに、11月24日のポール公演まで9公演が行われています。本音源が収録された11月20日のロンドン"ドミニオン・シアター"公演はツアー開始から6公演目に当たります。 8月のジャパンツアー後、バンドは約3ヶ月のオフを挟んでいましたが、ノッティンガム公演など、ロンドンに至るまで各地のショウで充分以上にステージ勘は取り戻されており、本作に収められた演奏はまさにイギリスツアーでのピークと表現しても過言ではありません。本作はかつて「1988: AN AXE ODYSSEY」としてリリースされていた音源を、大元のマスターより入念な音質補正の上で再度音盤化したもの。'02年の初登場からすでに18年の時が経過し、熱心なイングヴェイ・ファンでも「知らない」という人が増えていますが、本作の良質な録音と上記したような優れた演奏は、忘れ去られるには余りにも惜しい内容です。オープニングの「Rising Force」や「Liar」から、エッジの鋭さと丸みがほど良い案配のサウンドは聴き易く、掴みやすい輪郭とまとまりのある楽音はライヴの模様をはっきりと聴き手に伝えてくれます。定位の中央からはっきりと響き渡るジョーのヴォーカルが特に素晴らしく、イングヴェイのギターと共にサウンドを印象的なものとしています。さらに「Queen In Love」・「Deja Vu」・「You Don't Remember, I'll Never Forget」と名曲が畳み掛けられるライヴ前半は、聴き手に息つくヒマすら与えないほどの壮絶さです! イングヴェイも耳の肥えたロンドンのファンを前にしていつも以上に熱を帯びたプレイを聴かせ、「Crystal Ball」から「Far Beyond The Sun」にかけてはサウンド・ソロともに特に素晴らしいギターを聴かせます。ディスク2ではさらに音が良化します。会場の密接な空気感が反映された「Dreaming (Tell Me) 」と「Don't Let It End」では聴き手の目の前で演奏が繰り広げられるようなダイレクトサウンドが大きな聴き所。「Fury」そして「Now Is The Time」でも、ジョーとイングヴェイの組み合わせは素晴らしいコンビネーションを発揮し、止む事の無いメロディアスな楽曲と演奏には圧倒されます。ギターソロと「Krakatau」を含む「Trilogy Suite Op.5」から、「Heaven Tonight」でショウはクライマックスを迎えますが、残念ながら録音は「Heaven Tonight」のコーダ部分で終了しています。サウンド・演奏が素晴らしいだけにここで終わるのは残念ですが、それでも充分以上のエンターテイメントを楽しめる87分間です。RISING FORCEはこのイギリスツアー終了後、間をおかずに11月26日からヨーロッパツアーを開始。12月18日のスウェーデン・イエテボリ公演と19日のストックホルム公演はイングヴェイにとっても母国への"凱旋公演"として大成功を収めました。 しかし翌年1月から2月に計20公演(モスクワとレニングラードの2都市のみで!)行われたソ連ツアーからバンド内部の空気は悪化し、バンドらしかったRISING FORCEは終わりを迎えます。RISING FORCEが充実した演奏を聴かせたイギリスツアーでも特に熱演だったロンドン公演は、ジョーとイングヴェイのコンビネーションをオフィシャル・ライヴ以上の聴き応えで楽しませてくれます!! Live at Dominion Theatre, London, UK 20th November 1988 PERFECT SOUND(from Original Masters) Disc 1 1. Intro. 2. Rising Force 3. Liar 4. Queen In Love 5. Deja Vu 6. You Don't Remember, I'll Never Forget (incl. Street Of Dreams) 7. Keyboard Solo 8. Crystal Ball 9. Adagio 10. Far Beyond The Sun Disc 2 1. Dreaming (Tell Me) 2. Don't Let It End 3. Bass Solo 4. Drum Solo 5. Fury 6. Now Is The Time 7. Guitar Solo incl. Trilogy Suite Op.5, Krakatau 8. Heaven Tonight Yngwie J. Malmsteen - Guitar Joe Lynn Turner - Vocal Jens Johansson - Keyboards Barry Dunaway - Bass, Vocal Anders Johansson - Drums