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Bob Dylan ボブ・ディラン/CA,USA 1988 & more

マニアにとって大変に人気の高い時期ながら、近年リリースの途絶えていたボブ・ディランが復活の狼煙を上げた1988年ツアー。今回、久々のリリースが実現するのはツアーの中でも序盤のステージを極上音質で捉えたウルトラ・オーディエンス・アルバム。このツアー序盤というのは、ただでさえ演奏の質が平均して高い88年ツアーの中にあって、ディランが自身の再生と新たなバンドのいきいきとした演奏によって、ステージに立つのが楽しくて仕方がないという時期。それに加え、ツアー開始から三回のショーではニール・ヤングがゲスト・ギタリストとして参加したというサプライズもあったのです。彼が連続してディランのステージに上がることになったいきさつは明かされていませんが、ニールもまた迷走のゲフィン・レコード時代を終え、古巣リプリーズ・レコードに戻って自身を取り戻そうとしていた時期。レジェンド二人が奇しくも同じ時期に復活を遂げ、なおかつステージ上での共演が実現したという事実には興味深いものがあります。 それら三回のニール・ヤングが加わったショーの内、6月7日のコンコードと11日のマウンテン・ビューはそれぞれベストなアイテムがリリースされているのですが、CDアイテムに恵まれなかったのが10日のバークレー。皮肉なことに、LPの時代でいち早くニール参加の88年ツアーからの音盤化が実現したのがバークレーのショーを収録した二枚組「SAN FRANCISCO BAY BLUES」でした。ところがCD時代を迎えてリリースされたのは、このLPから落としたアイテムのみ。これも1990年代前半のことで、当時ですらマニアから真剣に扱われなかったのも当然かと。ところがそれ以降、新たなアイテムが一切登場しません。トレーダー間には、先のLPよりはるかに音質の優れたオーディエンス録音(トレーダー間にも「different recording than bootleg "SAN FRANCISCO BAY BLUES"」という但し付き)が、なおかつマスターテープからのトランスファーで広く出回っていたことを考えると、何とも不思議でなりませんでした。もはや例のLPのリリースから30年近い(!)歳月が経とうとしている中、未だに新たなアイテムが現れない状況に業を煮やし、ようやくベストバージョンのリリースが実現します。今回のリリースに際し、元になったのは当然先に挙げたLPの音質を軽く凌駕するオーディエンス録音。この音質がとにかく凄い。ただでさえオンな音像な上、ディランの歌声の近さたるや、まるでサウンドボード。これほどまでハイクオリティな88年ツアーのオーディエンス録音が今まで見過ごされていただなんて。実際、あまりに高音質であったことから、リリースに際してイコライズを施す必要など一切ありませんでした。ただでさえ名演の量産イヤーであった1988年の中でも、勢いにあふれたツアー序盤の演奏がまるでサウンドボードのような音質で聞けるというのが魅力的すぎる。オープニングの「Subterranean Homesick Blues」からしてこのツアーの立役者であるGE・スミスを始めとしたバンドはもちろん、ディランもエンジン全開。この勢いに乗って「Joey」や「Absolutely Sweet Marie」といった、それまでステージ・レパートリーに縁のなかった曲がたっぷりの勢いとともに演奏される。これが1988年。さらに当時から評価の高かったディランとGE・スミスの二人だけで演奏されるアコースティック・コーナーでは「San Francisco Bay Blues」が登場。ポールやクラプトンがそれぞれに「アンプラグド」出演で演奏していたフォーク・カバー。ディランのバージョンはこれまた88年でなおかつニール・ヤング絡みのブリッジ・ベネフィットでの演奏が過去にサウンドボードでリリースされた実績がありましたが、演奏もディランの歌も確実にこちらの方が良い出来。そしてアコースティック・パートが終わるとバンドがニール・ヤングが登場。彼が加わった中で最初に演奏されたのがブルース調の「It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry」という選曲は最適な選択だったのではないでしょうか。実際にニールも存分にギターソロを弾き、それに対して観客も大いに盛り上がっている。これが「Like A Rolling Stones」になると、彼のギターに触発されたかのごとく、ディランも元気すぎるくらいにシャウト。最後に、88年ツアーはステージの演奏時間がそれまでのディランのツアーよりも短く、たいていはボーナストラックを入れるべきスペースが生じるのですが、それを活かして同時期のレアな演奏を収録しています。どれもバークレーから二か月経過した8月のレグからのレアなレパートリーなのですが、まずはLAでの「Seeing The Real You At Last」。当時からこの曲は「88年ツアーのバンドに打ってつけな曲」と絶賛されましたが、その割に数えるほどしか演奏されず、この日のテイクは初CD化となります。次の「We Three (My Echo, My Shadow And Me)」は先月リリースされた「BUDOKAN 1986 2ND NIGHT、さらには「MADISON SQUARE GARDEN 1986 FINAL NIGHT」でも聞かれるなど、86年に披露されたR&Bカバーとしてマニアにはおなじみ。しかし、今回ボーナスに採用されたのは88年カールスバッドで披露されたレアなアコースティック・バージョン。これが現在に至るまで最後のライブ演奏で、レアなだけに以前にもリリースされたことがありましたが、正確なピッチと音質の向上で過去のアイテムとは比べ物になりません。そして最後を締めくくる「She's About A Mover」は60年代からディランと付き合いのあったダグ・ザームの代表曲で、カナダはエドモントンでのステージでザーム本人が飛び入りしたもの。ディラン自身もザームが亡くなった後でこの曲を追悼で歌うことになるのですが、こちらはザーム本人がディランとバンドをバックに歌ってみせたという非常に貴重なテイク。しかもその曲調は88年のバンドにぴったりで、なおかつトレーダー間にもなかなか出回っていない貴重オーディエンス録音から収録。こうして本編の極上音源に加え、貴重な演奏がボーナスに加えられた豪華すぎる内容となれば、これはもう88年ツアーを代表する名盤間違いなし。 Greek Theatre, University Of California, Berkeley, CA, USA 10th June 1988 TRULY PERFECT SOUND Disc 1 (50:58) 1. Intro 2. Subterranean Homesick Blues 3. Joey 4. Absolutely Sweet Marie 5. Watching The River Flow 6. Tangled Up In Blue 7. Masters Of War 8. San Francisco Bay Blues 9. Boots Of Spanish Leather 10. Lakes Of Pontchartrain Disc 2 (57:54) 1. The Times They Are A-Changin' 2. It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry (with Neil Young) 3. In The Garden (with Neil Young) 4. Gates Of Eden (with Neil Young) 5. Like A Rolling Stone (with Neil Young) 6. Applause 7. Rank Strangers To Me 8. Everybody's Movin'(with Neil Young) 9. Maggie's Farm (with Neil Young) Bonus Tracks Greek Theatre, Hollywood, Los Angeles, CA, USA 3rd August 1988 10. Seeing The Real You At Last Sammis Pavilion, Batiquitos Lagoon, Carlsbad, CA, USA 6th August 1988 11. We Three (My Echo, My Shadow And Me) Northlands Coliseum, Edmonton, AB, Canada 24th August 1988 12. She's About A Mover (Doug Sahm on lead vocal) Bob Dylan - vocal, guitar, harmonica G.E. Smith - guitar, backup vocal Kenny Aaronson - bass Christopher Parker - drums *Neil Young - guitar, backing vocal on “Like A Rolling Stone”

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