マニア筋から「最重要音源の1つ」とさえ言われる大傑作サウンドボード・アルバムが登場です。その重要盤が記録されたのは「190年7月11日モCDN-04110ントルー公演」。伝統の音楽祭“モントルー・ジャズ・フェスティバル”に出演した際の極上ステレオ・サウンドボード録音です。「モントルーのモリソン」と言えば、オフィシャル化も果たした『LIVE AT MONTREUX 1980/1974』が浮かびますが、その後もモリソンは何回も出演。特に90年代以降は、半ばレギュラー状態となっています。本作は、そんな恒例化が始まった頃のライヴアルバムなのです。その一方、1990年と言えば初めて全英5位を記録した『ENLIGHTENMENT』がリリースされた年としても記憶されるわけですが、本作はちょっと違う。まずは、そんな当時のスケジュールを振り返り、ショウのポジションを確かめておきましょう。・1月1日-4月5日:欧州#1(22公演)・4月12日-20日:北米#1(8公演)・4月25日:パリ公演・6月3日-8月5日:欧州#2(13公演)←★ココ★ ・8月27日-9月5日:北米#2(8公演)《10月『ENLIGHTENMENT』発売》・10月12日-11月27日:英国(22公演)・12月20日-22日:アイルランド(4公演)これが1990年のヴァン・モリソン。『ENLIGHTENMENT』の発売は秋頃で、その後は英国/アイルランドを巡ったわけですが、本作はその前。「欧州#2」の8公演目にあたるコンサートでした。先述の通り、そんなショウを記録した本作はマニアから「最重要作」と呼ばれているわけですが、その理由は素晴らしいパフォーマンスとサウンドにある。特にサウンド・クオリティは絶大。「完全オフィシャル級」で済ませたいところですが、それだけではこの旨みは伝わらないかも知れません。鳴りは艶やかでバランスも美しく、全体的にはオフィシャル作品の中でも名盤級とさえ言える。しかし、そこにはほんのりと生放送らしいリアリティが宿っている。ライヴの本番後に聞き返して演出するようなあざとさがなく、今まさに演奏しているからこその現実感が素晴らしいのです。ひと口に「公式級」と呼ばれるFMサウンドボードであっても、この美しさとリアリティを両立している音源は非常に珍しい。本作は、それを成し遂げているからこそマニアから「最重要」とまで言われるのです。そんなサウンドで描かれるショウがまた滋味深く絶品。1990年夏というと、当店の発掘サウンドボードの大名盤『PHILADELPHIA SPECTRUM 1990』もあります(上記日程で言うところの「北米#2」のライヴアルバムです)が、本作はフェス出演と言うこともあってか、セットも異なっている。ここで比較しながら整理してみましょう。60年代/70年代 ・Here Comes the Night(★)/SweetThing(★)/Domino/Caravan/Jackie Wilson Said (I'm in Heaven When You Smile)/It's All in the Game 80年代・Summertime in England/Northern Muse (Solid Ground)/When Heart Is Open/In the Garden(★)/Did Ye Get Healed?/ Star of the County Down/Whenever God Shines His Light(★)カバー等・Yeh, Yeh(モンゴ・サンタマリア)/Baby, Please Don't Go(★:ビッグ・ジョー・ウィリアムズ)※注:「★」印は『PHILADELPHIA SPECTRUM 1990』では聴けない曲。……と、このようになっています。メドレーもあるのでカウントしづらいものの、おおよそ1/3となる5曲が『PHILADELPHIA SPECTRUM 1990』では聴けないレパートリー。THEM時代にカバーした「Here Comes the Night」から当時最新作だった『AVALON SUNSET』の「Whenever God Shines His Light」に至るまで、ほとんどアルバムを被ることもなく幅広くセレクトされています。また、『AVALON SUNSET』時代と言えば公式映像『THE CONCERT』も残されていますが、それとはさらに異なっており、被っているのは、定番を中心とした4曲「Star of the County Down」「Whenever God Shines His Light」「Summertime in England」「Caravan」「In the Garden」だけ。近い時期でありつつ、実にフレッシュなショウを楽しめるのです。年1回しか機会がないにも関わらず、現在までに20回も“モントルー・ジャズ・フェスティバル”に出演しているヴァン・モリソン。それほどまでモントルーを愛し、モントルーから愛されているのです。そんな定例化の先駆けになった1990年のショウをオフィシャル級のサウンドで楽しめる1枚。 Casino de Montreux, Montreux, Switzerland 11th July 1990 STEREO SBD (74:52) 1. Yeh, Yeh 2. Did Ye Get Healed? 3. It's All in the Game / Make It Real One More Time 4. Here Comes the Night 5. Baby, Please Don't Go 6. Domino / In the Midnight Hour 7. Jackie Wilson Said (I'm in Heaven When You Smile) 8. Sweet Thing 9. Star of the County Down 10. Northern Muse (Solid Ground) / When Heart Is Open 11. Whenever God Shines His Light 12. Summertime in England 13. Caravan 14. In the Garden STEREO SOUNDBOARD RECORDING