公式/非公式の枠を超えたロックの文化遺産にして、「生演奏版“炎の導火線”」にもっとも近い超極上サウンドボード・アルバム。その最高峰盤が復刻です。そんな超名盤に記録されているのは「1977年10月15日パサデナ公演」。その超絶級ステレオ・サウンドボード録音です。デビュー前後のVAN HALENには衝撃的なサウンドボード録音が数多く発掘されていますが、本作こそが最も「生演奏版“炎の導火線”」と呼ぶに相応しい1枚。その理由をご説明するためにも、まずはハードロックの最高傑作盤『炎の導火線』が生まれた当時の状況を振り返り、ショウのポジションを確かめてみましょう。1977年 ・1月1日-30日:米国#1(10公演)・2月2日+3日:スターウッド(2公演)・2月18日-8月26日:米国#2(24公演)《8月31日-9月『炎の導火線』制作》・9月16日-10月22日:米国#3(6公演)←★ココ★・12月9日-31日:米国#4(9公演)1978年・1月27日-2月25日:米国#5(4公演) 《3月3日:初のワールドツアー開始》 これが1977年/1978年のVAN HALEN。2月のスターウッド公演では伝説的なモー・オースティン/テッド・テンプルマンとの出会いがあり、ワーナーと契約。『炎の導火線』の制作時期は資料によって諸説あり、「8月末から9月」説や「10月初旬から3週間」説など不確定なのですが、いずれにせよ「米国#3」と同時期でした。そして、本作のパサデナ公演は「米国#3」の5公演目。つまり、『炎の導火線』制作と完全に同時期もしくは完成直後のショウだったわけです。これだけでも必聴盤決定ですが、クオリティはそれどころではなかった。ミックス卓直結系の極上サウンドボードなのです。完全ゼロ距離のシンクロ感、極太・強靱にして繊細な芯、弦の振動まで感じられるディテール……とにかくすべてが超絶。しかも、本作はその最高峰となるもの。そう、本作のベースになっているのは8年前に登場した決定盤『PASADENA ON FIRE』。原音にあったリミッターがかかったような塊感があったのですが、各音域を細やかに調整。楽器1つひとつの1音1音までほぐされたような鮮やかな分離感が生まれている。今回、復刻のために再度のリマスタリングに臨みましたが、どこをどう変えてもアップグレードしない。ギリギリのバランスで原音の可能性を最大限に引き出した、究極のサウンドだった。そこで、今回は『PASADENA ON FIRE』サウンドそのままに忠実に復刻する事にしたのです。そのサウンドで描かれるのは、さらに苛烈な生演奏で綴られる炎の導火線。本作はライヴ本番(11曲・約45分)をメインに、当日のリハーサル(5曲・約14分)をボーナス追加した2部構成。ここで併せてセットを整理してみましょう。 炎の導火線(ライヴ9曲+リハ3曲)・ライヴ本編:On Fire/Feel Your Love Tonight/Runnin' With The Devil/Atomic Punk/Little Dreamer/Ice Cream Man/Ain't Talkin' 'Bout Love/Eruption/You Really Got Me・リハーサル:On Fire(2テイク)/Atomic Punk/Ain't Talkin' 'Bout Love 伝説の爆撃機(ライヴ2曲)・ライヴ本編:Somebody Get Me A Doctor/D.O.A. その他(リハ1曲)・リハーサル:Voodoo Queen ……と、このようになっています。『炎の導火線』から「I'm the One」「Jamie's Cryin」以外の全曲が披露され、その代わりに「Somebody Get Me A Doctor」「D.O.A.」を追加したスタイル。リハーサルで演奏されている「Voodoo Queen」は「Mean Street」の原曲となるものです。このセットだけでも十分に「生演奏版“炎の導火線”」ですが、演奏のテンションはさらに凄い。あの大名盤もほとんどライヴで録音されたと言われていますが、やはりステージに4人が揃って「せーの!」で鳴らす一発勝負は気迫が違う。歴史的大名盤を生み出したバンド・ポテンシャルがさらに一回りも二回りも巨大になっている……(たかがリハーサルですら「炎の導火線のアウトテイク?」という次元)。文字にしても現実にはあり得そうもない音世界が、実際にスピーカーから流れ出すのです。とにもかくにも、超絶にして強力無比。デビュー間の貴重なサウンドボード……どころではない。よく最大級の賛辞として「公式スタジオ作と同等の価値を持つライヴアルバム」と書きますが、その公式スタジオ作があの『炎の導火線』なのですから……。まさに文化遺産以外の何物でもない超名盤。“ハードロック”なる音楽ジャンルが生み出し得た至宝。 Live at Pasadena Convention Center, Pasadena, CA, USA 15th October 1977 STEREO SBD (58:47) 1. Intro. 2. On Fire 3. Feel Your Love Tonight 4. Runnin' With The Devil 5. Atomic Punk 6. Little Dreamer 7. Somebody Get Me A Doctor 8. Ice Cream Man 9. Ain't Talkin' 'Bout Love 10. Eruption 11. D.O.A. 12. You Really Got Me Bonus Tracks Rehearsals at Pasadena Convention Center, Pasadena, CA, USA 15th October 1977 13. On Fire 14. Voodoo Queen 15. Atomic Punk 16. Ain't Talkin' 'Bout Love 17. On Fire David Lee Roth - Lead Vocals Eddie Van Halen - Guitars, Vocals Michael Anthony - Bass, Vocals Alex Van Halen - Drums STEREO SOUNDBOARD RECORDING